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動物

動物は生き物です

歌猿


 そこは海、あらい波打ち際を岩がしぶきに洗われている。そこらかしこでうごめく影。

 月がそれを照らす。

 満月の夜、煌々と輝く月に向けて、細いフルートのような鳴き声が響き渡る。

 それは一匹の雌猿。朗々と長くその声は続く。

 それに合わせ、やや低い声が、響き渡る。

 スタッカートのように時折途切れ、独特のリズムを刻む声、最初は低くそれが徐々に高くなり華麗なファルセットを響き渡らせる声。

 これは猿たちの求愛の儀式。

 細くそれでいて繊細な柔らかな響きは方々から響き始めそれにこたえる声も徐々に増えていく。

 そして声は徐々に膨らみ異形の合唱になる。

 スタッカートを利かせた声、オクターブの上下を緩やかに利かせた声、朗々と響き渡る声、様々な声が重なりあい、言葉のない歌を作り上げる。

 一匹の雌猿が滑らかなメロディを奏でる雄に寄り添い相似の歌を歌いあげる。

 カップル成立だ。

 二匹は連れ立って合唱から離れた。

 同じように消えていく、カップルが増え、徐々に合唱は静かになる。

 そして最後はあぶれた雄猿がかすれた喉を撫でながら悄然とうなだれている。

 一夜あけると、猿たちは日常に戻る。

 その猿たちの姿は一番近いのはチンパンジーだろうか、しかし、チンパンジーと違うのはその猿たちが、海岸部近くに住み、泳げるということだ。

 水泳は、猿たちに自在に操る喉を与えた。

 その喉を利用して多彩な歌を猿たちは歌う。

 猿は雑食性だ。打ち上げられた魚、浅瀬にいる貝、そして木になる果実や海藻など何でも食べる。

 一匹の雌猿が、隣にいる雌猿に木の実が打ちあわされる音を器用に真似て見せた。もう一匹の雌猿は了解したというように着のほうに連れ立って進む。

 その時一匹の雄猿が、一声叫んだ。

 そして天敵である肉食獣の唸り声を器用に真似て見せた。

 猿たちは一斉に安全な場所である海に飛び込んで行った。

 

タイムマシーンがあったら見れるかも知れない生き物です。チンパンジーとホモサピエンスが枝分かれした直後の生き物はこんな生き物だったんではという想像です。歌が求愛って結構世界中でスタンダードです。

ヨーロッパの女性の窓辺で男性が歌う習慣とか中国奥地のの歌垣、これはもともと日本にもあった。

夜這いってもともとは呼ばう。男性が女性の家に行って好きですと叫び、扉を開けてもらえばプロポーズ成功という習慣だったんですよ。決して住居不法侵入婦女暴行ではなかったんです。

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