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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
28/92

レギュリアの地、再び

...初春を少しだけ逃したような季節。

レギュロス山脈を、しっかり換金を行ってから出、遂に僕たちはレギュリア大陸の地を再び踏んだ。

実に約3年ぶりとなるこの地は意外と海に近いのか、潮風が当たっていた。

それにしても、良い陽気だ。


「...僕たちは、ひたすらにここから南下していくことになります。その上で重要なことは、言葉が違う可能性が高いという事です」

僕は、外で作戦会議をしていた。

「...グレスとベルベッド帝国は同じだから、他もたいていそんな感じなんじゃないの?」

レーヴァは楽観視し過ぎだ。この苦労を分かち合えるのは、きっとエミリアだけだろう。


そう思ってエミリアの方を見ると、そっぽを向かれた。

きっと、疲れたから頼るなと言う事だろう。仕方なく、僕はレーヴァに説明していく。

「ベルベッドが帝国だったのは1200年前までですよ。あと、言語はある程度分割されています。まあ、一応ラィデォルはベルベッドの言語ですが」

「ほら、大丈夫でしょ!」

早とちりなレーヴァをたしなめるように、僕は「果たしてそうでしょうか?」という。


「...なんで、そんな意地悪なこと言うの?段々エミリアに似てきたんじゃないがっ」

語尾がおかしかったのは、シンがチョップしたからだ。

頭をさするレーヴァを見ながら、僕は続ける。

「道中は、色々な言語が存在します。ラギアスは言語が無かったところにベルベッド語が入り込んで浸食しましたが、こちらは陸続きで言葉も文化も多種多様です」



レギュリアには、大まかに分けて2つの宗教と4つの言語がある。

宗教は俗に教会と呼ばれる、正式名称『奉神聖教会』と同じくラヴィア教と呼ばれる『ラヴィア・オル・ディオス教』の二種類がある。

違いは、多神教か一神教かだ。

教会は名もなき『神』と天使、精霊によってこの星が作られたという一神教だが、ラヴィア教は色々なものを神が司り、神ならざる『ナニカ』によって星が、ひいては外天と呼ばれる星外をも作り、その『ナニカ』が神を作ったという宗教だ。

教会はラヴィア教を邪教としているが、ラヴィア教は協会の『神』をラヴィア教でいう所の『ナニカ』とし、正面切っての敵対はしていない。ただ、教会の異端審問会がラヴィア教を脅かすことに対する報復と言う名目で、小康状態のまま水面下での争いは続いている。


言語は4000年の昔から国が変わっても変わらない言語とされるベルベッド系言語、教会の法王が聖誕祭などで使う、これも太古から伝わる聖奉語、ラヴィア教伝来の言語であるレヴィング語にベルベッド語が混じったヴェーリング語、そしてこの北方零度に伝わるベルベッド語に少しアクセントが加わったようなガヴェイルド語の4つだ。

分布は割と適当だが、ベルベッド語はレギュリア大陸標準語としてどこでも使える。

ただ、そんな事を言わずに言葉を覚えさせるのは理由があった。


「...どこかに放浪しながら魔物を倒すのならば、言語を覚えなければやってはいけないってことだよ」

と、僕が言いたいことを先に言ったのは、シンだった。

少しだけ恨めしそうにシンを睨みつけた後(その睨みは、シンが肩をすくめて見せただけの効果だったが)、「まあ、そういう事です」と言った後に一言付け加える。

「...どうせ、一緒に放浪するんだろうから、ね」




―――



意味合いとしてはアストラル・デスティニアのと言う枕詞が必要だった。

そう思ったのは、エミリアが顔を赤くし、レーヴァとシンが白い目で見てきたからだ。

なぜこうなっているのかは分からないまでも、自分の今の状況が大変なことに気付いた。

「助けて!」

そう言ったのだけど、近くに通りかかった人が「℣℣?℣℣℣、℣!」と言ってくるものだから溜まったものではない。


仕方なく<言語通訳《ヴォイ・ラディ―ク》>を掛けて聞いてみた。

「...なんで|【Tuers-kee t】《ねえ、君》なんて言ってんだ?大丈夫か?」

その人の言っていたことは、単純な心配だった。

少しだけ恥ずかしくなり、「...間違えました。すみません」と言うと、変な奴と呟きながらその子共は消えた。


「...このように恥ずかしい思いをしますからね、覚えた方が何十倍もいいです」

耳まで赤くしながら言う僕の言葉が功を奏したか、珍しくまともに言語を覚えようとしていた。

でも、シンが「別にベルベッドの言葉を覚えていれば最悪伝わるから、覚える必要はないんじゃないかな?」と言い出し、その後に「...そもそも、こんなところすぐ出るんですから次来た時に覚えればいいじゃないですか」という正論をエミリアにぶつけられ、僕の言語習得大作戦は頓挫した。

ただ、ラィデォルまで行けば異言語の事も学べるだろうと思うと、少しだけやる気がわいたものだった。

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