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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
20/92

陸伝いの未来

「「...やっぱりラギアス天地から行くのがいいと思う」」

エミリアとの連携が十二分になった頃(と言っても三日しかかかっていなかったんだけど)、二人はようやく結論をまとめた。

「...ボクはそれに反対です。時間がかかりすぎるし、何せレーヴァ様も戻らなくてはいけないのですから―――」

ただ、エミリアはやはりと言うかなんというか反対のようだ。

その反対の理由を滔々と述べているけど、実際はもっと子供っぽい理由のような気がした。


それは長年一緒にいるだろうレーヴァもよくわかっていた様で。

「...って言うけどさ。実際はラビリントスに入って迷宮がどう言うものなのか見たいだけなんじゃないかな?」

「うぐっ」

...どうやら図星のようだ。


「...ま、僕もラギアス天地の方がいいかな。エミリアが浮かれて海に落ちないとも限らないし」

「ボクにとっての信用は皆無なのか!?」

「「「うん」」」

エミリア以外の全員に信用がないと否定され、エミリアは少し泣きそうになっていた。

慌てて何とかとフォローしていたレーヴァだったが、自分の殻にこもったエミリアにとってのフォローはそれこそさらに殻にこもらせる要因になっているようにしか思えなかった。


仕方なく、暗い目をしたエミリアと共に外に出る。

早めにここを出ることにしていた僕たちにとってはすぐに戻る気でいた。

「...ボクって、そんなに信用無いのか...。」

マズイ。非常にまずい。このままだと、恐らく彼女は疑心暗鬼になるだろう。

「い、いや、多少子供っぽいところが残ってるってことですよ」

「...子供っぽくて何が悪いんだよ。ボクだって、まだまだ子供なんだよ。少しぐらいそうやって楽にしてもいいじゃないか」

僕は、エミリアの本音が聞けて少しだけ嬉しく思った。

それにしても―――なんだろう、子供っぽいエミリアを見ると少しだけかわいく思えた。

...いや、そんな甘さを持ってると魔物にやられる。そんな思いは捨てなくては。

そう思っても、僕の心の中には確かにエミリアの事を想い続ける部分が生まれたのだった。


「...帰ろっか。きっと、ラギアス天地の方にも楽しいものはあるしね」

「主食・魚で暮らすのは勘弁ですからね」

「...ふふっ。なんだよ、その子供っぽい理由」

「...子供っぽくて悪いですか?」

「いや?寧ろ、その位がいいと思うな」

僕の理由も子供っぽいのだろうか。少しだけ恥ずかしさに頬を染めた後、いつもの依頼後の帰り道のように、僕たちは笑いながら帰った。



―――



「「遅い」」

のんびりと帰ってきたからだろうか、二人にはそう怒られた。

「明日が出発の日だからね。今日は早めに寝ようか」

シンがそうまとめ、僕たちは寝ることにした。


次の日は皆が驚くくらいの快晴。所謂、「パンデモニウム晴れ」というやつだ。

...なぜ<空の境界(パンデモニウム)>晴れなのだろうか?

まあ、旅に出る日には最高の天気だった。

「...いやあ、遂にラギアスを出るのかあ。初めてだなあ、こんなことも」

「...一度だけですからね。国を出たのは」

僕たちは国を出たどころか異郷の地に飛ばされたんですけどね?そこのところをこの方たちは分かってくれているのか。


「話してないでサッサと行くよ。時間は早く着くに越した事は無いんだから」

と、そんな懐郷の念を断ち切る様に取り付く島もないことをシンは口にする。

仕方なさそうに二人は動き始める中、シンは言った。

「次の国を越えたなら、もうこの服装じゃなくて普通の軽装でいいと思うよ」



...5日後。馬車を色々と経由し、僕たちはグレス王国の上にある小国を抜けていた。

そういえば、相当高くつくけどアリオスにある冒険者ギルドに着くことは出来る。

つまり、今すぐにでも戻る事が出来るということだ。

でも、確かそれを許されているのは名称のみが存在する∀の称号を持つ冒険者のみだった筈だ。

つまり、どうやってもそこには行けないということだ。


まあ、暑苦しい覆面と外套を脱ぎ、僕たちは普通の姿になる。

「...思うんですが、レイって本当に背が低いですよね」

その外套を取り終えた瞬間、そう言った言葉と共にエミリアが僕を抱きしめる。

いつの間に行ったか、僕の腕に外套と思しき何かが巻かれていて手を動かせない状態にあった。

かといって魔術を使えば、恐らく全員被害を被るだろう。

つまり―――。

「...このまま、ずうっと一緒にいれたらなあ...。」

「...。」

「「...へえ~?」」


―――僕は、エミリアに好きなようにされながらシンとレーヴァの生暖かい目に晒されるという屈辱を味あわなければいけないのだ。

...ただ、それも悪くはないと思ってしまった僕もそこにはいた。

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