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二十一話 実りの森

 俺たちは<実りの森>に入ってすぐの辺りで作戦会議をしていた。

 正直ここまでにウルフと遭遇する可能性もあった。

 とは言え草原なら視界や周囲も広くて戦いやすいので、問題はないと判断した。


 この辺りなら、モンスターとはまだあまり遭遇しない。

 なので街の人が果物などを目的に、ここまで来る者も少なからずいる。

 だが森の中に入ると、そこはもうモンスターの生息地になる。

 今回の討伐対象であるウルフとの戦闘の仕方を教えるのと同時に、油断しないようにと釘を刺しておきたかったのだ。


「まずはリリア、矢は当てなくてもいい。ウルフたちの移動を牽制すればいいだけだ、出来そうならルクシアとラプスウェルの方に誘い込むようにやってみてくれ」

「はい!」


 ウルフは狼型のモンスター、当然俊敏さが高くて動きが早い。

 まずはリリアにその速度を殺してもらおうと思ったのだ。

 そして次はルクシアとラプスウェルにもアドバイスをしておく。


「次は主戦力になる二人だ」

「うん」

「任せて」

「二人にはリリアとイリスの壁になるような位置で待つようにしてくれ」

「まつ?」

「どうしてよ、相手の動きが早いんだから待っていてもダメじゃないの?」


 そう、ただ待っているだけでは相手の好きにさせてしまう。

 だがそれをリリアが牽制や誘導、イリスが囮になるような形が取れれば完璧だと思ったのだ。

 俺の考えを二人に伝えるとすぐに納得してくれた。


「みんなに改めて言っておくが、もしイレギュラーが起きたとしても俺もいる。あんまり気負わなくても大丈夫だ、なんたってみんなはステータスだけならSランクでも倒せるくらいのステータスなんだからな」

「あらあら」

「ふふっ、それは言い過ぎですよ」

「まぁ、言われた事はやってみるわ」

「いっぱいたおす」

「それじゃあ奥まで行こうか」


 俺はそう言ってルクシアに先を進ませる。

 獣人族のルクシアは<ビースト嗅覚・センス>によって斥候や尖兵として適任だったからだ。

 順番はルクシア、ラプスウェル、リリア、イリス、そして少し離れた位置で俺といった順番だ。


 まずはルクシアがウルフを探しながら、他のモンスターの少なそうな道を進んでいく。

 俺たちは通りにくい道が出てきても、壊したり道を作ったりしないように慎重に進んでいく。

 ウルフたちだけなら討伐対象なので構わないが、他のモンスターとも戦闘になると困るからだ。


 そうして少しずつ進んでいくと、森の中だが開けた場所に出た。

 近くからはゆっくりと流れる水の音が聞こえている。


「こういう場所はモンスターと遭遇しやすい。もう少し固まろう、慎重にな」


 俺たちはどの位置から襲われても対応出来るように、並び方を円形に変えた。

 そしてみんなに聞こえる程度の声量で、警戒するように伝える。

 もし周辺にウルフが潜んでいた場合、臭いや音で居場所がバレているだろうが、わざわざ大きな声で喋る必要もないからな。




 俺たちはこの場所で、たっぷり三分ほど待ってみた。

 その間ずっと周囲を警戒していたが、何も現れなさそうだった。

 なので奥の方へと進もうとしたその瞬間――暗めの灰色をした『ナニカ』が襲い掛かってきた。

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