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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
34/92

異世界への行き方

...次の日。

僕は圧倒的寝不足に苛まされていた。


昨日は、ずっと魔晶鋼を作るだけだった。

セイタの言う時間平面上非同位体と言うのは、僕でいう所のイアがそれに該当する。

シンが<神体降臨レヴァイン>を使うならば、恐らくはアリオス・ヴァルディアヌスが見えるだろうと言う予想も、時間平面上非同位体という言葉を入れるだけで証明できてしまう。

でも、自分と同じものを作ろうとすると形容しがたいほどの頭痛が僕を襲い、結局自力で魔晶鋼を作ることになったのだ。


...結果、僕は寝るわけにはいかずに魔晶鋼を作り続け、常に明るめになっている船廠ドックに魔晶鋼が浮かぶぐらいの大きな塊になったところで精根を使い果たし、目覚めた時には輝かんばかりのエミリアの顔が眼前にあった。



―――



「...なんでこんなところにいるんですか!?」

「それはボクの台詞なのだけど...。」

突然目の前に現れたエミリアに、僕は驚くほかない。

しかしエミリアも同様の反応と言うのは些か不自然な気だする。

エミリアの事だ、僕の部屋に来ていたとしても「えへへ、来ちゃいました!」ぐらい言うだろう。

それなのにエミリアが何も言わないのは―――と、そこまで考えて冷や汗をかく。

まさか、あの二人...僕を女子寮に送り付けたのではないのだろうか?

それを裏付ける様に、少し離れたところからはレーヴァの寝息がする。


エミリアは素直だし僕の行動基準である〔公序良俗に恥じた行いをしない〕を分かっているからきっと僕がしたくてここにいるわけではないということが分かる筈だ。

ただ、レーヴァはどうだろうか。

存在自体が頭を抱えるものだったが、その行動すらもたまに破天荒なことをする節がある。

そんな彼女に僕がここにいることを悟られれば―――酷いことになるのは目に見えていた。


「ふにゅ...。」

と、寝言のようなことをレーヴァが言い出すものだから二人合わせて背筋が凍る。

そしてその様子を二人小さく笑い、エミリアの朝の日課だという買い出しを行うついでに僕もついていき、その途中で別れる。

...今日もまたあの部屋にお世話になる3時間後には、イアをしかりつけてやろう。

そう思うと、決意もわくのだった。



―――



『...戦艦なんて魚雷の10発20発で沈む様な脆いものでしょ?そんな事よりも、確実に盗難などなしに行き来できるようになるゲートの方がいいわ』

『そんなこと言ってると、セイタにどやされるぞ』

『...なんでこんな世界に来てるか知らないけど、そんなくそ親父の事なんてストライキすればいいじゃない。どうせ盗まれたうえでドカン、だわ」

「...何の話してるんですか」

「ああ、レイ。戦艦とゲートのどちらが帰還方法として正しいのかって思って」

いつも通りまっすぐユウの研究室に向かうと、珍しくイアとユウが口論―――というよりかはどこかで聞いたような話をしていた。


軽く目が輝いている様子のユウとあのアヤシイ白衣の男、ことセイタを天秤にかけるならばやはりユウが圧倒的に重い。

それに、セイタの事は無視したり言い包めることもできるかもしれないが、ユウは一応同じ立場にいるのだから敵に回すのは得策じゃない。


「やっぱりゲートの方がいいと思いま―――」

す、とは言わせてくれなかった。

ユウが「やっぱりそうよね‼あのくそ親父なんかの方法じゃ治安がいいところでしか上手くいかないもの!やっぱりこっちの方が金もとれていいのよ!」と言いながら僕の事を撫でさするからだ。

...僕の扱いはこの人にとって猫みたいなものなのだろうか。


そんな事を考えながら離そうとすると、扉が開く音が。

「...。」

その少女は僕たちを見るなりいつもの笑顔を消し去り、次に真顔、そしてまた笑顔に戻った。

しかし、「僕のレイですよ~?離してもらえませんかねえ~?」という少女―――エミリアの顔は、笑っているのに目の奥が笑っていないというか、僕の身に危機が迫っているとしか思えないような顔をしているようにも思えた。

「し、仕方ないわね...。」

其の表面上は笑顔でも奥底にある怒りの感情が感じ取れたか、ユウは素直に僕から手を引く。


「た、助かったよ。有り難う、エミ―――」

礼を言いながら彼女の顔を見ようとすると、そこには少しだけ怒りの感情が見えるともとれる笑みで一言。

「...何見せてくれるんだーッ‼」

僕には、その怒り方が理不尽なように思えてならなかった。


因みに、結局レーヴァは僕がいたことを気付かなかったようだ。

しかし、「自らの罪を認めないなら、レーヴァ様をレイが襲おうとしていたと言う」とエミリアに脅されている僕にしてみればどのように勘違いされるか分からない恐ろしさがあり、結局言葉を変える羽目になり、ユウにもエミリアにも僕に対しての敵愾心がうまれた気がした。

...エミリアの抱く敵愾心は僕に向けられているものではなかった気もしたけど。

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