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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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冒険者ギルド

...冒険者ギルド。

魔物の多い、このラギアス大陸やラギアス天地(魔物が多い事から魔大陸と呼ばれることも)、それに僕たちのいたレギュリア大陸を南下していくと着くログロス大陸と言った大陸などに広がっている、魔物討伐を主流として他の色々なことも行う、いわば便利屋のような物だ。

冒険者と言うとどうしても迷宮ラビリンスと呼ばれる突然現れる地下迷宮に潜ったり、強い魔物を倒したり―――と、そういう形でイメージされがちだけども、それは一部の強い冒険者たちが束になってやっと行うようなものだから、実際はそんなふうになる機会などあまりない。


まあ、僕たちの中ではそう言ったイメージはあまりないのだけど(シンは知らないけど)。

ということで、僕たちはまともな武器など持たずに冒険者ギルドに来ていた。



―――



『子供が二人、か...。助けてやるか?』

『...いや、案外大丈夫だろう。あの二人はああ見えて強かったり、魔術に対しての適性が高かったりするのだろうからな』

『そうか。...ところで、優の居場所が分かったんだが―――』

『大事なことは早く言わなければならないだろう!?何故それを伝えなかった!?』

『いや、アンタが子供に興味を持ったからだろう?』

『私にとって、今の急務は優を絞る事なのだ‼人の成果を横取りした挙句、この世界でのほほんと暮らしていると思えば―――私は子供を見捨てることも厭わないのだよ‼』

『...ほんといい性格してるよな、アンタは』



―――



「えーと...冒険者としての登録ですか?それならばまずは名前と、後お子様のようですから両親のお名前も―――」

「「そんなものは持ち合わせていない」」

「...分かりました。お名前だけで結構です」

背丈で子供と認定された僕は解せぬと返したい。

一応、僕もシンも同じ年なのだけど―――まあ、この背丈と声の高さであるならばそう思われるだろう(声変わり前の少年と)。

とにかく、名前を書くことに。

...ただ、此処の言葉は少しだけベルベットと違ったから文字も違うのだろうか、と言った疑問のせいで名はかけなかった。


と、そんなところへシンは助け舟を出す。

「...此処の文字は今までと同じだから大丈夫だよ。あと、言語も文字もラギアスまでは此処と同じだから、ある程度は通用するからね」

おー、なんというありがたいお言葉か。僕ならば涙が出ずに笑顔のシンの顔を抓りたくなるね。

でもまあ、一応は恩人なのだから軽く礼をして、今までと同じ形の名前を書く。


すると、少しだけ受付の担当さんが困ったような顔をした。

「...えーと、シン様?のお名前の横に、『アリオス・エラグト・グレス』という文字が書き込まれているのですが...。」

「...何がどうしてそんな文字が書き込まれたんだか」

シンよ、それは僕も言いたい。いや、むしろ言わせてくれ。それは正真正銘シンが書いたものだと。

僕は確かに、左手でシン・ヴェルドリアと書きながら右手でアリオス・エラグト・グレスと書いているのを見た。それが何よりの証拠であるのだけども、シンはそれに気づいていなかったのだろうか?

...いや、もしかすると―――シンの前の肉体の名前なのではないのだろうか?


「...まあ、僕の名前は今は(・・)シン・ヴェルドリアですよ?アリオスなんて名前、聞いたこともありませんから」

そう嘯くシンは、いつそんなものを身に着けたか偽りを表すポーカーフェースで笑みを浮かべていた。



―――



「...終わりましたね。

今はGランクから開始ですが最大でSSランク、多大なる活躍をすれば∀と呼ばれる全ランクの依頼が受けられる名誉ランクになれるかも!?―――だそうです。では、ご健闘を祈ります」

その言葉と共に、僕たちに小さなカードが渡された。

「これはランクを表す、いわば身分証明用のものです。なくさぬように、依頼を一度行うまでは常に持っておきましょう」

そう言うと、受付担当の老紳士は微笑みながら引き返していった。


「...さて、今の時期だと小鬼ゴブリンが大量繁殖している時期かな。多分、Eランク緊急依頼って形でゴブリンの討伐って言うものがあるから、それを依頼したらどうかな?」

そのシンの言葉を聞き終えるが早いか、僕は依頼板を見る。

すると、やはりと言うかなんというかシンが言ったものと一字一句変わらないものが依頼としてあった。

討伐数×銅銭20枚と言う、初心者の行う依頼としては破格の値段を誇るこの依頼は、今金欠に泣かされてここに来ている身としてはありがたいものだった(どこの世界でも希少価値が低く、値段が物価を表すと言われている林檎は銅銭6枚だったことから、相当物価が安いものと思われた)。


シンの首根っこを掴むと、僕はその依頼板にあった二本の小さな玩具の剣を持ち、依頼受付に出す。

「承りました。銅銭5枚で剣をお貸しする事が出来ますが―――」

其の言葉を最後まで言わせずに否と答えると、僕たちは依頼地に向けて出発する。


...と、「こちらの転移床ガレヲニア・パレスで目的地まで赴くことが出来ますが...?」と言われ、恥ずかしい思いに赤面しながら、僕たちは目的地・ゴブリンの森に向かった。

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