#4
やがて、ちょっとした河川の幅くらいはある広い八車線道路にぶつかると、そこを挟んだ向かい側に、目的の小さな公園が見えました。
公園の敷地と歩道の境目には、大型犬くらいの大きさの岩々が横一列に並べられています。
それらはまるで、敷地内の神聖さを保つ結界として機能しているように生寿には感じられました。
ゴミひとつ落ちていないまっさらな芝生の真ん中には、小川のような形の散歩道が一本通っていて、透き通った日光が、そよ風に吹かれた木々の紅葉を白く照らしています。
控えめに設置された真新しい円形遊具と、それを優しく見下ろす守護天使みたいな鉄塔も、なんだかとっても良い塩梅。
どの部分を切り取っても完璧そのもので、誇張でもなんでもなく、生寿にとって、その公園は天国と見紛うほど清らかな場所に思えたのです。
(ここなら子ウサギさんも喜んでくれるはずだ)
「ズオーーーォォン!」
その時、彼の身長よりも大きな黒いタイヤを携えたトラックが、前方の車線を物凄い勢いで走り抜けていきました。
まだアスファルトの張られていない真新しい基盤から、嵐みたいな砂塵が巻き上がります。
引き返すには十分すぎるほどの迫力です。それでも、
(逃げ出すだなんて絶対にダメだ)
と、生真面目な彼は自らを叱咤激励します。
このアスファルトの河川を渡りきって対岸の天国にたどり着かなければ、可哀想な子ウサギに申し訳が立たないと健気にも考えているのです。
意を決した生寿は、両親に教わったことをよくよく思い出して、周囲を丹念に見回しました。
しかし、横断歩道や歩道橋は、残念なことにどこにも見当たりません。
仕方なしに、大げさな挙動でまずは右を見て、次に左を見て、もう一度右を見て車が来ないことを念入りに確認すると、恐る恐る最初の一歩を踏み出します。
八車線道路の中央分離帯まで足早に移動した生寿でしたが、目の前を時折走る車に気圧され、そのままその場にしゃがみ込んでしまいました。
足首に触れてくる硬い雑草が、チクチクとしたちょっかいをかけてきます。




