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ウルフ・ストーリー  作者: たぬたろう
第一章古代種
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第四話 緑の採取者

前回のあらすじ

101匹わんちゃん大行進!(サバ読み

魔王は考えていた。

どうすれば平和になるのかと。

しかし自分の中の魔王の因子がそれを邪魔しようとする。

自分ではどうにもならない。


勇者は考えていた。

どうすれば魔王を救えるのかと。

平和を望んでいる彼女を救う方法はないのかと。

しかし人間の欲望は凄まじく、否が応でも戦わなければならない。


狼は望んでいた。

世界が平和になることを。

しかし勇者では魔王を倒しても平和に出来無い事を知っていた。

だから自分が全ての悪を引き受けようと考えていた。



□■□□■□



「ようこそお嬢ちゃん!緑の採取者へ!」


少女と一緒に入った部屋にはまた人間が居た。

先程も思ったが洞窟の様な場所の小さな住処に一人一人が住むなど大丈夫なのだろうか?

この大きさなら親と子が暮らせる大きさだろうに。

少女がまた椅子に座るのでその前に座ることにして目の前の人間を見た。

今まで見た人間の中で圧倒的に危険。

これに襲われたら少女を守ることなど不可能ではないか?

倒せる可能性は全く見えないがそれでも警戒しか出来ない自分に嫌気が差した。


「ふーん。その子が君のお供かい?」

「はい。リュコスって言って私の家族です。」


少女がまた優しく撫でてくれる。

きっとこの人間は敵ではないよ?と教えてくれているのかもしれない。


「書類にはリコとしか書いてないけど・・・、苗字ないの?」

「えっと兄が不用意に苗字を名乗るなと・・・。」

「お兄さん居るんだ。名前なんての?」

「エルって言います。」


ぴくりと人間が反応した。

これは敵意に似ている。

不味い。


「もしかしてお嬢ちゃんリコ・ファンタジア?」

「え?」

「その反応やっぱりか。あんたの兄のエル・ファンタジアは黒の騎士団の団長。それも英雄って呼ばれてる化け物みたいな強さの男だよ。まぁ過去の勇者様の血筋だから確かに無闇矢鱈に話さない方がいいわね。」


逃げる事を考えたが無駄だったようだ。

敵意はそこまで長く続いておらず、少女と同じような優しさを感じた。

戦う事を覚悟したが戦わないで済むならそれでいい。


「さてそれじゃ入団試験受けてもらうよ。」

「入団試験ですか・・・?」

「そうさ、ランクは冒険者組合が決める事だけどクエスト自体は各団のどれかに入団しないと駄目なのさ。まぁきちんと仕事出来るかの確認ってわけ。まぁあんたはエルフだからスキルでなんとかなると思うけどね。」

「スキル・・・ですか?」

「おや?知らないのかい?この街出身じゃないんだ。」

「はい。フーリアの森で一人で暮らしていました。」

「あぁ、最近魔物が多いからそれでこっちに来たんだ。最近街にもそういう奴多いからねぇ。」

「そうです。」

「じゃあまず神殿行ってスキルを習得してからだね。そこで魔法も覚えれるから。」

「わかりました。」

「それでこれが支度金。」


目の前の人間がごとりと何かを板の上に置いた。

一瞬、人間が持つ武器かと思ったが違うようだ。

丸い動物の革で作ったような物だ。

あれでは攻撃すら出来ないだろう。


「いいんですか?」

「規則だから構わないよ。すぐ死なれるよりこうやって支度金を出して準備させるのさ。」

「ありがとうございます。」

「クエストについては冒険者組合に話してあるからね。」

「はい!行ってきます!」


少女と共に街に出る。

最初にこの住処で会話した人間から何かを受け取り自分の背に乗り周りを見渡す少女。

「あっち」と言われその通りに動くが少女は俯いていたが、背の高い住処に着くとその大きさに驚いていた。

中に入ると人間が一人居た。

少女はその人間と何かを話すと板の前に立った。

その板の上にある分厚い物を開けるとそこから膨大な魔力を感じた。

少女を助けようと飛びかかるが何かに阻まれて助けに行けない。

その何かをがりがり引っ掻いていると膨大な魔力は消えた。

大丈夫なのだろうかと少女の周りをくるくると回っていると少女は笑顔を向けてくれた。

危害は無かったらしい。


「大丈夫だよ。リュコス。」


耳を疑った。

今まではなんとなく少女が何を言いたいかわかった程度なのだが、少女が何を言っているかはっきりとわかった。

だからこそ違和感を感じ少しだけ吠えてみる。


「え?今誰か喋りました?」


やはりそうだ。

少女は自分の言葉を認識している!

これは他の人間ではどうなのだろう?

