『1、窓をへだてて /2、靴と女の子 /3、小人のワルツ /4、包みこむひと』
『1、窓をへだてて ――――』
庭の雪までとけそうなほど、暖炉が明々と燃える部屋の中。かけまわってこどもたちが遊んでいる。額に汗さえうかべる姿が彼には微笑ましくてしかたない。
中へおじゃましてこの体でぎゅっと抱きしめたらこどもたちは喜ばないかな、と想像して彼は笑った。
雪で作られた自分の体じゃ、見る間に床を水びたしにしてしまう。
『2、靴と女の子 ――――』
あの女の子は赤い靴に住んでいる。おばあちゃんの代から、修繕され、履き継がれてきた赤い靴。今は私のお気に入り。
昼間は私の、夜はあの娘の。ふたりでひとつの赤い靴。思い出の詰まったその靴の、私の知らない思い出を、赤い靴に住むあの女の子はすべてその身で知っている。
『3、小人のワルツ ――――』
はちゃめちゃなメリーゴーラウンドを見ているみたいだ、と思って子供は笑った。
自分の目の前、円陣を組んでくるくる踊る小人たちが子供には見えた。
一人は跳ね馬のまね、別のがサーカス団員さながらその上にとびのる。
おどり、ラッパを吹く赤ら顔、うしろで鼻をしかめてめいっぱい距離をおく姫君風の娘は、みょうちきりんな生き物に腰かけている。
姫君風に下敷きにされたみょうちきりんのよろよろの足どりときたら。
「こら、叱られている時に笑うのをやめなさい」
眉をつりあげて怒る父の肩に跳ね馬小人がいきおいあまって落っこちた。
肩の上で慌てる小人に見むきもせずに怒り心頭の父がおかしくってたまらない。
自分の頭の上がばかみたいな騒ぎになっているとは知らずに説教しているのだ。
『4、包みこむひと ――――』
私はふとっちょさん。
「食いしん坊、きっと料理の得意な人」周りからはそう思われてる。
思われてるなら応えたい。パンをこね、焼き、料理を山もり器に盛りつける。そうして訪れた人をもてなす。
いつの頃か、玄関には客人の誰かがとりつけた看板が掲げられ、私はちいさな店のおおきな店主になったのだった。




