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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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老いし勇者

...俺がレイグ王を殺してから、半年。

俺は魔王を殺した勇者として祭り上げられ、色々なことを行わされた。

レイヴァとの子はレグと名付けた。男だったから、剣を握らせることにした。女であっても剣を握らせていただろうが。


ようやく祭り上げられなくなったころ、俺達は旅に出ることにした。

最近雲行きが怪しくなってきているというのもあったが、何もなければ俺は無用な存在なのだ。

何処かに魔物を狩りに行こうか、というふうにレイヴァを誘ったところ、俺の言いたいことを理解してくれた。こういう所は、やっぱりレイヴァはすごい、と今でも思う。



―――



旅立つ日。

家を空け、最後の買い出しを行っていると、物々しい雰囲気の男が「アリオスさんはどこで?」と聞いてきた。

ゴロツキのような男は、恐らく俺に何かをしようと言うんだ、と感じた俺はとっさに「あちらの方です」と家と真逆の方角に男を案内し、適当なところで別れると家に全速で戻る。


「あ、アリオス。お帰り、そろそろいこっか?」

そんな流暢にしゃべれるのも今の内だという事も知らずに、レイヴァは言った。

そこに俺は今ゴロツキのような奴が俺達の事を探していたことを伝えると、

「...ついに来ちゃったか」

そんな事を口にした。


「...きっと、近くの国がアリオスの存在を邪魔に思ったんだろうね。

それで、暗殺しようとしてるんだよ」

なんて物騒な、と思える余裕はなかった。

早速物をまとめると、レイグ王の首を刎ねた時にこの地に溢れた魔王の遺産、通称魔力を使用して使う<次元収納デルヘドラ>の中にものを詰め込み、同じく魔力を使って<飛行フレイ>する。


痕跡を残さないで逃げられるのは短い間だが、俺とレイヴァは海を越える。

次元収納デルヘドラ>にレグを入れているのは正解だった。

常人であれば、船酔いという海岸沿いの漁師がなるものにもなっていたかもしれない。

そのまま飛んではたまに<紫雷八光華ガドヴァルトスド>を海にぶち込んで(魔力でも使えるようになった)感電死した魚を捌いては血を抜いて、寄生虫がいないことを確認してはそれを焼いて空中で食べる、という滅多にできない事を行って過ごした。



そして、半年後―――。

俺達は、謎の大島に着いた。

そこは、地下にとても大きな迷宮が有る事を見つけた。

俺は、こっそりと持ち込んでいた手記に『~~~地下迷宮ラビリントスに潜るべからず。異形によって滅ぼされるであろう~~~』という一文を書き込み、永久に残る様に魔力障壁を作って空気の影響を受けないようにして木枠に張り付けた。



そこを去った後、4か月ほどで島に着いた。

そこは広大で、大陸と言えるほどのものだった。

まばらな人には言語などなく、ほとんどが裸体だったためにレイヴァは恥ずかしそうに俯いていた。


俺は、そこに言語と貨幣、衣服の制度を伝えた。

結果、言語は昔いた―――仮称するならレギュリア大陸と同じ様なものに。

多少訛ったものだが、それでも俺は良いと思えた。

貨幣は、丸い形の良さを理解してもらえずに、細長いものになった。

そのくせ、丸い形のものを指す銭と名付けるのだから考え物だ。


そして、俺達は国を開いた。

グレス王国、という名で作ったその国は、民に平和グレスを与えるために付けた名だった。

それらは段々と国を為していき、グレス中心経済の一体になった。

それもいいが、俺はどうしたものか、と悩んでしまう。



―――そして、35年後。

俺は、久しぶりにレイヴァと共に魔物を狩っていた。なんだかんだで国のシステムを整え終わり、レグに王の座を譲ったのが12年前。

12年で魂が回帰すると信じられているこの国においては、それだけいたのは先祖の霊に王の座を認められたのと同義であり、その記念として50枚の銀銭と同じ価値を持つ1マリア銀貨が作られた。

此処でこの国の特徴である記念銀貨の伝統が生まれたわけだが、その銀貨は民に広く渡り、家宝とする様にレグ王のお達しが出ていた。

金銭はあまり使われないが、稀に使われるのが国家間の取引の時だ。


因みに、俺達は死んだことになっている。

俺達の遺体が入っている(中身は空)棺が上位貴族や王族の墓に埋められているのを見ると、少し涙が浮かんでくると言うものだ。

そんなこんなで魔物を狩っていると、何処からか矢が飛んできた。

間違って魔物だと思ったのだろうか。

そんな事を思いながら近づくと、そこにいたのはレグの子であるレガートだった。


孫に矢を射られていたことに悲しみつつも、俺はレガートに話しかける。

「矢を射らないで、剣を握らないのか?」

そうすると、レガートは腰に掛けている剣を抜く。

その具合はいかにも剣を握りたてのようだったために、俺に難なく弾かれていた。


「...いつもは負けたことないのに...。」

そう肩を落とすレガートに合わせる気はないが、俺は剣を教えることにした。

「年寄りだが、剣を教えてやろう」

そう言うと、レガートは目を輝かせた。

「はいっ!お願いします、師匠!」

そう呼ばれると、幸せな気になった。もしかすれば、先代アリオスも同じことを思ったのかもしれない。


2年後、レガートは強い剣士になっていた。

レグにも劣らないぐらいにはできたのではないだろうか。

「...これで、父上にも認めてもらえるでしょうか」

そういうレガートに「ああ、きっとレグも認めてくれるさ」と言い、レグが王だという事を思い出して口を閉じようとするが、「...そうですよね。きっと、父上も姉上も認めてくれます!」とレガートがフォローしてくれたおかげで助かる。


「...では、いつかまた会うことがあれば」

そう言って別れようとするレガートの背に「おい、最後の事が終わってないぞ」という。


振り返ったレガートに俺は言う。

「俺に勝って、アリオスの名を秘密裏に持っていけ」

目を見開かれたのは少しのトラウマになった。



―――



剣戟の応酬は60合ほど続いた。

ガキイン、ガキインという剣が交わる音が俺の感覚を鋭くし、剣を的確に振り下ろしていく。

が、流石は鍛えがいのあったレガート、それを防いで余りある剣戟を返す。


瞬間、俺は膝の痛みを受けてよろめく。

それを見逃さずにレガートは剣を振り下ろし―――

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