少女だけなのかそれとも全ての人間がそうなのか?


「大丈夫です。それは召喚魔法の作用です。」


どうやら全ての人間に対してらしい。

この人間の言葉もわかる。

少女が目の前の人間、『セブルス』と言う名らしいがこれは魔法の一種らしい。

少女以外に私の言葉はわからないらしいが全ての人間の言葉が私にはわかるらしい。

いつの間に契約しただとか色々セブルスに聞かれていたが関係ない。

少女を背に乗せ『教会』という場所から立ち去る。

先ほど入った『冒険者組合/ギルド』という場所に戻り、『クエスト』という物を受けるらしい。

簡単な話だ。

少女がしていた土いじりをしてこいというだけ。

『門』という場所から出るとついてきた魔物達が狼狽えていた。

彼らも人間の言葉が理解出来るようになったらしい。

少女が魔物達にご飯何食べるのかと聞いていたが魔物は食事を必要としない。

上位の魔物であれば食べる事もあるが奴ら程度なら空気中の魔力で十分だ。

そのままそこに魔物達を置いておき、一目散に森へと駆け出す。

クエストというもので手に入れる薬草はそこまで難しい物ではないが魔物の木に生える物だ。

目的の場所に到達すると、目的の魔物が居た。

少女が背から降りた瞬間攻撃しようとしたが、少女に止められた。

目の前の『ドリアード』という魔物と話をするらしい。

その魔物が何を話しているのかはわからないが、少女が真剣に話すので根負けしたらしい。

少女が自分の背に付けた『カバン』という物から『水筒』と呼ばれるものを取り出す。

前の住処の近くにあった清らかな水を入れていた物だ。

それをドリアードにかけると、とても嬉しそうにしていた。

少女が何かお礼を言っているとドリアードの体から数枚の葉がこぼれ落ちた。

それを拾うとまたお礼を言って自分の背に乗る。


「帰るよ。リュコス。」


一声だけ吠えると少女はしっかりと自分を掴んだ。

ならば後は少女の負担にならない速度で走り抜けるだけだ。

またあの冒険者組合という場所に戻ると、その場に居た人間達が一日で終えたことを困惑していた。

『報酬』と呼ばれる物を受け取ったら困惑したままの人間達を尻目に外に出た。

少女の誘導に従って進むと『武器屋』と呼ばれる住処についた。

そこで魔物を殺さない武器を手に入れるらしい。

少女は木の棒『白樺の杖』と呼ばれる物を持ち、自分には『香木の剣』と呼ばれる物を『買った』。

武器屋の人間の話ではこれは相手を眠らせる武器らしい。

出来れば魔物も殺さないで欲しい。

それが少女の願いだ。

ならば叶えるしかない。

少女の涙を見たくないから。

住処を燃やされた時の様な顔は二度と見たくない。

また少女を背に乗せて、『宿』と呼ばれる住処を目指す。

少女の為に何が出来るか。

それを考えながら進んでいくしか無かった。

解説

洞窟の様な場所:廊下ですよ?

丸い動物の革で出来た物:お金が入った袋です。この世界では1000000銅貨=10000銀貨=100金貨=1白金貨です。1銅貨=1円換算で考えてください。一日三食食べて10銅貨位の物価です。

分厚い物:魔導書です。教会にあるこの本を開くと魔法を覚えれます。覚えた魔法は魔法名を言えば発動出来ます。物理系のスキルについてはありますが設定だけで出てくる事はありません。


リュコスが人間の言葉を覚えたので解説については少なくなるでしょうがそれでも狼にとってよくわからない物が出てくる可能性はありますのでここのコーナーは続きますw

『』の言葉はリュコスが覚えた言葉です。


ちなみに冒険者組合の組織について。

各街に冒険者組合の支部があります。

そこに各団の支部長とされる人間が詰めています。

今回最初の方に登場した人はその支部長です。女性です。ドワーフです。

少女、リコの兄であるエル・ファンタジアは、黒の騎士団という討伐系の支部を纏める団長です。

この人も色々ありますがそれは登場してから明らかにしていく予定です。(次回登場予定)


ちなみにこの世界の人間種は基本黒髪黒目の純日本人風の顔立ちです。

エル・ファンタジアだけは金髪赤眼の男です。

ちなみにリコはエルフなので緑色の髪に金色の瞳です。

種族的には人間・エルフ・ドワーフ・獣人・昆虫人が存在します。

言語は統一です。

後は基本魔物ですね。

リュコスですか?魔物じゃなく狼ですよ?


あと教会で読む魔導書ですが簡単にいえばLv上げる為に読む必要がある代物です。

読めばレベルがあがり潜在能力が高まり、魔法などを使えるようになります。


次回更新予定

ちょっと未定

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