起きたら豚顔の女の子
俺の名前は、ともや。
ともや「あぁ、なんで俺は豚に産まれてこなかったんだろう。」
ともや「せめて豚は無理でも、豚顔で産まれてきてたら良かったのになぁ。」
ともや「神様、俺を今から豚に、もしくは豚顔にしてください!!」
とベッドの上でいつものように願望を唱えていると、
声が聞こえた。
魔法使い?「お主、本当に豚になりたいのかい。」
ともや「うん、豚になりたいよ。」
魔法使い?「正直、豚になるのは無理なんだが、豚顔にならできるのじゃが。それでもいいかい。」
ともや「いいよ、豚顔でも。」
魔法使い?「性別も変わって、豚顔の女の子になってもいいかい。」
ともや「いいです。お願いします!!」
魔法使い?「よし、分かった。目を覚ました頃には、立派な豚顔の女の子になっているよ。
名前は、ともみ。年齢は高校一年生ぐらいかな。おっと、あまりにも不自然だと困るんで、両親にもほんの少しだけ豚顔属性を混ぜておくよ。後、周囲の人間の記憶も書き換えておくよ。
最終確認だけど、本当にいいかな?」
ともや「お願いです。お願いします。」
という何だか不思議な夢を見たんだけど、いつもと同じ時間に目が覚めたわ。
目が覚めたわ?
今までそんな口調で喋っていたかしら?
・・・・・
・・・・・
何だか口調がおかしいわね。
ま、いいわ。とりあえず洗面所で顔を洗いましょう。
今日は待ちに待った高校の入学式。
いろいろ不安はあるけれど、可愛い子と友達になれたらいいと思うの。
洗面所に着く前に、
両親の写真を見る。
この写真をいつ見ても、仲が良さそうで羨ましいわ。パパとママ。
私も、素敵な人と出会えるといいんだけど。
そうやって鏡を見て、自分の顔を見る。
私は、両親の欠点を合わせたこんな豚みたいな顔に生まれてきちゃったけど、
でも、きっと両親が言うように素敵な出会いがあると思うの。
パパが目が細くて鼻が高い。ママは目がぱっちりとしてるけど鼻が上向いてて、いわゆる豚鼻だった。
その両親の欠点(?)である、目が細い&豚鼻を引き継いだ、
豚みたいな顔なのが私だけど、
これこそがパパとママの子供の証だしね。
それに妹は、パパとママの良いところを引き継いだ美少女だしね。
よく妹と比較されるけど、わたしはこれで良かったと思ってるの。
そして、高校の入学式に行ってきた。
滞りなく終わる。
可愛い女子も多くてハッピーな気分だわ。
男子は男子で、私が話しかけると、嫌な顔をするけど慣れてないからであって、最初だけでしょ。
楽しそうな高校で、本当に良かったー。
3か月後。
ともみ「そうじサボらないでよ、男子。」
男子A「え、豚が何か言っているみたいだけど、豚の言葉で分かんねぇや。」
女子A[てゆーか、ともみ!、あんたが豚じゃん。豚のあんたが教室を汚してるんじゃないの?ホラ、豚って臭いし汚いし。だから自分の始末は自分で掃除しなさいよ。あんたみたいな豚がいると、人間が迷惑するんだよ。キャハハハハハ。」
と、すっかり、男子からも女子からもいじめられるキャラになっていた。
楽しい高校生活を期待していた私にとっては、想定外の光景だった。
自分の顔について、「ブス」とか「豚」とか言われるのは慣れていたはずなんだけど、
それ以上のことを毎日言われると、さすがに気分が滅入ってくる。
そしてそのストレスで家ではスナック菓子をやけ食いしてしまい、
顔だけじゃなく体型も豚に近くなり、
終いには、語尾に「ブヒ」をつけないと休み時間などに言葉を交わさないようなルールをつくられた。
「おはようブヒ」
「今から職員室行ってくるブヒけど、先生に聞きたいことある人はいるブヒか」
とかとか。
私は、こうなったら豚キャラを演じようと思ったが、さすがに1学期の終わりごろには精神的に限界が近づいてきていた。
そういえば私って、中学生の頃ってどうだったんだろう?
