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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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剣術大会―――一回目―――

シンに弱みを握られ、死ぬ気で戦わなければならなくなった僕。

シンやレーヴァ、エミリアと言った僕の親友たちにもその剣を向けなければならないとなると、僕の心は痛んだ。

...いや、レーヴァは特に痛まない気もするけど。


ともかく、僕の中では皆は親友で戦友で...それでいて、僕が支えなくてはならない、不完全な者達だった。

これでは皆がどう動いても、何をしでかすか分からず少し怖いので共にいる感じだ。

エミリアはまあ暴走するレーヴァを支えそうな気もするが...。


そんな感じで、僕は戦々恐々としつつもその頭の中に気楽なことを考えつつ、剣術大会緒戦に挑むのだった。



―――



「剣は自前のものでいいですよ。ただし、あくまでも<物質創造バース・デモニッション>を用いて創られたものであるように」

「じゃあ、このままでいいですね」

「そうですか。では、剣術大会に希望を持ち、争いつつも相手の敬意を忘れないようにしてくださいね」

【それでは第一戦、レイヴン・ヴェルドリアとデモサ・エヴィデンの試合を開始します‼】


そうして始まった第一戦。

相手のデモサとかいう人は、いかにも剣を握ったばかりだと言う風貌をしていた。

それに、何故そんな木の坊の様な物を二本持っているのだろうか。

僕たちみたいに効率を重視した『狩り』を行っているのならまだしも、対人では慣れない行動はするものではない。僕としては、もう魔術を打ち込んで一発で終わらせたいと思っているぐらいなのだ。


結局、一合打ち合わせただけでその木の坊モドキは砕け、あっさりと投降されてしまう。

早くも試合が終わり、楽しくない。

仕方なく黒白の双剣を仕舞い、ちらりとデモサと言ったその男を睨む。

すると、その目にはいやな光が浮かんでいるように見えた。



―――



そんな調子で、僕が準決勝に来るまで当たってきた7人は<物質創造バース・デモニッション>の腕があまり宜しく無い様で、簡単に相手の剣は砕けてしまった。

そのたび睨むと、その目には僕があまり見たくない欲望の光を見たような気がしたのだ。

そのたび、僕は悲しくなった。


そして、準決勝。ようやく、僕にとって知っている人間が来た。

シン・ヴェルドリア。言動からアリオス・ヴァルディアヌスの転生後の姿だと思っているその存在は、相当に高い障壁となった僕を待っていた。


「...じゃ、始めよっか」

そんな一言と共に、シンは突然走り出す。が―――。

【シン・ヴェルドリアの不正行為を発見しました。シン・ヴェルドリアは失格処分とします】

開始前に走り出してしまったので、失格処分に。

僕よりも恐らく強いはずなのに、残念なことをしてくれたものだ。



次の相手はだれなのか。それは分からないが、エミリアとイアが闘っていたからきっとイアだろう。

因みに、イアの準々決勝の相手はセイタだった。

あの気味の悪い覆面で鋭い剣筋を誇っていたが、単純に乱入したとして退場させられていた。

ただ、見た感じは若干イアが押されているようだったから、きっと途轍もない剣豪だったのだろう。

ユウはエミリアに単純に負けていたが、其の剣筋はユウの知り合いであり、今はもう生きていないある少女に似ていたという。

それが誰なのかは分からないが、知って碌な事は無いだろう。

そう思って控えに行くと―――外から【エミリア・ヴァルディアヌスの勝利です。10分後にエミリア・ヴァルディアヌスとレイヴン・ヴェルドリアによる決勝戦を開始します】というアナウンスが。


あのイアが負けるとは思っていなかったというか、エミリアが勝つわけないと思っていたというか...。そんな驚きよりも、僕には驚くべき事象が存在した。

エミリアの家名だ。ヴァルディアヌスと言う家名はベルベッド帝国と言う古代にあったベルベッド系国家の起源ともいわれる時代から存在する家名であり、他の場所ではまずこの家名は使用されない。

それなのに距離的には何千㎞も離れたグレス王国にその家名が存在するとは、到底思えなかったのだ。

だが、そんな事を言っても仕方がない。

僕は、エミリアとの決勝戦に臨むのだった。

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