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誘拐①

佐々木の部屋にある液晶ディスプレイには警視正の顔写真と女性の顔写真が映し出されている。


「今どき警察官の娘を誘拐して身代金要求とは、ドラマ的な犯行ですね」

霞はそう言ってディスプレイを見つめる。


「私もそう思う、誘拐するにはリスクが高いな、だが決まり文句だが警察が動いたら娘を殺すとも言っている」佐々木はディスプレイを見ている。

「警察官の身内が犯罪に巻き込まれているのに、手が出せないとは歯がゆいですね」

御剣は不安そうな表情だ。


「警察が手を出してもバレないわけではない、現代は監視カメラやNシステムなど、動向を探るのも昔よりはるかに容易だ、だが時間がかかる、芥の本当の目的もわからん、心理状態もわからないとなると正直リスクが高いのだ」

佐々木が一呼吸入れる。

「これから本部に向かう、そこで犯人からの接触を待つ。二十時ちょうどに警視正の電話に着信があるそうだ」


「そう言えば芥は警視正の電話番号をどうやって入手したのです」

霞が問う。


()()()()()があるのだ、時折大手企業の個人情報漏洩事件を耳にするだろう、そう言う情報を売っている輩がいてな、そちらに接触する手段も考えたそうだが、個人情報を扱う店が個人情報を漏らすわけがなくてな無駄だと判断されたそうだ」


「東京公衆衛生局」のバンで霞と御剣は本部に向かっている。

「本部・・・支店爆破の案件依頼ですね」

「そうですね、あそこに行くのはあまりいいことじゃないですね、支店で手に負えないことばかりです」

しばらくして「東京公衆衛生局」のバンが本部に到着した。


自動ドアをくぐると加藤がいた。

「加藤さんお久しぶりです」

霞が投げかける。

「うん、うまくやっているとは聞いているぞ」

加藤は嬉しそうだ。


「さっそくだが電脳室に来てもらおう」

加藤はそう言うとエレベーターに乗り、地下三階のボタンを押した。

「地下三階もあるんですね」霞が加藤に話し掛ける。

「うむ、お前もわかると思うが上物はほぼ偽装だ、ここでの職務は地下中心なのだ」


その内エレベーターが停止し、ドアが開いた。

廊下が伸びる一般的な施設のように見えるが、奥行きは上物より広く感じる。

加藤について行くと「電脳室」と書かれた札のある扉のあるドアに入った。


中には大型のコンピューターがひしめき合いディスプレイもそれなりの数がある。

寝椅子のような物が三台ありその一つにヘッドギアを付けた男が座っており、その横に制服姿の中年警察官がいた。


「紹介しよう、今回誘拐事件の被害者になった郷田和也警視正だ」

加藤がそう言うと郷田は頭をさげたので、霞と御剣も頭をさげた。

「郷田です、今回は警察ではなく異管に頼ることになって申し訳ないと思っている、だが、異菅の方が適切だと判断した結果このような事態になったのです」


「須々美信二です、異能は光」

寝椅子のようなものに腰かけていたのは光の異能者だった。

少し驚いた霞と御剣は同じように返事をかえす。


「あなたが枷無しの霞さんかぁ、前からお会いしたいと思っていたんです」

須々美はそう言った。

「おい、個人的な話じゃなくて掃除の件だ」

加藤がどやしつける。


「では説明します、このヘッドギアは古今ほとんどの端末が接続できるようになっています、それをコードでハードに接続するのが光の異能が掃除する姿です、今回はスマホにかけてくるので専用のコードを使用します」

須々美はそう言って接続されたスマホを指さす。

郷田のスマホだ。


あとは電話がかかってくるのを待つだけです。

「光の異能は電波にも干渉できるのか」

霞がたずねるとササミは返事をかえす。

「それは無理です、でもやりようがあるんです」


話しをしているうちにスマホに着信があった。

当然、非通知設定だ。


郷田はスピーカーモードで応対する。

「郷田さん、三千万用意できた」

「何とかかき集めた亜美の声を聞かせろ!」


そう言うと相手は郷田の娘を電話口に出した。

「亜美、大丈夫か」

「大丈夫、お父さん助けてくれるって信じて」

「おっとここまで、金の受け渡し方法はまた明日指示する、じゃあな」

通話はそこで途切れた。


しばらく無言が支配する

「郷田さん、これを見てください」

加藤はそう言うとディスプレイを指さした。

そこには様々な数字やプログラムなどがすさまじい速度で流れていた。


「彼にはこのように見えているのかね」

「いえ、それがもっと抽象的で、絵図や記号を覗いたり潜ったりできると言っていますが、正直なところ皆目見当が尽きません」


佐々見以外の全員は、ただ黙ってディスプレイを見ているしかなかった。

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