白骨
ゴリが目を覚ますと病院の病室だった。
ナースコールで看護師を呼ぶと。
「警察の関係者は誰が居ないか?」
それを聞いて看護師が目を釣り上げて。
「体調不良以外は押さないでください!入院してるのは貴方だけじゃ無いんですよ!」
そう言ってゴリに向けての説教が始まった。
2度と同じ事はしないと、約束させられてから廊下に待っていた関係者を呼んで貰えた。
「大丈夫ですか?ゴリさん」
最近コンビを組んでいた西成署の若い衆が苦笑しながら病室に入って来た。
「あれからどうなった?」
ゴリがそう言うと病室を見回してから。
「ちょっと外へ出ましょう」
そう言うと車椅子を押して来た。
病院の外の喫煙スペースで、ゴリに煙草を渡してから火を付ける。
自分も煙草に火を付けるとあれからの事を喋り出した。
「バットでゴリさんを殴った奴は在日の3世でしたが」
射殺された男は韓国から来た男で、まだ数人仲間がいるらしい。
「小遣い稼ぎに車での移動の手伝いをしてたらしいです…あと」
韓国から来た男達は軍で同じ部隊に所属していた。
「白骨部隊こと第3歩兵師団、その中でも偵察大隊で北との国境で小競り合いも経験してるそうです」
北朝鮮との戦闘、北朝鮮と韓国との国境線。
そこでは今も偶発的に小規模な戦闘がたまにある。
たいがいは偵察隊同士の鉢合わせだ、記録に残る事の無い戦闘。
北朝鮮と韓国は今だに停戦のみで終戦には至っていない。
「戦闘証明付きか…童貞捨ててるな」
撃つときは殺す気で掛からないとこっちが死ぬ。
そう考えながらフィルターの根本まで吸うと一斗缶の吸い殻入れに投げ捨てた。
「で?攫われたホームレス達は?」
そうゴリが聴くと一瞬躊躇ってから。
「連中が根城にしてた冷凍倉庫から…」
倒産した冷凍倉庫を買い取って外国から輸入した肉の中に、密輸品を隠して運んで居たと供述が取れた。
「主犯格の男なんですが、元白骨部隊の軍曹で、頭を金髪に染めてるそうです」
先日殺された韓国人が金庫番で、売り上げの一部を盗まれたと供述し。
「今、盗んだ男を探してるそうです」
金を殺した男を拷問して吐かせた言葉が。
「ホームレスが殺害現場の近くに居た、そう言ったそうです」