表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界録  作者: 世界記録端末


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

16.黒霧森

王都レグナス北方。


黒霧森。


その名の通り、森は常に薄い霧に包まれている。


昼だというのに、光は弱い。


湿った空気。

木々の影。


どこか――静かすぎる。



「……静かだな」


先頭を歩くのは


リナ=フェルド


片手で剣を肩に担ぎながら森を見渡す。


軽い口調だが、目は鋭い。



後ろから低い声。


「警戒しろ」


巨大な盾を背負った男。


ダグ=マルド


足取りは重いが、動きは無駄がない。


完全に戦場慣れした騎士だ。



最後尾。


ローブの少女。


エミリア


杖を両手で握りながら小声で言う。


「魔力反応……少しあります」


不安そうな声。



その中央。


勇者は森を見回していた。


「思ったより普通の森だな…」


素直な感想。



リナが笑う。


「最初はな」


そして次の瞬間。


ピタッ


彼女の足が止まる。



「……来る」


小さく呟く。



ダグが盾を構える。


「エミリア」


「はい!」


少女が杖を構える。


魔力が集まる。



勇者はまだ何も見えない。


だが


リナの視線の先。


草むらが


ガサッ


と揺れた。



そして現れた。


灰色の毛。


鋭い牙。


赤い目。



「グレイウルフか」


リナが言う。


だが


その数。


一匹じゃない。



二匹。


三匹。


五匹。



ダグが低く言う。


「群れだ」



ウルフの一匹が唸る。


「ガルルルル…」



リナが剣を抜く。


「勇者」


ちらっと見る。


「後ろで見てろ」



次の瞬間。


ウルフが跳んだ。



速い。


だが


リナは動じない。


一歩踏み込む。



剣が閃く。


ザンッ


一匹の首が落ちる。



「一匹!」



ダグの盾に


ドンッ!!


ウルフが体当たりする。


だが


盾は動かない。



「エミリア!」


「はい!」


少女が杖を振る。



「ファイア!」


火球が飛ぶ。


ドン!!


ウルフが吹き飛ぶ。



戦いは一瞬だった。



残り二匹。


しかし


その時。


勇者の目に入る。



木の影。


さらに三匹。



(挟まれる)



考えるより先に体が動いた。



勇者は落ちていた枝を拾う。


ただの木の枝。



そして


突っ込んできたウルフに向かって振る。



バキッ


ウルフの顎が砕けた。



「……え?」


リナが振り向く。



勇者はもう一匹を蹴り飛ばす。


ドンッ


木に叩きつけられるウルフ。



一瞬。


全員が止まる。



ダグが呟く。


「……今の」



リナが笑う。


「おいおい」



勇者は枝を見ている。


「え?」


「なんか…」


「思ったより弱くない?」



エミリアが驚いた顔。


「グレイウルフって…普通の兵士でも危ないんですけど…」



その時。


森の奥。



ズン



地面が揺れた。



ダグの顔が変わる。


「……なんだ?」



エミリアが青ざめる。


「大きい魔力反応…!」



霧の奥。


巨大な影が動く。



リナが剣を構える。


「おい」


「これは聞いてないぞ」



霧の中から現れた。


三メートル近い体。


黒い毛。


巨大な牙。



ブラックウルフ


群れの王。



ダグが低く言う。


「撤退も視野だ」



だが


ブラックウルフの目は


勇者を見ていた。



唸り声。


低い。


重い。



勇者は小さく息を吐く。


「……でかいな」



その時。


遠く離れた場所。



灰境の旅団。


焚き火の前。



リゼリアの目が細くなる。


「……あ」



ヴァルが聞く。


「何か?」



リゼリア


「未来が」



少しだけ驚いた声。



「変わった」



アルドは肉を焼きながら言う。


「もうか?」



リゼリア


「ええ」



「ありえない速さで」



森の中。



ブラックウルフが


勇者に飛びかかった。



次の瞬間。



(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