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OL。

笑顔でいること、それが約束。

昔から始める前なのに無理だって決め付けることは嫌いだった。

だから、遠距離恋愛になるって聞いた時

何よりも笑顔でいることにしようと心に決めた。





今年もクリスマスが訪れる。

遠距離恋愛を始めて3年目の冬。

今日は本当に久々に会える日。

待ち遠しくて、待ち合わせの30分も前に着いちゃった。




出会いは6年前の夏場。

あたしがまだ18歳だった頃。

大学案内をしてくれたのが大学2年、20歳の彼。

眼鏡を掛けたクールな好青年。

それが印象だった。

その時は別にそんだけで、何もなかった。


再会は2年後。

あたしが20で相手が22。

相手はあたしがこの大学に進学したって思ってなかったらしい。

それから、あたしと彼はよく会うようになった。

学部が同じだったこともあり、勉強を見てもらったり、

お昼を一緒に食べたり、時間が合えば一緒に帰ったり。


半年後くらいに付き合ってほしいと言われた。

素直に嬉しくて、泣いたのを覚えてる。



彼は企業に就職した。

大学が結構いい所だったから割と大手企業。

これからバンバン働くよって嬉しそうにしてたのを覚えてる。


大手企業の割りに休みはしっかり取れていて

結構会うことが多かった。

お互い結構マメだったから、イベントなんかも忘れなかったし。

平日は会えたとして夜から日付が変わるくらいまで。

それだけでも会えることがとても嬉しかった。









その日のことは今でも覚えてる。

大学の昼休み、次の時間は授業がないからって

友達と2人でお昼を食べてた時だった。


『もしもし、今大丈夫?』

「うん、どうかしたの?」

『今日時間あるかな』

「17時には大学出れるけど」

『わかった、18時半にいつものとこで』

「うん、わかった」


予感みたいなものはあったんだと思う。

いつもと何処か違うってそんな感じがしてた。




「はるか、こっちこっち」

「お待たせ、少し遅れた」

「ううん、大丈夫だよ」


会うのは先週ぶりだった。

いつもと同じように見えるんだけど

何処か違う。


夕飯を食べようということになって

レストランに入った。


「今日はね、大事な話をしようと思って」

「大事な話?」

「うん・・・」


眼鏡を外して、テーブルに置く。

これは癖。

ちゃんと目を見て話したいからって

それは真剣な話をする前触れ。



「めんどくさいから本題から話すよ」

「う、うん」

「・・・異動が決まったんだ」

「・・・異動?」

「来年度から大阪の本社にね」


心臓をギュッと掴まれたようなそんな感じだった。

お互い何も言わない。


「それで、これからのことなんだけど」

「・・・・・ない」

「え?」

「別れたくない・・・!」


自分でも驚くくらい大きい声だった。

心臓の音がうるさい。

フッと相手の笑う声が聞こえた。


「俺もそのつもり」

「・・・」


その笑みでどれだけ支えられてるかって気付くの。

心臓を掴んだものがゆっくり離れてくのがわかった。




あたしが21歳、相手が23歳。

そんなあたし達の遠距離恋愛が始まった。


最初は無理だってみんなに言われた。

でも無理って決めたら無理なんだって思ってたから

あたしが笑顔で送ろうって決めてた。




1年に数回会えればいい方だった。

就職して1年で異動なんてことはその会社ではよくあることらしい。

それだけ忙しいんだよって電話では嬉しそうだったけど、

でも会えないのは実際辛かった。


『今年はクリスマスに帰れるよ』

そう電話で聞いた時は心の底から嬉しかった。

異動が決まってから年末は忙しいって言ってたし

よかったねって言ったら、上司が日ごろがんばってるからって

特別にくれたんだって言ってた。


時間までもうそんなにない。

気付いたら雪が降ってきてる。


「お嬢さん、傘はお持ちじゃないんですか?」

「・・・忘れちゃった」

「そんなら俺の傘なんてどうです?」

「そうねぇ、入れてもらおうかしら」


目の前に現れたスーツ姿の男にあたしは目を細めた。

大きいキャリーバックにコンビニで買ったと思われるビニール傘

相変わらずの眼鏡の奥の優しい瞳。


「零、おかえり」

「ただいま、はるか」


嬉しそうに頬緩めちゃって

あたしは零の手を取る。


「手袋してないと寒くない?」

「平気だよ、手繋いでれば」


そうやって紳士っぽく手を繋いで自分のコートのポッケに入れる。

こっちがドキドキしてることに気付かない。

それが零のいい所でもあり悪い所。

天然ていうのかな?



「仕事はどう?」

「毎日大変、ニコニコしてなきゃいけないし」

「受付は会社の顔って言われるくらいだからね」

「本当よ、全く」


フランス料理を食べながら話すことは仕事の愚痴。

これがあたし達らしさだったりする。


「ねぇ、はるか」

「ん?」


零が眼鏡を置いた。

あの癖。

真剣な話?


「・・・実は来年の1月にこっちに戻ってこれるんだ」

「え・・・」

「東京支社に戻ってくることが正式に決まったんだよ」

「・・・」


嬉しそうにニコニコしてる。

霊はあたしの手を取って、優しく握る。


「3年間待っていてくれて、ありがとう」

「ううん、いいの・・・」


泣くなんて柄じゃないのに涙は止まらない。

零は本当に嬉しそう。



「だから、一緒に住もう?」

「・・・」

「驚いた顔してる」

「そ、そりゃするわよ!」


手を繋いで、あたしの家に向かった。

実家には年明けに戻ればいいって言ってる。


「クリスマスプレゼントは準備してないんだけど」

「・・・いいの」

「え、いいの?」

「うん、だって零がこうやって帰って来てくれたことが何よりのクリスマスプレゼントだもの」




明日、一緒に近くのケーキ屋さん行こう?

あそこならきっとケーキがあるはず。

美味しいケーキを一緒に食べて

幸せだねって言い合おう。






幸せなクリスマスの訪れ。

みんなにも幸せが訪れますように。

OLって難しい・・・ww

遠距離恋愛はしたことないと思いますが←

いあ、うん、大変ですよね、本当にwwww

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