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まあ、案内人の言うことは素直に聞いとくか

「ここから、だいぶ歩くのですか?」


「うん、一時間もかからないから」


「歩きながら、相棒と与太話とかしててもいいですか?」


渉がそう言いだすので俺も追随した。


「耳障りでしたら直ぐに控えますので」


「ああ、うん、たぶん、ここなら声や音でやばいのが来たりはいないだろうから、好きにすれば?」


「だってよ、渉」


「おお、じゃあ、ツッコミ入れっぞ…… その杖のアレ、発勁じゃねえだろ! 魔法だろ?」


「おお、そこにつっこんできたか。いや、発勁だよ手ぇ迄は。杖から先は魔法だかなんだか摩訶不思議現象だけどな」


「おかしいだろ! 自然に出し過ぎ! 屁やゲップじゃねんだからよ」


「いや、ほら、俺、勇者やったじゃん、やっちゃったじゃん。あの直後からかな? なんかビビッと来てさ。杖握ったらピンピンピンピンて、こう、ひらめきがあったんだよ」


今思えばあれはレベルアップというやつではないのだろうか?

パワーアップというのではないが、一種の何か爽快感というものが連続して発生したのは確かだ。

気に入らないやつをノして気分が晴れたというには、どこか違う具体的な感覚だった。


「勇者、やっちゃったって?」


メラカナティンが話に割り込む。


「そいつが持ってる剣、勇者のだったんだけど、最初奪ったのは俺だったんだけど、そん時にそれで勇者の頭思いっきり、どついたんすよね。頭蓋割れただろうから死んだかも」


「ええっ、う、うそ?」


聖女にとっては流石にショックな話だったようだ。


「ところでさあ、シュウ、いつ勇者に反抗するって決めたぁ?」


「俺は、二言目だっけ? で決めたぜ。『素直に聞け』ってところでなあ」


「ああ、あれかあ。確かになあ、お前、ああ言うのに敏感だからなあ」


「渉は?」


「いい加減、説明セリフで決定はしてたんだけどなあ、名乗った時がリミッターカットだったわ」


「あれは,あり得ねえ」


「な、何でですか? 何でそんなに敵対しなきゃいけなかったんですか?」


と、聖女の奴が会話に割り込みやがった。


「お前らの感覚がおかしいわ! 俺が同じ立場の元召喚勇者だったら絶対に異世界からの召喚なんぞ許さねえ」


「平和に暮らしてる無関係な奴を殺し合いに巻き込むか普通? 何様のつもりだ? 偉そうに自己紹介? 普通、恥かしくて自己紹介なんか出来ねえだろ!」


「勇者様のつもりなんだろうけどよ。あの勝手に巻き込んどいてドヤ顔で素直に従え? ざけんなって思って当然だろうが、まだ原住民のお前が説明した方がマシだったろうぜ」


「げ、原住民?」


「性女だか生殖者だか蛆女しょじょだか知らねえが、もっと庶(原住)民感覚を養えよなあ」


「字面! 字面が一々おかしい! 変な当て字を使わないで! 呼ばないで!」


「ああっ? 何とぼけてやがる?」


「けっ、全く捕虜のくせに自覚してねえのかボケてんのか! お前だけだぞ! 未だに名乗ってねえの」


「え? あ、わ、私、クララニーナ……と申します。 シスタークララとお呼びください」


「誰が呼ぶかボケ!」


「クラクラクラクラ暗い名前名乗りやがって、てめえなんざクラで十分だ」


「ひ、酷い! 名乗ったのに! ちゃんと名乗ったのにぃ!」


「ああ、うん、聞くに堪えないから、せめてクラランとかにしてあげて。同性の好よしみだから、ね」


「同性の好だってよ! 感謝しとけよ!」


「聞いたかクララン。これが常識ある庶民の対応だぜ」


「常識ある庶民って、あんたたちに言われたくない!」


「ブーメランて武器こっちにあるか? 投げて攻撃その後帰ってくるヤツ」


「ああ、うん、あるよ。円月輪とかチャクラム」


メラカナティンさんが補完してくれる。


「てめえの言動はそのチャクラムだ。全部自分に戻って突き刺さってることに気づけよな」


「ああ、うん、クラランはもう黙ってたほうがいいよね。二対一だし。君らも大概にした方がいいし」


「申し訳ございません。実は召喚補正で、あちらの言語で考えてるのに、こちらの言葉が強制的に口から出てるもんで結構イラついてました。で、この女に当たり散らしてました」


メラカナティンさんについてきて余裕がでてきたせいか、この地バルマーとかの言葉が何故か普通に話せることについては自分なりにそんな風に解釈していた。


「ああ、そっか、そうなんだ」


「あれだな、ヘリウムガス吸い込んで、全然自分の声じゃない言葉が口から垂れてるあの感じ」


「それ! 渉の比喩表現には脱帽するわ。帽子被ってないけど」


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