プロローグ
よろしくお願いします。
(いつか俺も異世界の美少女に召喚されるはずだ)
そんな妄想はもう何度もした。
実際、そんな事ある訳ないだろう。と心の奥では思いながらも、いつだってファンタジーに憧れていた。
現実世界ではパッとしない自分が、輝ける世界を。
そんな妄想を繰り返しては漫然と過ごしていたある日、"美人なのにヲタク"と名高いクラスメイトの女の子"アリサ"が言い放った言葉に、俺は感銘を受けてしまう。
「私が那月様のいる世界に行っても、那月様がこの世界に飛び出してこようとも、私は那月様に選ばれる自信があるわ。だって、少なくともお洒落も化粧も知らない、運動もしてないダメな女の子たちよりは、私ってヒロインでしょ?」
頭にガン、と衝撃を受ける。
彼女の目は本気だった。
本気で愛した人(二次元キャラ)の為に、一切の妥協を捨てて己を磨いていたのだ。
「俺はなんて馬鹿だったんだ…」
ただ漫然と過ごしていれば主人公になれる。
そんな甘い期待は捨てなくてはならない。
俺が好きな物語では、異世界召喚された人間、主人公になる人間は必ず"何かしら持っている"
料理ができたり、武芸に秀でていたり、知識があったり、話術があったり。
そしてなにより、"適応能力がある"
ただ願うばかりではダメなんだ。
主人公になるには、それ相応の努力が必要なんだ!
そして、きっとその条件を満たした時、俺は異世界に召喚されるはずだ!
『いつ異世界に召喚されても大丈夫な"主人公"になる』
この物語は俺、山崎ミナトが"主人公"を目指す物語である。