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それは人違いです。

「アナスタシア・ランスウォール! お前との婚約を破棄する! ここに居る全員が証人だ! 俺は、このマリエル・ミンス男爵令嬢と結婚する! 可愛いマリエルを傷つけた貴様らの領地は俺との婚約が無くなり、この先国に没収される運命だ! はっはっはっ悪女のお前には当然の報いだ!」


 学園の校舎と魔法科の専門棟をつなぐ渡り廊下を颯爽と歩いていたアナスタシアは、友人達と共にその声のする方を一斉に見た。

 声の主は婚約者のトラヴィス殿下。一緒に居るのはその取り巻きの、いずれも偉大な父を持つ少年達。 

 そしてトラヴィスと腕を組む、素朴な顔でやたらと胸の大きな令嬢が私達を睨みつけていた。    

 何故か「私」では無く「私達」。魔法科の中でも特殊な、騎士の訓練も受ける魔法騎士科という一般生徒達とは一切交流の無いエリートの集まりだ。

 年に数回一般校舎に足を運んでいるが、それは他の生徒が授業を受けている間である事が多く、顔を合わせる事は滅多に無い。だから顔が分からないのかもしれないが、制服の違いのみで魔法騎士科の生徒だと判別しているらしい。

 今日はたまたま時間が合ってしまったようで、私達が学長室から出てくるのを、中庭の小高い山の上で待ち構えていたようだ。


 トラヴィス殿下はご自分の婚約者の顔を忘れてしまったのかしら? 視線が私を通り越して、後ろのリサに向いているけど。リサと私は髪色位しか似ていないのに、変ね。目が悪くなったの?



「アナスタシア、貴様よくも俺の可愛いマリエルに酷い事をしたな! この間は服を泥だらけにして泣いて俺の元に逃げてきたぞ! 貴様のような女が魔法騎士科にいるなど、生意気だ! 学園長に言って退学処分にしてくれるわ! 今まで俺の婚約者だと言いふらしてやりたい放題だったそうだが、それも今日で終わりだぞ! このマリエルが逐一貴様の所業を報告してくれたからな! 可哀想なマリエルのために、この国からも出て行け! 貴様の顔など二度と見たく無い! 消えろ!」




  二度と見たく無いって……7歳の時に30~40分ほど顔を合わせたきりじゃないの。御付の人に早く帰りたいと我侭を言ってさっさと帰った事、今でもはっきり覚えているわよ。




 ~10年前~

  王都から遠く離れた辺境の地、ランスウォール。険しい山が天然の壁となり隣国から敵の侵入を阻む国の要となる重要な土地だ。山から流れる豊富な雪解け水は田畑を潤し、農作物の収穫量はこの国一番。領民の生活は大変豊かなものだった。

  そんなランスウォール伯爵家には7歳になる愛らしい娘がいた。


「アナスタシア、お前に会わせたい方が居る」

「お父様、そちらはどなたですか?」

「アナスタシア嬢、はじめまして、トラヴィスと申します。父からあなたを僕の婚約者にすると言われ、会いに参りました」


 トラヴィスは金髪碧眼の天使の様な男の子だった。

  どちらも7歳では婚約と言う言葉を知っていても、それを実感できるものでは無かった。今回は両者の顔合わせのために、遥々王子自ら出向いてくれたのだ。


「トラヴィス様はこの国の第四王子だ。成人後は降下され、このランスウォールへ次期伯爵として来て下さる事になった。この地を知って頂くため、ひと月滞在される。だから今日から二人、仲良くするんだよ」

「はい、お父様。トラヴィス王子、お外へ遊びに行きませんか?」


 アナスタシアは退屈そうなトラヴィスを遊びに誘い、屋敷の裏の森に出た。森で遊ぶのは初めてだと言って王子はハシャギ、走り回った。王子のテンションが最高潮を迎えた頃、アナスタシアが普段餌付けしているリスが現れ、木の上からアナスタシアの小さな肩へと飛び乗って来た。朝拾ってポケットに忍ばせてあった木の実をトラヴィスに持たせて、その手にリスを乗せてやる。初めは怖がっていた彼も徐々に慣れ、リスの頭を撫でようとした。


