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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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魔術大会(仮)

笑顔のエミリアと何合打ち合っただろうか、僕も段々と楽しくなってきた。

僕の剣が彼女の剣を砕き、彼女が投降を宣言した時も、彼女は笑っていた。

久しぶりに、こんなに楽しく居れた気がする。それもこれも、全てはエミリアのおかげだった。


「...いやあ、負けちゃったね。レイに負けるとは思ってなかったんだけどさ」

決勝戦が終わり、のんびりと過ごす時間。僕とエミリアは、そんな事を語り合っていた。

「僕だって焦ったさ。あんなにエミリアが強いって思っていなかったから」

「ふふ、そうだね。ボクも自分があんなに強いなんて知らなかったよ」

そうして笑い合うと、唐突に思い出したようにエミリアが口にした。

「...それで、さ。ボクが負けちゃったから、何か罰としてすることはあるのかな...?」


...僕は今の今までそのことを忘れていた。

しかし、そのようなことを彼女に言える筈も無い。

そんな事を考えると、一つ良い案が浮かんだ。

「じゃあ、ずっとそばにいて欲しい。どこか遠くに行かないで、ずっとそばに」


僕としては、その後の彼女の反応は驚きだった。

まずエミリアは目を見開き(多分驚き)、次に赤くなり(なぜだろう)、そして僕から視線を外した。

そんなになるようなことだったろうか。そう思って、彼女の顔を見つめる。すると、更に赤くなってそっぽを向いてしまった。

僕としては少し悲しかったが、きっと彼女にしか分からない事でもあるのだろう。


「...馬鹿」

顔が真っ赤になったエミリアに小さくそう呟かれたことには、僕は気付かなかった。



―――



次の日。

この魔術学院の主たる大会、魔術大会が始まった。

今日からは冬用制服になり、見るからに暖かくなった。

僕はエミリアにサイズの合わない制服を着ているのを見て「子供みたい」と言われ振り回されている。

...まあ、<神体降臨レヴァイン>の件もあることだし、仕方ないっちゃ仕方ないのだけど。


ともかくとして、今日の魔術大会は殆どの人が参加する大一番だ。

基本として魔術結界、反魔術と通常の攻撃用魔術を並列使用できなければ話にならず、第一考査でこれが同時に使えた者のみ第二考査―――つまり、本戦に出場している。

シンは並列使用できていたが、攻撃魔術が<紫雷八光華ガドヴァルトスド>しかない様なので出場辞退、ユウはそもそもとして魔力が無い為に出場断念。

「この世界に銃があればこんなことにはならないのに」と苛立ちながら言っていたのが妙に思えた。


因みに、この魔術大会では魔術で作ったものなら実体ある武器の使用も認められている。

つまり、あの双剣も使える筈なのだが―――。

【魔術大会では、剣術大会で使用した剣を使用できません】

そのアナウンスが流れ、自分で一から作ることにした。因みに、前の戦いで作ったものも持ち越せるので、以外と最後は兵器類が多くなったりする。

だが、僕は正々堂々戦うことにした。


―――筈なのだけど。

決勝の座に残っていたのは、またもやエミリアだった。


「...奇遇だね。またボクとレイが最後に戦うことになるなんて」

エミリアも、驚きを隠せないようだった。


僕たちは一切魔術剣を行使していない。此処に来たのは、単純に自前の魔術だけだ。

それに加えて、此処に通うものの殆どは魔術の並列起動すらまともにできていなかった。

出来た者も、反魔術に魔力を吸われ過ぎて殆ど弱っちかった。

唯一強かったのはイアだった。バンバン魔術を弾幕の様に張り巡らせてくるし、ピンポイントで魔術障壁(魔術結界の上位互換)を張り巡らせるために魔力消費も少ない。


そんな中勝ち抜いてきた僕たちだが、どうしたものか。

と、岩が飛んできた。いや、正しく言うならば火、水、風、土、氷、虚、無、光、闇の属性でいう所の土魔術の一種である<岩弾砲ストーン・カノン>だろう。

そんな岩を同じ魔術で相殺すると、僕は手元に剣を作る。


いつもと違って長剣を持った。イアやユウでいう所の、『カタナ』だ。

しかし、反りがあるものの両刃で、どちらが強いとか弱いとかいうのは無かった。

そして、僕は魔術式弾幕を張り巡らせていく。

エミリアはそれにあえなく身を焦がされていくが、死なない程度の火力しかない為に表皮が焼けこげるだけだろう。


真っ黒焦げになったエミリアが投降すると、僕は<時間遡行スリーパー・オン>で彼女を直していく。

流石に可哀想なことをした気になった。


...結局、剣術大会・魔術大会の両方とも僕とエミリアが決勝で戦い、僕が勝つ形式になった。

魔術大会は僕のワンサイドゲームだった気もするけど、それは気にしないことにしておく。

そして、季節は流れ―――。

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