81 臓器売買②
臓器売買の潜入掃除をするために霞たちは連日バーやクラブを当たっていた。
殆どの場合相手にされず、脅しをかけてくる者ばかりだった。
「いやー反社怖いわあ、やんなるね」堀田が声を出す。
「異能使うだけだと楽なんだがなぁ」霞も渋い顔をしている。
「でもよ、BOBに良くいるおっさんは脈があると思うんだよな、今までの奴らは脅して来るけどあの人はなんか反応が違ったんだよな」
「そうなのか」
堀田は「バーBOB」にいる一見サラリーマン風の男にちょくちょく声をかけ「兄貴」と呼んで良く絡んでいた。
「もう一押しって感じかなぁ」堀田がつぶやく。
「じゃあ、今日はBOBに行ってみるか」と霞。
「うっし、兄貴に会いに行くか」堀田は手をパンと叩いた。
「BOB」にはその日も「兄貴」はいた。
「あーにき、そろそろ例のシノギのこと教えてくれません、仲間集めて準備してるんスよ」堀田は話し掛ける。
「若いのが手ぇだすんじゃねぇ、といつも言っているがまぁヒントくらいはやろう赤羽界隈でノシてきているジャブロって連中がパスポートを持ってる」
「パスポート」堀田が聞き返す。
「ヒントはこれだけだ、今日は帰りな」
「ウッス、ザイマシタ」堀田は礼をすると霞に声をかけて店を出た。
「なぁ、パスポートって何だと思う」堀田が話し掛けてくる。
「うーん、まぁ符丁だろうとは思うけど、それを持ってくれば事態が動くってことじゃないかな」
「どうする」堀田が霞に問いかける。
「まずはジャブロってのを探さないとな、このまま赤羽まで行こう」霞は新宿駅方面に向かった。
「まずは輩っぽいのを探すか」と堀田。
しかし意外にもそれらしいのが見つからないと堀田が言う。
「何人もいたじゃないか、アイツらじゃダメなのか」霞が問う。
「この仕事二年やってるけど、ファッション的にケチなコトしている連中と、本当にヤバいシノギしている連中はなんとなくわかるんだよ」堀田は鋭い目つきでそう言った。
しばらく歩いていると堀田が足を止めたので二人で四人組の男たちに声をかけた。
「なぁなぁ、ジャブロって言う連中どこにいるかわかるかな」と堀田。
「ああん、なんだテメェら」
「だからジャブロ」堀田が言いかけた瞬間男は平手で堀田を叩いた。
「ハンパしてるんじゃねぇよ、どけ」と言われたが堀田は平気な顔をしている。
「本気で一枚カミたいんだよ、若いうちからノしていかねぇとさ」堀田が啖呵を切るとしばらく無言だった男は「ついてこい」と歩き出したので、後をついて行くとしばらくして比較的大きなマンションを指さしこう言った「二〇三だ」
堀田は礼を言っているが男はドスの効いた声で「財布出せ、そっちのもだ」と霞を指さす。
二人は仕方なく財布を出すと「ほっ、なんだ持ってんじゃんよ、ノシていくとか噴くだけのことぁあるな、んじゃあこの事は無かったっーコトで」そう言って四人組は去って行った。
「大丈夫か堀田」霞が頬が赤くなった堀田を心配する。
「痛かったけど大丈夫だぜ、それよりも掃除の軍資金全部持っていかれた」
「俺もだ、部屋にはまだ金はあるがまた佐々木さんに申請しないとだな、しかしこんな理由で通るのか」霞がつぶやく
「で、さっそくジャブロんトコいくか」と堀田。
「もちろん」と霞が答える。
二人はマンションのエレベーターに乗り、ニ〇三のインターホンを押す。
しばらくしてスキンヘッドの男が出てきた。
「なんだテメェら」そう言った瞬間、堀田が電撃を流し昏倒させる、明かりがついている部屋に入ると四人が麻雀をしており、一人は高級チェアにふんぞり返りスマホをいじっていた。
四人がきょとんとしている間に、霞は水糸を繰り出し電撃を流し、全員昏倒させた。
ふんぞり返っている男は何が起こったかわからないと言った風で二人を見つめていた。
堀田は懐から拳銃を取り出して男に向けると彼は言葉にならない声を出した。
「オッサン死にたくないでしょ、ねえ、ねえ、と堀田が凄んでみせる」
「ああ、ああ、うん」と男は怯えた声を出す。
「じゃあパスポートくれよ」堀田は数歩歩いて近づく。
「何のことだ」男は声を震わせている。
「死ぬぞ馬鹿、こっちゃ散々探してオッサンとこ見つけたんだよ」堀田が椅子を蹴り上げる。
「わかったわかった」と言って書類棚に向かい引き出しを開ける。
そこに堀田が銃を突き付けて「拳銃出そうとしたら死ぬからな」と脅しをかける。
男は一枚の薄い手帳を取り出し堀田に渡す。
彼が中身を確認して見ると日時や様々な数字、記号が記されていた。
「ふん、もらってくぜ」堀田はそう言って男に電撃を浴びせると、彼は昏倒した。
「ふー緊張したぁ、だけどうまく言ったみたいだな」と堀田が明るい顔をする。
「堀田お前、拳銃なんてどうした」霞が問いただす。
「ああ、おもちゃだよ、のんきホーテで買ったんだ」堀田は笑いながら答えた。