高校でこんな感じってことは、中学の時もいじめられててもおかしくないはずなのに。
何故か中学校の頃の学校生活の記憶がない。
クラスメイトの顔とかは覚えてるんだけど、普段の学校の時の記憶がない。
トラウマすぎて自分で記憶を封印しちゃったのかな、私って。
学校では精神的におかしくなりそうだったが、
家に帰って自分の部屋に入ると、そこは安住の地だった。
学校でのストレスもあり、スナック菓子を貪る。
「これじゃあ。また豚に近づいちゃうな。てゆーかもう豚だし開き直ろうかしら。」
そこで、ドアを開ける音がし、凄い形相の妹が入ってきた。
妹「お前! また食ってんのかよ。」
ともみ「姉に向かって、お前とは何さ。」
妹「うるせぇ。お前みたいなのが姉だとな、あたいの評判が下がるんだよ。」
ともみ「評判って。別に、いいじゃない。」
妹「よくねぇよ。こんな豚が姉にいる、あたいの気持ちにもなってみろや。」
ともみ「顔は仕方ないじゃない。」
妹「そりゃあ顔は仕方ねぇよ。
ま、本当言うなら、小さい頃から生まれつきとはいえ、お前のブスさには腹が立っていたが、
最近は何だ? 食っちゃ寝しまくってて顔だけじゃなく体型も豚じゃねぇか。
お前のせいで、あたいまで豚扱いされるんだよ。豚と同じ家に住んでるって。
親がいた頃は、何も文句言わなかったけどさ。親が死んだ今となっては、お前は目障りなんだよ!」
私は困惑していた。
妹は美少女だったはずなのに、いつから、こんなヤンキーになったんだろう????
昔からかな??
しかし私はどうしても高校入学前の記憶が思い出せない。
やっぱり、それもトラウマで記憶が消去されたのかな!?
ともみ「てゆーか、親が死んだって何?」「パパとママのどっちが?」
妹「はぁぁぁぁぁ? お前、脳みそまで豚になっちまったのかよ。3年前に死んじまっただろ。そんなことも忘れたのが、この家畜が!」
ともみ「え、そうなの?パパとママは海外の企業に赴任してるんじゃなかったの?」
妹「お前は何言ってるんだ。2人とも飛行機事故で死んだだろ。」
え、え、え、え、え、え、え、
そんな重大なことを忘れるなんて、
やっぱり私はつらいことを記憶から消してしまう習性があるのかしら。
そう思いながらも、妹のパンチがお腹に来る。
ともみ「痛い。げふっ、なに、すんのさ。」
妹「お前のたるんだ根性とか、頭がおかしいところを叩き直してやるんだよ!! ほら、もう1発!」
ともみ「おえ、げほっげほっ。」
妹「うわっ、きったねーな。豚のゲロでこっちの体まで腐りそうだぜ。でもそうやってゲロ吐いてれば、痩せるだろ。」
ともみ「ま、待って。やめて。」
妹「おら、逃げるなよ。もう1発!」
私はそこで一目散に駆け出していた。
普段の太った私の走り方とは思えないほど、外に出て、一目散に走った。
それでも、妹は近づいてくる。
ああ、万事休すとか思ったら、
そばでワゴン車が止まり、
「危ない所だったわね。さぁ、乗りなさい。」
と、無理やり車に押し込められた。
妹から危機一髪で逃げられたけど、
車に拉致されたし、私の人生、結局終わりなのかなと考えていた。
しかし、10分ほど経っても車内の人が何もしてこないので、
おそるおそる顔を上げてみると、
中にいたのは3人とも女性だった。
ただ、共通点としては3人とも目が細く、鼻が低くっていう、
私と同じような豚顔だったということ。
もう少しすると、森に囲まれた屋敷が見えてきた。
本当は短編で終わらせるつもりだったんですけど、ちょっと時間内に終わらせることができないため、連載小説としました。もし、次の話数であっという間に終わっても気にしないで下さいね。この作品の主人公のともやが最初に唱えていることは、自分自身もたまに唱えています(笑) 他の作品同様、一般の人には理解されない願望だとは思いますが、自分はそういう変人なので。
そしてこの小説のストーリー。
まー自分の願望+ファンタジーという感じですね。
書きながら自分自身に問いかけてました。
「お前が豚顔で産まれてきてたら、こういう悲惨なストーリーを味わう可能性もあるんだぞ! 豚顔になれたからって、それで絶対にハッピーってわけじゃないんだぞ!」などと問いかけながら。
そうなんすよね。今まで自分が学生時代(特に世界が狭い高校までは)に知り合ってきたブスな女性は可愛い子と比べると、どうしても扱いに差を受けるし、顔だけでいじめられやすかったりもするんですよね。
そこで開き直って、いじめる側に回れば、自分は痛めつけられないんでしょうが、そんなことできないしって子は、ますます傷ついていくし。
「だから、お前が豚顔で産まれてきたいのは分かったよ。」
「でもな、小説とはいえ、豚顔というか世間一般のブスで産まれてきたら、
こういう目にあう可能性もあるんだぜ。」
「だから軽々しく、豚顔で産まれてきたかったとか言うなよ!」
と独り言で会議してたりしました。
まーそうかもしれないんですけど、
豚で産まれないんだったら、
せめで豚顔の人間として産まれてきたかったですね(懲りてないw)。
私の今までの苦労なんか知らないくせに、って思われるかもしれないですけど、
僕は豚顔の女性が好きです。
世間の基準がどうであろうと、僕は僕。
なんだ、このあとがきww なんだ、この締めww
僕は僕とかww かっこつけやがって。