博物館
注意 この話に出てくる植物を三歳未満の幼児が持っているのを目撃した場合即取り上げてください。また口に入れるようなことがありましたら、迷わず119番にお電話くださいませ。
毒薬博物館
古今東西のさまざまな毒薬を展示する博物館がある。無論それは表向き医療に関する博物館の体裁をとっている。
毒草や毒虫、毒爬虫類に毒両生類に毒甲殻類に毒魚、さらに毒獣に毒鳥まで様々な有毒生物が育てられており、その飼育スペース並びに温室は完全な空調と栄養管理がなされている。
ぼへーっとした顔の毒獣の檻を抜ければ、そこには、ありとあらゆる毒薬が展示された毒薬の展示室。
毒には医療効果のあるものも多いため、毒薬のための博物館という本来の姿は隠されている
そこにあるありとあらゆる毒、鉱物性の毒、植物性の毒、動物性の毒、腐敗毒、じわじわと殺す毒、即死させる毒、生かさず殺さず生殺しにする毒、くさらせる毒、溶かす毒、防腐効果のある毒、この毒で殺された生き物はしばらく腐らず生前の姿を保つ。塗布する毒、刃に塗る毒、飲んでも死なない毒。ありとあらゆる毒が展示されているのを、毒殺者たちがたむろし、自分たちの計画と照らし合わせている。
普通の博物館の体裁をとっているので、その博物館には様々な付属施設もある。
喫煙所、煙草はかなりポピュラーな毒物だ。休憩所には様々な毒殺に使われる小道具が、いくつもいくつも展示されている。
オーソドックスな調理器具から始まって、手袋、香水瓶、装身具類、衣類、化粧品、注射器、ナイフ、髭そり、歯ブラシ、ジャムの瓶、マーマレードの瓶、蜂蜜の瓶、急須にティーポット、茶碗各種、お茶の缶、缶詰、缶切り、スプーンにフォーク、ありとあらゆる日用品が展示されている。
そして喫茶室、黒と茶を主体にしたそこには来客が自由に茶器を選ぶことができる。
水仙、アジサイ、夾竹桃、福寿草、スズラン、彼岸花、のうぜんかづら、キンポウゲ、芥子、バイケイソウ、イヌサフラン、狐の手袋、鳥兜、などの草花紋の入ったティーポットを自由に選ぶことができる。
ここの一番の売りはかわいらしいカフェオレボウルだ。
トラフグ、真フグ、クサフグなどを模したデザインがかわいいと評判だ。
毒獣とは、カモノハシのことです。このインスピレーションのもとになったのはどこかの工芸展で見た丸い花瓶。白と黒のツートンがなぜかフグに見えた。