スライムとMP検証
俺は手に触れているスライムを見ると、スライムが丸々と見ている合間に膨れ上がっていくのだった。
しかし、特に体に異常は感じない。いや、なんかスッとするような感触はあるが。俺はスライムを一匹一匹手に取りながら膨らませていく。
「ちょ、ちょっと、何やっての? MP切れで死んじゃうわよ!」
「MP切れたら死んじゃうんですか?」
「ああ、いや、意識を失うだけだけど、敵の中でMP切れ起こしたら大概そのまま死に直結だから」
「MPの残量って自分じゃ分からないんですか?」
と言いつつ俺はスライムを膨らませていく。今度は二匹同時だ。
「自分で使ってるときはリミッターが掛かって分かるけど、MPドレインの場合は無理やり奪い取られるから、そのまま失神ね」
しかし、言ってる傍から空気入れで風船を膨らませるように、スライムにMPを与えているが、特に何か減ってる兆しはない。
結局集まったスライム全部を膨らませてやった。
「はああ? あんたのMPどうなってんの?」
「はあ、MPなんて、見たこともないし測ったこともないし意識したこともないしぃ」
俺はスライムのプール~マットの上から地面に戻る。
特に変わった感じはない。
いや、変わったのはスライムで転がりながら俺の足にすり寄ってくる。
「お、どうしちまったんだ、お前ら?」
「ああ、ああ、そりゃテイムしちまったんだねえ。しばらくついてくるよ」
「テイム? スライムは仲間になりたそうにしてるってやつですか?」
「ああ、いや、もうあんたの仲間だよ、そりゃ。C級テイムだから餌が切れたら、つまり腹減ったら、どっか行っちまうさ」
「C級テイム?」
「ああ、テイムにゃA、B、Cとランクがあって、Ⅽが餌で釣るテイム、Bが契約でのテイム、契約条件が簡単なほどテイムしやすくて、複雑で条件が厳しいほど成立しにくい。Aが忠誠心によるテイム。一度A級テイムすると、ちょっとやそっとじゃ裏切らない。テイマーにカリスマが必要だけどね」
「メラさん、1匹のスライムがドレインするMP渉がってどれくらいっすか?」
渉が訊く。
「ああ、うん、30から50じゃないかな?」
「こいつら50匹以上いるよな? 今、お前は1500以上MP奪われたわけか?」
「えっ」「はあっ?」
クララとメラさんがハモる。
「ああ、そう言えば、なんか懐が寒い気がする」
スースーと体内に空間が出来たような喪失感だった。しかし逆にまだ、同じ部分に残留感があるのも確かだった。
俺が杖で衝撃波を使っていた時は殆んどMP消費している自覚は無かった。
しかし、ドレインされている時は減少している感覚は後半になるにつれ、確かにあった。
そして、明らかに余裕があったから、ドレインされるに任せていたのだが、今現在恐らく半分以上が喪失した状態だ。
渉の大雑把な計算で1500MP無くなっている、これが正しいとすると、残りは1000程度かな?
今の所、MPを使う目途が立っていないが、失った1500がどの位の時間で復活するか知ることが肝要ではなかろうか。