聖夜
拳銃の弾を撃ち尽くすとスライドがホールドオープンの状態で止まった。
それを見て金髪が勝ち誇った様にこちらを向くと、右腕を真っ直ぐ伸ばして狙いを付ける。
男は空になった拳銃を金髪の方に投げつけた。
怯んだ隙にダッシュすると右手をポケットに滑り込ませる。
中にあったジャックナイフのボタンを押して刃を出すと右手で握って左手を添える。
ぶつかる様に金髪の胃を狙って身体ごと突進する!
金髪が拳銃の引き金を引いた。
タンッ!っと高い音がすると左の脇腹に焼けた様な痛みを感じる。
ショックで一瞬立ち止まりそうになるが、そのまま金髪の身体にぶつかった。
ジャックナイフが金髪の腹に吸い込まれる、ザクリとした感覚を覚えるとそのまま、軍手をした手を捻り込むと跳ね上げた!
「ガァ!チョッパリ!」
金髪はそう喚くと拳銃で殴りかかる!
男は背中を殴られながらも、今度は腎臓を狙って刺すと刃を上にして抉り込んだ!
金髪の悲鳴が周りに響く、そのまま前に押し出して壁に押し付けると、さらに抉りこむ!
ビクンッ!ビクンッ!っの金髪の身体が跳ねる、最後に刃を引き抜くとドサッっと音を立てて床に金髪が倒れた。
左の脇腹を見るとセーターに血が滲んでいる。
手を当てて血の色を見ると黒ずんでいた。
(俺も腎臓をやられたか…)
男は落ちていた拳銃を拾おうと、屈みかけると激痛が走る。
歯を食いしばって拾うと、左のポケットから予備の弾倉を取り出して拳銃に装弾する。
皮の鞄を左手で取ると玄関から出る時に、震えて座り込んでいる従業員と娘に。
「すまん…」
それだけ言うと玄関から外に出た。
ズボンのポケットに入れていたタオルを脇腹に当てて圧迫しながら大通りに出るとタクシーを拾った。
目的地を言うと、高速を使って30分くらいだと言われて外の景色を見ていた。
天王寺駅の近くにクリスマスツリーのイルミネーションがある。
駅の出入り口でケーキの販売をしていた。
今日は12月24日、聖夜なのを思い出しながら、遠い過去の記憶に思いを馳せていた。