もう一つの世界
残酷な描写といってもいいものなのかも分かりませんが、一応あります。苦手な方はどうぞお引取りください。
初投稿ではありませんが、何卒宜しくお願いします。
ここはとあるネットにあるサイト。
そこではこんな書き込みがされていた。
「そういえば、ユミさん。あなたの住んでいる街にある都市伝説を知っていますか?」
「えっ、そんな物があるんですか、杏仁さん?」
「ええ。そうですよ。これはマイナーな物なんですが、ユミさんが住んでいる街には、『もう一つの世界』があると言われています」
「へぇ、そうなんですか……」
「ユミさん、ここは重要ですよ?」
「何が?」
「なんでも、その世界にいってしまった人は、元の街には戻れないそうなんですよ?」
「ええっ!」
「ですから、十分にお気をつけてください。あなたもその世界に入り込まないように――――」
「じゃあね、美優」
「うんじゃあね~」
美優は友達と別れ、家路に着こうとしている。
「ユミ」はネット上でのハンドルネームで、本名は本田美優である。
美優は寄り道をせずに帰ろうとしていた途中。
運動神経の良い美優にしては珍しく、路上で転んだ。
しかも、打ち所が悪かったのか、美優は意識を失った。
「ん?……ここは?」
美優は重たい体を起こす。
そして、大きな伸びをした。
美優から見た世界は、いつも通っていたような通学路ではなかった。
「な、何これ!?」
そこは、フェルトのように出来たどこかメルフェンチックな世界だった。
フェルト出来たような木が生い茂り、ユミが寝転がっていたところには小さな道が出来ていた。
「きゃあ!かわいい~」
丁度、道を横切ろうとしている、小さなリスがいた。
美優はすばやいリスを捕まえている。
リスは、毛がふさふさと生えており、ユミのいた世界のリスト感触は変わらない。
「あっ!」
リスは美優になでられた後、どこかに逃げていってしまった。
「て、そんな事はどうでもいいわ。ここどこなの?確か転んで……」
そこで、美優は手をぽんと叩く。
そして、自分の頬をやさしくつねった。
そしたら、混同は強く頬をつねる。
「痛っ!」
それからしばらくして、
「…………やっぱり、夢じゃないんだ」
美優は、はあっとため息をついた。
美優はそれから、空を見上げた。
雲ひとつ無い、鮮やかな水色をしている空だった。それを見ていた美優は思い出したかのように、
「も、もしかして……。杏仁さんが言ってた世界!?」
美優は自分でそう言って、小刻みに震える。
「も、もし、元の世界に戻れなかったら如何しよう…………」
それを考えたのか、美優は顔を真っ青にする。
美優は心を落ち着かせるためか、大きく深呼吸を繰り返した。
「大丈夫……、大丈夫よ。と、とにかく、この先に進んで見ましょう」
美優は目の前にある道を歩き始めてた。
そして、美優が道を歩き始めてから数分が過ぎた頃。
森がだんだんと分かれていき、一つの家が見えた。
その家は、美優がいたような世界の家とは大分違う物だった。童話に出てきそうな御菓子の家が、そこにはあった。
そして、その切り株に一人の少女がすわっていた。その少女の隣には、白い小さいうさぎがいた。
少女は綺麗な黒い長い髪に、純白のドレスを着ていた。
(うわぁ、綺麗な子…………)
美優はその少女に見とれた。
数秒後、美優は我に返る。
その少女は、美優に気付いていなかった。
私はあって、その事話をしようとして近づいたとき。
少女は何か言ったが、そのときの美優にはもう既に聞こえていなかった。
『あら……。その子、また死んじゃったんじゃない?』
「そうね。どうしてかしら。私は誰も殺したくは無いのに……」
それからすぐに、すすり泣くような声が森に響いた。
『泣かないで。折角のお顔が台無しだわ』
「……うん。ねぇ、この子、どうしよう。私が『力の波動』で、殺してしまったわ」
少女は可愛らしく、鼻をすすりながら言った。
『そうね……。このこのお墓を作りましょう?二十五個目のお墓を――――』
「そうね」
少女は最後に、可愛らしい白いうさぎに向かってそう言った。
ここは、とあるネットサイト。
「あれ?ユミさん。いつもなら、もういる時間なのに……」
「もしかして、都市伝説の『もう一つの世界』に取り込まれてしまったのかもしれませんね――――」
久しぶりの投稿で、初めての方、今までの作品を見てくれた方。
ありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。