表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウルフ・ストーリー  作者: たぬたろう
第一章古代種
5/8

第五話 古代種の遺跡

前回のあらすじ

(∪^ω^)わんわんお!

魔王が倒れた後、勇者は狼を倒すことを依頼された。

しかし勇者には狼を殺すことなど出来なかった。

実力がないわけではない。

その後の人間による悲劇を考えれば狼を倒せなかった。


自分が狼の変わりに全ての悪を背負う事も考えた。

しかし勇者には娘が居た。

だから出来なかった。

そして勇者は酒に溺れた。

けれどそんな勇者を救ったのは娘のエルフだった。



□■□□■□



あれからかなりの時間が過ぎた。

少女、リコから人間の世界について色々教えてもらった。

それと合わせて様々なクエストをこなしていった。

いつの間にか自分も冒険者組合という所に登録というのをされていた。

しかし今までと何ら変わらない。

連れてきていた魔物達は冒険者組合が用意している牧場という場所に今は居る。

しかしそれだけではない。

ドリアードやバンディット・ボア、他にも色々な魔物がリコの為に集まっていた。

この街でリコは知らない人間が居ないほど有名なモンスターテイマーと呼ばれていた。

そのせいでこの街の付近の魔物は人を襲わなくなった。

黒の騎士団という人間達は良い顔をしない。

話を聞いていると奴らは魔物を倒すのがクエストらしい。

その魔物を片っ端から自分の仲間にするリコに良い顔をしないのは当然だろう。

最近では魔物討伐クエストが無い時もあるらしい。

そしてまた新しいクエストを受けに行くと支部長とやらに呼ばれた。

廊下を進み、会議室と呼ばれる場所につくとそこには四人の人間が居た。


「やぁリコちゃん。」


緑の採取者という集団の支部長というファーゴットが話しかけてきた。

前に殺気を出してリコを睨んでいた時は倒せるか不安だったが、今はリコがお気に入りらしい。


「それで今日は何のお話でしょう?」

「ふん・・・。我らの仕事を奪った貴様に与えたくないのだがな・・・。」

「そういうなクロード。今回の仕事は君らの団長からだろう?」


黒い鎧を着た男がこちらを睨んでくる。

だがこいつは緑の採取者の支部長とやらの足元にも及ばないだろう。

この程度なら簡単にねじ伏せれる。

赤い服を着た男が窘めているし、何かあればファーゴットも戦ってくれるだろう。


「今回の仕事は本来ならSSSクラスの仕事だ。1ランクに上がってはいるが貴様なぞに任せるなど団長は何を考えているのか・・・。」

「それで仕事ってのはね。ある遺跡を調査してもらいたいんだ。」

「遺跡ですか?」

「依頼者は黒の騎士団団長エル・ファンタジア。場所は地図で言うとこの場所だね。」

「ここって・・・。」

「そう君が住んでいた森の近くだよ。」

「遺跡があるなんて知りませんでした。」

「まぁ大体の位置はわかってるからクエスト受注時に詳細な事は教えるよ。何を調べて来いって話じゃないから適当に調べてよ。」

「は、はぁ。」

「期限は一週間以内だ。貴様のせいでフリエラ支部の黒の騎士団はもはや機能していないんだ。失敗などしたら許さんぞ。」

「は、はい!」

「それじゃあ後の詳しい事はクエスト発注時に書類で渡すから頑張ってね。それと・・・、他言無用だよ?」

「わかりました。行ってきます。」


街を出て街道を進み、リコの家があった場所にたどり着く。

植物が茂っているが何も変わっていない。

家を燃やされたあの時のままだ。

リコは無言でその様を見ている。

彼女が何を考えているかはわからない。

けれどずっとここに居るわけじゃない。

そのまま無言で自分に乗り、行き先を示す。

それに従い駆けて行くと洞窟が目に入った。

どうやらクエストとやらの目的地はここらしい。


「ここが遺跡・・・。」


こういう洞窟は魔物が溢れている。

慎重に、空気の流れや匂いを読んで進んでいく。

しかし魔物の匂いがしない。

奥の方から人間の匂いだけしかしない。

盗賊と言う奴らの住処になっているのかもしれない。

人間のくせに人間を襲う奴ら。

大した脅威にならないが警戒して進んでいくと、人間が作ったような場所にたどり着く。

たしか絵と言ったか?

