北極は必ず来る
ドピーと最後に会ってから、1ヶ月ぐらい経った。サイトウが山仕事をしていると、どこからともなくドピーが、人間の若い女子を連れてやって来た。ドピーはサイトウの水筒のコップに、酒を注いだ。
ドピー「やあ、元気だったかい?紹介するよ、俺の彼女だ。」
サイトウ「か、彼女?」
ドピー「ああ、つい最近、出会い系サイトで知り合ったんだ。」
サイトウ「で、出会い系サイト?」
若い女子「はじめまして、マナと言います、よろしくお願いします。」
サイトウ「ああ、こちらこそ。」
ドピーの彼女は、20歳で身長160ぐらいのスリムで、金髪のショートカットの大学生だった。
サイトウ(こんな可愛い子を彼女にするなんて、ドピー、お前は凄い奴だ。)
サイトウ「ドピーは宇宙人だけど、大丈夫?」
マナ「全然大丈夫です、普段デートのときは、外人のモデルさんみたいになってくれるし、それに、UFO持ってるし。」
サイトウ「確かに。UFO持ってる人って、なかなかいないよね。」
マナ「そうなんですよ、UFOで宇宙をドライブデートしたら、もう、地球人とは付き合えませんよ。」
サイトウ(ドピー、それは反則だろ。)
サイトウ「ドピー、オシャレになったなあ。」
ドピーは、白のTシャツにデニムを履き、赤と黒のチェックのシャツを着ていた。
ドピー「マナにユニクロで買ってもらったんだ。」
サイトウ「ユニクロ・・・・。」
ドピー「サイトウさんも、いつも作業着ばかり着てないでオシャレしないと。だから、彼女ができないんだよ。今度、ユニクロに連れてってあげようか?」
サイトウ「いやいや、これは仕事中だけだから。ユニクロは一人でいくよ。」
サイトウは、ドピーとマナに、休憩中に食べようと思っていたオヤツ、キットカットをあげた。
マナ「わあ、まさか山でキットカットが食べれるなんて、思ってもなかった。」
ドピー「ありがとう、甘いな、これ。」
サイトウ「ドピー、"北極"は本当に来るのか?もう1ヶ月ぐらい経つぞ。」
ドピー「年内には絶対必ず来る!!酒は、まだ飲んでないよね?」
サイトウ「ああ、全く飲んでない。」
ドピー「それならオッケイ、"北極"が来たら、マナと協力してね。」
サイトウ「協力って、闘うってことなのか?」
ドピー「たぶん、そうなると思う。今のうちに、町を出るという方法もあるけど・・・・。」
サイトウ「この歳で、今さら他の町には住めないよ。彼女、どこか安全な星に連れてってやれば?彼女こそ、闘うことはないだろ?」
マナ「大学で単位取らないといけないんで。私、学校の先生になるのが夢なんです。」
ドピー「そうそう、高卒のサイトウさんとは違うんだよ。」
サイトウ「やかましいわ。」
ドピー「サイトウさんもマナも、常にあの酒を持っておかないといけないよ。"北極"は、いつ来るか分からないから。空が割れるんだ、少し寒いと思ったら、空を見上げて。
」
サイトウ「少し寒いったって、これから冬だしなあ。」
ドピー「じゃあね、また。」
そう言って、ドピーとマナは、今回は空豆を大きくしたような緑色のUFOに乗り込んで、空へ飛び立って行った。