ラギアス天地
今回は短めです。
『アストラル・デスティニアか』
『ああ。なんて言っても、半年でSランクまで上り詰めたらしいぜ?』
『それはすごいな。流石は、全てǸǸしたもので構成されているだけある』
『まったくだ。ま、俺らもそうだから何も言えねえんだけどな』
『...彼らの後を追っていけば、恐らくは優の許に着く。着いた時優が襲ってくるのが先か、私が奇襲するのが先か...。まあ、奴には苦しみを味あわせてやるとするか。なあ、ヴァル?』
『...ほんと、アンタは悪い顔が似合うよ、斉太』
―――
なんだかんだで、ラギアス大陸に飛ばされてから1年が経った。
今は、ラギアス大陸とラギアス天地を分割するように作られている要塞群、通称『マギカ線』を超えたところあたりにいる。
ラギアスが嘘だったかのように大幅に魔物が増え、また凶暴さが何段階も上がったように思えた。
ただ、それでも僕たちはまだまだ余裕だった。
ただ...如何せん、草木が少ない。
マギカ線は天候をも操っているのか、ラギアス天地はいつも緑がかった不吉な空に少しの雲が浮いていた。
しかも、其の上夜でも少し明るい。人には慣れ難いが、魔物にとっては人を取って食べるには適した環境だと思える。
全く、どんなところに来てしまったのか。
そんなこんなで、僕達は今平和に?グローク公国公都エヴァ―ガルドにいた。
初めて、僕たちの許に素晴らしい依頼が届いた。
[緊急依頼 赤竜の討伐]。
SSランクの依頼だったが、緊急と言う事はどんなランクでも入れてしまうということだ。
結局、SSランク14部隊、Sランク1部隊、Aランク6部隊、B以下73部隊の94部隊(実力的にはSSランク16個分くらい?)がこの討伐に参加した。
どれだけ凄惨な戦いになるか―――それは、今の所誰にもわからなかった。
―――
「よし。一応、このクランの代表ギルド<炎帝>のリーダー、カースだ。赤竜なら大体俺達といい勝負ぐらいだから、お前らは引っ込んでていいぞ。勿論、報酬は山分けだがな」
当然、不満が飛び交った。
シンだけは龍と呼ばれる竜の上位種が出る可能性を示唆していたが、肉体が残る龍などいる筈がないと一蹴されていた。
...結局、皆が不満げながらもカースについていき、エヴァ―ガルドから少し離れた街に着くと、皆が真剣そうな表情になる。
なんとなくそういう空気だったからだが、真剣そうな表情をしていないのは我がギルド、もしくはカースぐらいだった。
そして、その冒険者ギルドを出ると―――突然、先頭にいたギルド17が消し飛んだ。
ドサッと言う音と雪が炎に焼き尽くされていくのを見て、それでも殆どの者は止まっていた。
これは一瞬の事だった。
またBランク以下のギルド34が消し炭になり、そこでようやく皆はその元凶を見た。
触れるだけで灼かれそうなほど赫い鱗。
一般的な竜の見た目に、冠のように発達した頭部。そして、そこに埋め込まれた古い錆びた鉄剣。
そして、一番の驚きは―――。
《我に近づくでない、痴れ者が‼》
―――その龍が喋ったことだ。
こんな事をきっかけに、<炎帝の役>と呼ばれる冒険者ギルド史上最大の犠牲者を出した戦が始まるのだった。