通路の壁にはそれが描かれている。

何が描いてあるのかわからないが興味はない。

そういうのを理解するのはリコの仕事だ。

自分から降りたリコが熱心にその絵を見て紙に何かを書いている。

ならば自分は周りに警戒しつつ、奥から臭ってくる人間の匂いに警戒するだけだ。

ゆっくりリコと進んでいくと巨大な広間とやらについた。

その中央に一人の男が立っていた。

クロードと呼ばれていた男が着ていた鎧より一段と黒い鎧を着た金色の男。

ムリだ。

逃げる事も戦う事も出来ない。

それほどに強い。

まるで自然と戦う位無茶苦茶な相手。

そんな男がリコではなく自分をじっと見ている。

リコに興味が無いようだがそれでもこいつは不味い・・・!


「よく来たな・・・。」

「お兄ちゃん!?」


お兄ちゃんと呼ばれた男がリコに視線を移す。

その目に一切の光はなく、一切の興味も見えない。


「お前などどうでもいい。そこの狼。いやエンペラー・ウルフ。お前を待っていた。」


目の前の人間はリコに向けていた目をこちらに戻してくるが、やはりその目には光は宿っていない。

少しだけ笑みを浮かべ周りの壁にある絵の方を向く。

まるで自分に見せつけるように。

周りの絵には人間が人間を襲うような絵が描かれている。

よくはわからないが多分片方の人間達がもう片方を殺しているような絵なのだろう。


「ここは古代種の遺跡。改変期と呼ばれる時代の前に生きていた種族の為の遺跡だ。道案内として貴様如きエルフも入ることを許してやろう。」


背中を向けては居るが恐ろしいほどの殺気を感じる。

一歩も動けない。

まるで強大な何かに脚を掴まれているかのようだ。

殺気を放ちながらこちらを見てくる。

コイツが何を言っているのかは理解出来ないがそれでも何を言いたいかは理解できた。


「この壁画を見ればわかるだろう?侵略種共は古代種である我々を駆逐し、家畜として使役してきたのだ。俺と共に来い。エンペラー・ウルフ。侵略種共を根絶やしにし、古代種である我々が新種共を家畜にするのだ。」


やはり自分の部下にしたいのだ。

だが自分はリコを守ると誓ったのだ。

臆してはならない。

目の前の男を睨みつけ、リコをかばうように移動する。

その行動の意味がわかったのだろうため息をつきゆっくりと歩き出す。


「・・・そうか。侵略種共如きに味方するのであればここで殺す事も考えたが、この遺跡を汚したくないのでな。今は見逃してやろう。」

「お兄ちゃん。」

「俺を兄と呼ぶな汚らしい侵略種が。」


自分達の横をすり抜け洞窟から出て行った。

ただそれだけの行動。

しかしその圧倒的威圧感に動くことが出来なかった。


「リュコス。旅に出よう。この遺跡だけじゃお兄ちゃんの気持ちを理解できない。」


リコの目に宿ったのは決意の光。

なんの為に旅に出るかはわからない。

しかしリコが望むならそうしよう。

自分はリコを守ると決めたのだから。

リコを背に乗せて来た道を進む。

しかしこの洞窟の出口には人間の匂いが溢れている。

戦うか逃げるか考えないと危険かもしれない。

解説


古代種について

数千年前に改変期と呼ばれる時代に様々な種類の生物が生まれました。

理由はわかっておらず神のいたずらとされています。

その改変期の前から生息している生物を古代種と呼びます。

改変期前は地球とほぼ同じような生態系ですがその時期に新種が爆発的に増えました。

その時に魔法も誕生したと言われています。

その次代から新たに生まれたとされる種族をリコの兄であるエル・ファンタジアは侵略種と呼んでいます。



ファンタジアの家系


祖父

カルネ・ファンタジア(故人・人間種・伝承の勇者)

祖母

アンリ・ファンタジア(故人・エルフ種)


父親

不明(故人・人間種)

母親

リリエラ・ファンタジア(故人・エルフ種)


長女

クル・ファンタジア(行方不明・人間種・26歳)

長男

エル・ファンタジア(黒の騎士団団長・人間種・24歳)

次女

リコ・ファンタジア(回復系幼女ヒロイン・エルフ種・11歳)


なぜ種がわかれるのか。

理由は簡単。

両親の種族が異なる場合、片親の性質を受け継ぐからです。

つまりハーフの様な人は存在しません。

稀に先祖返りのように突発で違う種が生まれたりしますがだいたいどちらかの親世代の種族です。

「お爺ちゃん似だね~。」ってやつですね!


次回更新予定

一週間以内には・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