表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/61

三十二話 楽しい休日

 俺たちは街の中心部にある神殿へと向かうため、長く伸びる市場通りを歩いていた。


「あれも、たべる」

「ルクシアちゃん? さっきも果物食べたわよね?」

「はい……」


 小さい身体ながら、食欲旺盛なルクシア。

 だがすぐにイリスに怒られている。

 それもそのはず、ホームを出る前に朝食を食べ、市場へと着いてすぐに肉を食べ、甘い匂いのする焼き菓子を食べ。

 そして五分ほど前に、爽やかそうな果物を食べたルクシアだ。


 俺個人の金なら、以前の稼ぎで余裕があるから構わないが……。

 まだ贅沢が出来るほど稼いでいない『Gemおれ's Ensembleたち』としては無駄な出費は減らしたいしな。

 すると少し先の出店を見ていたリリアが俺を呼んだ。


「シンさん! このアクセサリー可愛いです!」


 みんなで見に行ってみると、どうやら髪に乗せるタイプのアクセサリーを見ていたようだ。

 宝石は付いていないが装飾がよく出来ていて、出店にしてはなかなかの値段が書かれている。


「リリア。確かにその猫の耳と同じ形の髪留めは可愛いが、なんの効果も付与されていないぞ。」

「可愛ければいいんですよ! それにルクシアさんとお揃いですっ」

「おなじ」


 そう言ったリリアは、アクセサリーを自分の頭に乗せてルクシアの横に並ぶ。

 ルクシアも二本の指を立てて「ぶい」なんて言っている。


「そうだな。でも後ろにモンスターのような顔の、神族かみぞくのお姉さんがいるぞ」

「リリアちゃんまで……!!」

「あわわわわ、ごめんなさいっ!」


 さっきまではしゃいでいたリリアは、すぐに店主へと返すと俺の隣に来る。

 そうして俺たちは騒ぎながら歩いていると、ラプスウェルが急に横の道を指差して告げてきた。


「あたしこっちの店に用事あるから。先に行ってていいわよ」

「用事? どんな店なんだ?」

「いやっ、その……な、なんでもいいじゃない!」


 折角一緒に来たのだから、みんなで行けばいいだろうに。

 ラプスウェルは、うろたえながら顔を真っ赤にしている。

 なにか隠したい事でもあるのだろうか。

 俺がそう思っていると、イリスが慣れた感じで質問をする。


「ラプスちゃん、いつもの?」

「……うん」

「そう、分かったわ。じゃあ遅れないようにね」


 二人の中で、あっさりと話しが通じていた。

 俺は納得できなかったが、なにか言いたくない事情があるのだろう。

 するとイリスが「種族特有のもので、まだ恥ずかしいみたいだから。許してあげてね」と教えてくれた。

 そういう事ならしょうがない、魔族という種族についてはまだ知らない事ばかりだからな。

 もっと距離が縮まれば教えてくれるだろう。


 俺たちはラプスウェルと別れると、引き続き出店を回りつつ神殿へ向かう事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