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77 テロリスト⑥

支店が爆発で使えなくなったために貸し会議室に四人のメンバーが集められた。

「菅藤はほぼ自供したらしいが、接触してきた相手に関してはほとんど何もわからなかったらしい」佐々木はホワイトボードの前に腰かけている。

「接触はどうやってしていたのでしょう」霞が問う。

「菅藤が持っていた通常のスマホだがな、あれには菅藤が複数のSNSを利用していた痕跡があったらしい、詳しく探ると、奇術と称して異能を使ったパフォーマンスを行い、相当数のフォローを得てたそうだ、これでは自分が異能者だと宣伝しているようなものだ」


「承認欲求と言うヤツですかねぇ」と堀田は椅子をキシらせながら言った。

「うむ、まぁそのようなものだろう、本部ではそこから手繰られて何者かが接触してきたと考えている」

「ネットの個人情報は怖いですね」御剣はそう言った。

「先ほど何者かとは言ったが奴らの居所はすでに割れている」

「ど、どうやってですか」緑川が質問する。


「警察の方から渡された情報の中にはな、赤い薔薇が以前利用していた暗号文のデータが残っていてな、それをネット上で利用している者がいないか光異能者に潜らせた結果、簡単に浮上してきたらしい、潜伏地もすでに掴んでいる」

「場所はどこなんです」と堀田が聞いてきた。

「静岡県浜松市は湖東町だ、典型的な地方都市だそうだ」佐々木はホワイトボードに地図と画像を貼り付けて言った。

「この写真は異管の者が下調べして撮影した物でな、地域住民に聞くと若い男女が出入りしていると言うことだった」


「武装や異能者はどうなんですか」霞は声をあげた。

「全く情報が無い、どころか地域住民に挨拶をしたり立ち話をしたりと比較的好意的に受け入れられているとのことだそうだ」佐々木が言う。

「いつ、掃除に入るんですか」御剣が問う。

「明日だ、菅藤の件もあり拠点を変える可能性がある、なるべく早い方が良いだろう」佐々木はそこで話をやめ、その日は解散となった。


翌日、四人のメンバーは東海道新幹線、こだま号に揺られていた。

「あっ富士山ですよ」緑川が嬉しそうな声をあげる。

「富士山はいいよな」堀田もはしゃいでいる。

御剣は窓の外を無言で見つめている。

「デカいよなぁ、すごいな、いつ見てもいい」霞も驚いた様子だった

「なんかコーヒー飲みたくなってきたな」と堀田。

「車内販売は無いそうですよと御剣」


そのような会話を繰り広げ、十時ごろに浜松駅に到着した。

「結構高い建物もあるなぁ」堀田が呟く。

「は、浜松は比較的栄えた土地だそうですよ」緑川がそれに返す。

駅から出て左端に「静岡公衆衛生局」のバンが停車していたのでそれに乗り込む。

運転手は無言で発車させた。

大きな通りをしばらく走っていたが、その内住宅や田畑の目立つ地域に入った

「もうすぐです」運転手がそう言うと、住宅街から離れた一角に停車した。


「あの建物です」運転手が指さすと、二階立ての公民館のような古びた建物が目に入った。

四人はそこで自動車を降りるとしばらく建物を眺めた後で、入口のインターホンを押した。

「はい」と言う声が聞こえて若い女が出て来た。

「何の御用でしょうか」女が言い終わらないうちに堀田は電撃で昏倒させた。

中に入ると廊下があり手前と奥に部屋が一つづつ見えたので、堀田は顎をしゃくって手前の部屋を示し霞の肩をたたいて奥の部屋を指さした。霞は奥の部屋に入ってドアを開けると目に入った全員に水糸を飛ばし、電撃を流して昏倒させた。


霞が部屋を出ると、堀田もちょうど出て来たところだったので、霞は階段を指さし上にあがると言う仕草をした。

二階は三部屋見え一番手前の部屋の障子戸を開けた、そこはベッドが並ぶ共同寝室のような場所で男が三人雑誌を読んだりテレビを観たりしていた。

一番奥の男がぎょっとした顔になると、両手を伸ばし角材二本を霞に向かって飛ばして来た。

木異能者である。

霞はその一つを避けて、もう一つを手の甲で方向をそらした。


その後右手をかざして三人全員を水糸による電撃で昏倒させる。

「よお、こりゃ異能者がいたみたいだな」と堀田が声をかけてくる。

「ああ、角材まで用意してあった、普段から警戒はしていたのだろう」霞は角材を踏みつけながら言った。

緑川は異端で回収要請をしている。


その後、建物の外に出て日差しの眩しさを感じていると「静岡公衆衛生局」のバンが四台やってきて、例のごとく担架で芥を運び出している。

先ほどここまで連れてきた運転手が「帰られますか」と話し掛けてきたのでそうである旨を伝えた。

徐々に人が集まってきて騒ぎになっている。

運転手はそれを見て「プランⅭです、集団食中毒と言うことになっています」と誰にともなく言ったので。全員がなるほどと言うような反応をした。

「静岡公衆衛生局」バンはそのまま発車して現場を後にした。

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