「あ! 手を出しちゃダメ!」


 アナスタシアの静止は間に合わず、指を噛まれた王子は泣きながら館に戻り、泣いて怒って従者に帰りたいと何度も訴え、滞在時間僅か50分で王都へ帰ってしまった。この後アナスタシアは何度か謝罪の手紙を出したが返事が来る事は無く、もちろん顔を合わせる事も無かった。アナスタシアの中ではこの時点で婚約話は無くなったと認識していた。


トラヴィスが帰ってしまった後、アナスタシアは試しに父に尋ねてみた。


「お父様、私では領地を継げないのですか?」

「お前は女の子だろう、この土地は特殊だからね、代々騎士となった者だけが継いでいる。騎士になれない女の子には無理なんだよ」



 騎士になれたら良いんでしょ。だったら私が女騎士第一号になるわ。



 この地は王都に次ぐ騎士の憧れの勤務地だ。国の精鋭達が集まり国境の守りを固めている。領地の平民すら仕事の合間に剣を持ち鍛錬を欠かさない。アナスタシアも屈強な騎士達に稽古を付けられ、剣の腕を磨いた。もちろん淑女としての教育も受けている。アナスタシアは国内一の名門校、王立魔法学園入学を目指し日々精進した。

 そして12歳になったアナスタシアは、前例こそ無いが、騎士になる為に唯一女子にも入る事が認められている超難関の魔法騎士科を受験した。

  基本の剣術と一定レベル以上の攻撃魔法と治癒魔法の全てが出来なければ入れないと言う狭き門だ。その年の合格者は女子2名、男子6名の計8名。同学年160名中たったの8名だけが魔法騎士科へ進んだ。誰も合格者が出ない年もある事を考えれば、8名の合格者が出た事は快挙とも言える。

 男子生徒の過半数は騎士科へ、ここにトラヴィスが入り、十数名が魔法科へ。女生徒は数名が魔法科に進み、ほとんどは普通科で基本の魔法と一般教養を習う事になる。



 お父様からトラヴィス王子も無事騎士科の試験に合格したと聞いたわ。小さい頃は天使の様だったけれど、久しぶりに会う王子はどんな風に変わったかしら。



 会うのを楽しみにしていたが、残念ながら校舎の違う二人が偶然会う事は無かった。


 17歳のこの日までは。





「アナスタシア、君も何か言い返したらどうなんだ? 殿下の言っている事は事実無根じゃないか。いつもの君らしくないな。もしかして殿下をあのマリエル嬢に寝取られて嫉妬してるのか?」

「まさか、やめてよテッド、その冗談笑えないわ。7歳の頃一度会っただけの人を好きになるわけないでしょう。それより、殿下はさっきから私じゃなくリサを見ているのよ。人違いしてるみたい」


 小声で話す二人の会話に、呆れ顔をしたリサが加わった。


「ねぇ、私がアナの振りして殿下に話し掛けてみる? さっきから聞いていれば、頭の中に花でも咲いているのかしら。マリエルはあの取り巻き達全員とデキてるって噂なのに、自分だけ特別だとでも思ってるのかしら。おめでたいわね」


 私達がこそこそと小声で話して居るのが気に食わないのか、マリエルまでもが文句を言い始めた。


「アナスタシアさん、私にトラヴィスを取られて悔しいからって、こそこそ悪口言うのはやめて! 気分がわるい! あなたなんて全然彼に相応しくないわ! 彼が私を選んだのは当然よ。だってやさしくて可愛い子が好きなんだもの! あなたにされた嫌がらせは全部トラヴィスに教えたわよ! 罰を受けなさい!」


