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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
17/92

<ゴブリンの森>での出会い

「...ッはあ!」

「...よっ、と」

唐突に転移の気持ち悪さが僕たちを襲い、そのまま崩れ落ちる僕と、慣れているのか何の反応もないシンはゴブリンの森と呼ばれる自然保護区域に来ていた。


此処はゴブリンが集められた森で、自然そのままに保たれている魔術結界マジック・エリア内の場所だ。

ゴブリンの安定した討伐を行うために魔術結界が組まれたけど、逆に討伐のし過ぎも行えない。

一定の量までゴブリンが減ると、その段階で魔術結界は封印され、受注している冒険者は締め出される。

そして、初夏に数を大きく減らしたゴブリンはまたもや発情期に陥り、冬に数を増やしたゴブリンたちをまた狩り、生き残った者達がまた発情期に陥り―――というループになっていた。


まあ、そんな裏事情は少なくとも僕は知らない。シンはどうかは分からないけれども。

とにかくとして、僕たちはこの安全圏内と思われる茶色のサークル内から飛び出て、ゴブリンを倒すことに。

これを橋頭堡として、僕たちは冒険者として一角の人物になるのだ!



―――



―――と意気込んだはいいものの...全然ゴブリンが見当たらない。

「奥のほうまで行かないとゴブリンは現れないよ。大体...後、一時間くらいは走る必要があるかな」

なんてことを...と思ったけれど、僕は仕方ないと悟り、何とか奥地までたどり着こうとする。

ただ、真面目に言っては面倒臭いだけだ。だから、魔術を作り出すことに。

結果だけをそのまま実行する<結果実行ジェリド>を編み出した僕は、「ちょっと掴まってて」とシンに伝え、僕たちの足で止まらずに一時間進んだ結果で<結果実行ジェリド>を発動させる。

結果―――それがこれだ。


『ちょっと、そっちは危ないですよ―!?』

『大丈夫大丈夫。...わー、何コイツー!?』

『ゴブリンの上位個体ですよ!危ないですから、下がっててください!』

『エミリア、ソイツ強いんでしょ?だったら、いくらあなたでも危ないよ!』

『レーヴァ様の方が危なっかしいですよ‼』

そう罵り合う声と共に、剣戟の音がした。

それが僕たちの着いた場所だった。


「「...取り敢えず、あっちにいこっか」」

その言葉の意味するところは同じだとしても、思っていることは違う気がした。

何故なのだろうか、と考える必要はなかった。



―――



「...あれ?なんか、あっちから人が来るよ?」

「そうですか!じゃあ、レーヴァ様はそちらの相手でもしていてください!」

「...なんか、私の扱いひどくない?一応王女な筈なのに...。」

「ボクの事を友達として置いてくれたのは貴女でしょう!?いいから、そちらに行っていてください!」

「はーい...。」



―――



近くまでくると、二人の少女がいることを再認識した。

片方は喋りながらいつものゴブリンより一回り―――いや、それ以上に大きい気もする―――大きいゴブリンを相手取っている。しかも、ソイツは剣を振り回しているのだ。

で、もう片方は―――と、気付けばその少女はシンの横まで来ていた。

「...どうも!こんなとこまで何しに来たの?」

よくもいけしゃあしゃあと言えたものだ。でも、取り敢えずはもう一人と話しておきたかったから、上位個体だと思われるゴブリンを魔術で倒す(多分、<風塵ダスト・レイズ>で)。


「...あれ?ゴブリンはどこに...?」

と、剣でしか倒したことが無いのか、もしくは魔術を知らないのか、そんな感じに周りを見渡す少女その二。

「...おーいエミリアー?もう魔術で殺されたよー?」

と、真面目に少女その二―――もといエミリアと言う名らしい少女に少女その一―――聞こえたところから言えばレーヴァと言ったはずだ―――が呼びかける。

その声でようやく気付いたか、少し恥ずかしそうにした後にこちらに小走りで向かってきた。




―――



「...すいません、うちのレーヴァがこんなんで」

エミリアと言う少女の第一声はそれだった。

こんなん扱いされたレーヴァは不服そうだったけど、謎の力関係かそれ以上不平を言う事は無かった。

「いやいや、こちらこそ兄さんが魔術で手柄を横取りするような形で、申し訳なかったです」

こちらのシンは同じような言葉を吐いてくれたけど、そちら側とは違い僕たちには力関係などない。

だから不平を言うことにしたのだけど―――。

「(...何も言わないなら、何か美味しいものをおごってあげるよ)」

くッ、食べ物でつられるわけには―――っ!

「(...そうだね、レイヴァ伝いで豪華な夕食を頂けると思うからさ)」

しかし、その言葉を聞くと僕は押し黙る。


そうやって、少しだけ力関係が生まれてしまった僕たちに、レーヴァは僕にとっては意外な事―――そして、シンにとっては以外ではないだろう言葉を掛けてくれた。

「...助けてくれたお礼に、何かさせてください!」

もしかして、だけど。シンは、これを見越して言っていたのではないのだろうか...?

そう思うと、今更ながら不平を言いたくなった。

...クソッ‼

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