さらば!!北極よ
深夜1時過ぎ、人間狩りが終わり、コケ人間の街となった北極は、空に開いた穴に吸い込まれ、穴はだんだんと小さくなって閉じた。
人々は、白い氷の塊の大陸が、空から消えて、いつもの暗い空を見て安心した。犬になったドピーと黒猫になった太一は、神社の境内の下に潜っており、渡り鳥となったマナは、神社の大きな御神木の木にとまって様子を見ていた。
3年後、ドピーとマナは、山仕事をしているサイトウを訪ねていた。
ドピー「やあ、サイトウさん。調子はどう?」
マナ「こんにちわ。」
サイトウ「おお、久しぶり。ジュースでも飲むかい?」
サイトウは、紙コップに何かのフルーツジュースを注ぎ、ドピーとマナに渡した。
サイトウ「ドピーってどんな感じだったっけ?もうずっと人間のドピーしか見てないから、忘れちゃったよ。」
マナ「私もです。UFOに乗ってると、宇宙人と付き合ってるんだって思い出すんだけど。」
ドピー「二人とも何を言ってるんだい、これが、僕の本当の姿だよ。」
サイトウ「ドピー、冗談も言えるようになったんだ。」
マナ「そうなんです、私に内緒で合コンとかも行ったりしてるみたいで。」
サイトウ「ドピー、調子に乗りすぎ。マナちゃんを大事にしろよ。」
ドピー「じゃあ、そろそろ行こっか。じゃあね、サイトウさん。」
サイトウ「ああ、気をつけて。」
ドピーとマナは、指輪のような形をしたUFOに乗り込んだ。
サイトウ「ドピー、またUFO変えたのか?」
ドピー「ああ、中古で安いのがあったから、とりあえず買ってみたんだ、じゃあね、バイバーイ。」
ドピーのUFOは、ゆっくりと空に上がり、そして消えた。
サイトウ「UFOって、中古で売ってるんだ・・・・。」
マナ「ドピー、サイトウさんて何人いるの?」
ドピー「サイトウさんはね、だいたい宇宙全体で、300億人ぐらいかな、たぶん。」
マナ「ええ?そんなにいるの、サイトウさんのクローンて。」
ドピー「そうそう、僕とマナちゃんも、それぐらいいるかもね、自分はこの世に一人だけとは限らないからね。」
マナ「私とドピーのクローンも、どこかの星にいるってこと?300億人も?」
ドピー「たぶん。誰だってそれぐらいは、いるんじゃないかなあ。僕ら自身も、クローンの一人かもしれないしね。」
マナ「そんな・・・・。」
ドピー「地球に帰るのは、まだやめとこう、そろそろ来てるはずだ・・・・・北極が。」
地球のとある町の空に穴が開き、その中から北極が現れた。
ヤスカワ「帰って来たぞ、地球!!これから、お前ら全員、コケ人間にしてやる!!」