 まるで悲劇のヒロインのように喚き散らすマリエルを、トラヴィスが頭を撫で、慰めるように抱き寄せた。



 こっちサイド、全員半目です。付き合いきれません。


「ハハ、マジかよ、自分で可愛いとか言ってるぞ。初めて見たが顔は地味だし、とりえはあの大きな胸だけで中身の無い馬鹿女だろ。身分の高い相手なら簡単に相手するって評判だもんな」

「下品よハワード。あなたのその綺麗な顔でそんな言葉使わないでって、いつも言ってるでしょ」



「ちょっと! 外野は黙っててちょうだい! 私はそこのアナスタシアさんに言っているのよ!」

「そうだぞ、アナスタシア・ランスウォール! 可愛いマリエルに謝罪しろ! ふてぶてしい顔しやがって、早く謝れ! ここに来て土下座しろ!」



 マリエルが指をさし、その先にいるリサに注目が集まった。この騒ぎを聞きつけていつの間にか一般校舎に居た殆どの生徒が中庭に集まっていた。校舎の窓から何事かと眺めている者もいて、教師達も慌てて飛び出して来た。

 遅れて来た学園長は、指をさされた先に居る人物を見て青ざめた。



「え? あなた、私の事を指しているの? 本気で私に嫌がらせされたと仰っているのですか?」


 困惑したリサは首を傾げて自分を指差し、マリエルに確認した。


「ええ、間違いなく、あなたよ! この目で見たもの! この間私をぬかるみに突き飛ばしたじゃないの! それに階段では足を掛けられて落ちかけたし、窓からゴミを投げつけてきたでしょう? 全部トラヴィスを取られて嫉妬したあなたがやったのよ!」

「ああマリエル、可哀相に。まったく今聞いても腹が立つ! はらわた煮えくり返るとはこの事だ! 忌々しいランスウォールの領地ごと、絶対に貴様を潰してやるからな!」



「ちょっと待って下さい、違います。まさかと思いますが殿下、婚約者の顔をご存知無いんですか?」


 今度は呆れ顔でトラヴィスに質問した。完全にリサをアナスタシアだと思い込んでいるようだ。


「は? な、何? お前に決まっているだろう。その体、太っていた子供の頃と変わっていないではないか! 見間違えるわけが無かろう。俺を馬鹿にするな! 不敬罪で牢に入れてやるぞ!」

「まぁ! トラヴィスを馬鹿にするなんて、酷いわ! あなたいったい何様のつもり?」


 王子と取り巻き達は眉間にシワを寄せ、こちらを睨みつけてくる。そんな王子と取り巻き達に守られたマリエルは、到底貴族令嬢とは思えぬ顔でほくそ笑んでいた。


「何様……ね。私は、隣国ザイトブルクの第二皇女、リサ・ザイトブルクでございます。あなたの様な他国の男爵令嬢ごときに指をさされる謂れはございませんわ。会った事も無いご令嬢に謂れの無い罪を被せられ、大変不愉快です。そもそも私達とは校舎が違うというのに、どのようにして嫌がらせしたというのですか? 今日はたまたま学園長に呼ばれてここに来ましたが、年に2~3度しか立ち入らない一般校舎で貴女なんかに構う訳が無いでしょう。もしもその嫌がらせとやらが本当に有ったとしたら、ここで今見物しているご令嬢の中の誰かの仕業でしょうね。それを婚約者が嫉妬してやったのだと勘違いしているのか、男性達の気を引くためにあなたが考えた作り話かは、分かりませんが。トラヴィス殿下、躾のなってない臣下をお持ちのようで、あなたも大変ですわね。自分よりも高位の者への接し方を一から教え直してはいかがですか?」


