表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界録  作者: 世界記録端末


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/26

15.選定

王城、謁見の間。


重い扉が閉じられる。


その中央に立つのは――


勇者。


まだ制服のままの青年。


この世界に召喚されてから、まだ数日。


だが視線はすべて彼に向いていた。



王座の上。


レグナス王。


重厚な王冠を戴いた男が口を開く。


「勇者殿」


低い声。


「此度の召喚、改めて礼を言う」


勇者は少し戸惑いながら頭を下げる。


「いえ…」


「まだ何もしてないですし」


正直な言葉。


その様子に


騎士たちの間から小さな笑いが漏れる。



王の隣。


白いローブの男が立っていた。


聖国ルミナから派遣された神官。


勇者召喚の立会人。


その男は静かに勇者を観察している。



王は続ける。


「本日、勇者殿に最初の任務を与える」


ざわめき。


勇者の初任務。


騎士団長が一歩前へ出る。



ガルド=ヴァレス


レグナス王国騎士団長。


巨大な体躯。


傷だらけの顔。


いかにも戦場の男。



「王都北方」


低い声。


「黒霧森」


勇者が首を傾げる。


「森?」



騎士団長


「最近魔物の活動が活発化している」


「本来この地域では出ない魔物も確認された」


勇者は少し緊張した顔になる。



その時。


部屋の端。


一人の男が記録を書いていた。


羽ペン。


古い羊皮紙。



レオン=アーデル


王国記録官。


勇者召喚の記録担当。



彼は視線を上げる。


そして勇者を見る。


少しだけ目を細めた。



(不思議だ)



彼は何度も


勇者を見ている。


だが



(記録に残る感じがしない)



説明できない違和感。


まるで


存在の輪郭が


曖昧なような。



レオンは首を振る。


「……気のせいか」


小さく呟き


再びペンを走らせる。



王の声が響く。


「これは討伐ではない」


「勇者殿には――」


少し間を置く。



「実戦経験を積んでもらう」



勇者は小さく息を吸う。



異世界。


魔物。


戦闘。



ついに


「物語」が始まる。



王が言う。


「同行するのは」


騎士団長が振り向く。



三人の騎士が前に出る。



一人目。


女騎士。


短い赤髪。


鋭い目。



「リナ=フェルド」


剣士。


素早い剣技。



二人目。


大盾を背負った男。



「ダグ=マルド」


重装騎士。


防御の要。



三人目。


ローブの少女。



「エミリア」


王国魔術師。



三人が勇者の前に立つ。



リナがニヤッと笑う。


「よろしくな、勇者様」


砕けた口調。



ダグ


「護衛は任せてください」


真面目。



エミリアは少し緊張している。


「よ、よろしくお願いします…」



勇者は少し笑う。


「こちらこそ」



その時。


王城の窓の外。


遠くの空。



見えない場所で


魔力が揺れた。



聖都ルミナ

観測区画。



エルディオンが目を開く。


「……動いた」



同時刻。


深森域エルドレイン。


セレスティアが空を見る。


「また揺れました」



神獣座。


白霊王フェンが瞼を開く。


「因果が歪む」



そして


灰境の旅団。


焚き火の前。



リゼリアが小さく呟く。


「未来が…また増えた」



アルドは欠伸をする。


「面倒な予感しかしないな」



そして


勇者はまだ知らない。



この遠征が


世界を揺らす


最初の一歩になることを。



続く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