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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
27/92

最後の問題

『...?』

エミリアと僕は、つい顔を見合わせてしまう。

ラィデォル魔術学院に入りたいとシンが小さなころ言っていたのは思い出していた(その時はまだまだ何も知らなかった覚えがある)。

でも、何故それで此処に進学の文書が届くのだろうか。


「...ああ、そういえば僕は言うべきことを抜かしていたね。

ラィデォルにはね、今イアがいるみたいなんだよ。そこで特別生として入学してるようでさ。

研究のために在学期間を終えても学院に残っている...なんとか、アイシクル...?とか言ったかな?その人と共同の推薦で僕たちを招聘しようとこうやって一応ギルドリーダーの僕に手紙が届いたってわけさ」

何時ギルドリーダーになったのかは知らないけど、イアの場所が特定できたのはよかった。


が、同時に、僕にはある感情がこみ上げていた。それは―――。

「それを何故すぐに言わなかった」

途轍もない、怒りだった。

いつ振りか分からないが、僕はその後シンを叱った。

こんな事滅多にない為、自分でも少し驚いた。



―――



「...で?行くの、行かないの?」

次の日僕たちがレーヴァに話をすると、レーヴァにはそのことが伝わっていた様で即決を迫った。

「何故僕に聞くのか...?」という疑問に関しては異口同音に「「「事実上のリーダーはレイだから」」」と言ってくれた。それなら最初からギルドリーダーも僕にすればいいのに、とは口に出さなかった。


「...今すぐにでも行きたいところですが」

僕の言葉は、自分で言っても空しくなるくらいに煮え切らないものだった。

その話はエミリアにもしたものだったために、僕の口からはすらすらと似たような文言が出てきた。

しかし―――エミリアは、最悪こちらにいたままでも問題外だ。

だが、レーヴァに関して言えばその限りではなかった。


自由奔放に生き、シンと睦言を吐いている様な彼女だが、一応は一国の王女だ。

これで悩むのは、何も今に始まった事ではない。それどころか、アストラル・デスティニア結成当時から悩まされていることなのだ。

シンが何も手を打たず、エミリアが振り回されているのだから、当然彼女の事に関して唸るのは僕になる。

しかも、そのことを本人は「別にいいじゃん」の一言で終わらせようとしているのだ。

気苦労は最近はめっきりなくなった...が、逆に旅の終焉が見えたことによって生まれてくるものもある。

二人の処遇は、その最たるところだった。


「...私は絶対に帰らないよ?」

レーヴァの一言は、このギルドを大きく揺るがすものとなに得るのを知っているのだろうか?

そう思いながら「ですがあなたはどうあがいても一国の王女、逃げることは出来ないものなんですよ?」と言うと、しかしレーヴァは頑なに首を横に振り続けた。

扱いに困ったものだと理由を聞くと、その口からは暗い感情が吐露された。


「...どうせ帰っても厳しい処罰の後に国の恥扱いされて、その後には政略結婚が待ってるから。

あんな牢獄にいるぐらいだったら、シンといる方がいいよ。自由がない生活よりは、脅威にさらされて簡単に死んでしまうぐらいが私には丁度いい。ずっと、私たちはそうやって生きてきたから」

達、の部分には引っかかるところを覚えたが、他の所はただグレス王国も勇者が作った国な筈なのに内政が腐った普通の国に成り下がってしまい少し失望を覚えただけだった。

「...次に赴くときには、叛逆でも起こすか」

そんな事を平然と言いのけるシンは、少し怖かった。



―――



「...で?どうするの、あの話」

レーヴァがようやく話を思い出し、僕に決断を迫る。

しかし、そんな答えなど今に思いつくものだ。僕は、いつものように軽く言う。

「勿論、行きますよ。レーヴァの方の面倒ごとが片付いたので」

「そんな毒つかなくていいのに...。」と言われてしまったけど、それに関しては僕に金銭の管理・問題の解決を全て任せていた3人が悪いと思った。

...本当に、旅が終わってラィデォルに着いたらどうしてくれようか。


そんな事を思いながら、その夜僕はこっそりと温めていたお父様への手紙を破り、新たに少し内容を書き換えた手紙を書き、皆が寝ている間にアリオス宛に出した。

気付いていたのは、寝付きが悪いエミリアぐらいかもしれない。

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