リサは皇女としての威厳ある態度で立ち、トラヴィスとマリエル達に遠慮の無い蔑みの視線を向けた。



 リサの言葉を聞き、取り巻きの一人である騎士団長の息子が慌てて言い訳を始めた。


「何だと? あれは隣国の姫だと言うのか? 本日魔法騎士科の5年生が揃って学園長のところに向かった所を見ておりましたが、殿下がおっしゃっていた容姿の者は、あの方しかおりませんでした。確か殿下は黒髪の太った女と……」

「あ……? あー……確かに隣国の姫が留学中と聞いていたが、あなただったのか。それは大変失礼な事を。後日改めて謝罪する、彼女の事は許してくれないか。気が高ぶって人違いをしたようだ。そうかでは、今ここにアナスタシアは居ないという事だな」



 ここに魔法騎士科の制服を着た生徒は8人揃っている。にも関わらず、頑なに私に気付こうとしない。さっきから何度も目は合っていると言うのに。

 なぜかトラヴィス殿下は目が合うたびに微笑みかけて来るけれど、一体どういうつもりなのかしら? 隣の愛しい男爵令嬢が、それに気付いて膨れているわよ。



「では、アナスタシアは今どこに居る?」


 アナスタシアは呆れた様に息を吐き、女王のごとく凛として一歩前に踏み出すと、トラヴィスの間抜けな質問に答えた。


「ここに居ます。お久しぶりですね、トラヴィス殿下。婚約者の顔を覚えていないだなんて、薄情な方ね。婚約破棄はもちろん受け入れますわ。父には私から連絡を入れておきます。これで私と殿下は本当に無関係です。では、国王陛下によろしくお伝え下さいませ。何だか障害は多そうですけれど、その方との愛を貫いて下さい。どうぞお幸せに」


 アナスタシアはニコリと笑い、それだけ言って友を引き連れ颯爽と専門棟へ戻って行った。


 この場に居た一般生徒達は初めて目にした魔法騎士科の面々にどよめき、あちらこちらから女生徒の発した悲鳴が聞こえた。


「キャー! 見た? 皆さん素敵だったわ! ああーん、もっとお姿を拝見していたかったのに、もう行ってしまわれたわ。毎日会える魔法科の人達が羨ましい!」

「ああ、ハワード様、話に聞いた通りとても麗しかったわ……」

「リサ姫を太っていると言っていたが、少しふっくらしているだけで、可憐なお方だったではないか」

「殿下はアナスタシア様の何が気に入らなかったのかしら? お顔は美しくスタイルだって完璧だわ。それに魔法騎士科に在籍なさっているなんて素敵よね、同じ女性として憧れるわ」


 などなど、直接見た事のある魔法科の者の話で名前と容姿の特徴くらいは皆知っている。知らなかったのは王子の周囲だけだったのだ。自分達だけの狭い交友関係しか築いて来なかったのだから仕方が無い。この一件でさらに遠巻きにされるのは確実だ。



 残されたトラヴィスは混乱していた。本人はチラチラと盗み見ているつもりだったが、実際はジッと見つめて頬笑みかけていた。全てが自分好みのあの美しい少女こそが長年放置してきた婚約者のアナスタシアだったのだ。子供の頃の印象とはガラリと変わり、手足はスラリと伸びて、出る所は出て引き締まる所は引き締まる、完璧なボディラインへと成長を遂げていた。


「嘘だ! 嘘に決まってる! アナスタシアがあんなに綺麗なはずが無い! 彼女はアナスタシアを庇ってあんな事を言ったんだ。くそ……専門棟にあれほど美しい人がいたなんて。こんな事なら俺も本気で魔法騎士を目指せば良かった。ああ、彼女の名前を聞きに行かねば!」


 トラヴィスはマリエルを振り払い駆け出した。一般生徒の立ち入れない専門棟の扉の前で2時間粘り、結界を解けと怒鳴り続けたがそれは叶わなかった。


「くそ! 俺はなんて馬鹿な事をしたんだ」


 マリエルは中々戻らないトラヴィスの様子を見に来て、疲れて壁に凭れ掛る彼に擦り寄り耳元で囁き掛けた。


「トラヴィスには私が居るじゃない。あんなエリートで気位の高い女なんて、あなたに合わないわ。さぁ、部屋に行きましょう? 私が慰めてあげる」


 無駄に大きな胸をトラヴィスの腕に擦り付けて鼻にかけた甘えた声で誘うマリエルを、トラヴィスはウンザリしたように冷たく見下ろした。

頭の中では先ほどのアナスタシアの姿を繰り返し思い出し、国王である父に頼み込み、何とかあの少女と結婚できないかと画策していた。しかしあれが本当にアナスタシアだとすれば、それはもう絶望的だと理解していた。

 

 トラヴィスはマリエルの腕を乱暴に掴み、カツカツとブーツの音を響かせて回廊を進むと、自室へ向かいそのまま二人で部屋にこもった。やり場のない苛立ちを全てマリエルにぶつけ、マリエルもそれに応じてトラヴィスの気の済むまで奉仕を続けた。




 翌朝学園へ国王が直々に謝罪しに来る騒ぎとなったが、マリエルと部屋で過ごすトラヴィスはそれに気付かなかった。ミンス男爵は娘からの手紙で王子と上手くやっていると思った矢先の呼び出しに、脂汗を滲ませていた。


「学園長、どういう事だ? トラヴィスがアナスタシアを愚弄して婚約解消を宣言したと聞いたが本当か?」


  国王の言葉にミンス男爵はニヤつく口元を隠しきれない。


「それは残念ながら事実です。殿下の学友達とミンス男爵令嬢とはこの一年、よく一緒に行動されている事は教師の間でも周知の事でしたが、男女の関係に発展しているとまではさすがに……殿下には、魔法騎士科の才女であるアナスタシア・ランスウォール伯爵令嬢という立派な婚約者がおられるとお聞きしておりましたし、他の女性に目を向けるなど考えも及びませんでした。

 それが昨日、中庭での騒ぎで殿下とマリエル嬢の関係は教師達の知るところとなりました。理解できないのはミンス男爵令嬢です。殿下に婚約者が居る事は有名なのに、略奪した上にその婚約者に嫌がらせを受けていると訴えていました。それもリサ・ザイトブルク皇女様に向けて、指をさしながら。恐ろしい光景でした。ハッキリ申し上げておきますが、校舎が違いますので嫌がらせなど不可能なのです。なので全てマリエル嬢の虚言かと思います」


 学園長は額の汗をハンカチで何度も拭いながら説明した。


「な……隣国の皇女にその様な無礼を働いたと? よりによってなぜアナスタシアではなくリサ皇女に……」


 国王は頭を抱え、ドアの前に立っているミンス男爵を睨み付けた。


「貴様の娘のせいで、休戦中のザイトブルクが攻めてきたらどうしてくれる。リサ皇女の学園受け入れが休戦延期の条件だったのだぞ。我が娘となるはずだったアナスタシアとは、親友だと聞く。二人が両国の架け橋になるやもと考えていたが、それもどうなるか分からないな。一体娘にどんな教育をしてきたのだ! 王子を誑かし、隣国の皇女を指差し罵っただと? こんなもの死罪に値する行為だぞ!」


 ミンス男爵は落ち着きを無くし、とにかく何か言い分けしようと口を開いた。


「お、おお……恐れながら、でっ殿下と娘は互いに愛し合っておりまして、ですね、殿下のお心を引き付けたい一心であの子は……」

「黙れミンス! 貴様の言葉など聞くに値せぬわ! 貴様らは領地で処分を待て!」


 国王は怒りに震え、ミンス男爵の発言を許さなかった。


「それで、トラヴィスは授業中か?」

「……殿下とマリエル嬢は昨日の騒ぎの後から姿が見えません」

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