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73 テロリスト②

支店メンバー四人が集まる中で佐々木は声を出した。

「今回の赤い薔薇の一件、全員軽症で済んだことを喜ばしく思う」

「本当にそうですね」と御剣

「警察の方は死者も出たんだろう」堀田が暗い顔で言う。

「そうだ、爆破に巻き込まれた者と異能で焼かれた者八名が殉職、けが人多数だ、これはまれに見る大損害だ」


「俺たちは隅に追いやられて建物の影だったから幸運でしたね」霞は顎を掻きながら言う。

「今回の事態に対し、警視総監から直々に異管の手を借りたいと冲田さんの所に連絡があったそうだ」佐々木が腕組みをしながら四人に言った。

「初めからそうしてりゃ、いや、殉職者が出ているからこういう言い方は良くねぇな」と堀田が首を振る。

「私たちは何もできませんでした、くやしいです」緑川は両手を脚の間で組んで下を見ている。


「ところで、増田は逃亡して完全に行方をくらましたそうですが、何か追跡手段は無かったんですか」霞は疑問をぶつける。

「そこだがな、空港内のヘリ全機が故障させられていたらしい、ヘリの操縦士が異能者で、おそらくテロ組織の一味だったことを考えると、彼らがやったに違いないとのことだ」と佐々木。

「長年にわたって潜伏しながら計画を練って、あの日のために準備していたと言うことですか」御剣が質問する。

「恐らくそうだ、今後も国内で何らかのテロ活動が行われると警察は見ているそうだ」佐々木が答える。


「どこを警備すりゃいいんだよ」と堀田が呟く。

「それも皆目つかめないとのことだが、各国大使館、国の重要施設などが候補にあがっている、とは言え大使館の方は続々と自国に退避しているそうだが」佐々木が言う。

「今後の方針は、警察と協調するのか我々独自路線で行くのか」霞が問いかける。

「独自路線だ、冲田さんが警察トップと検討した結果、別々の方面で進めていく方が良いと決まった」と佐々木。


「聞き込みとかですか、反社の連中を締め上げますか」堀田が発言した。

「いや、赤い薔薇とヤツらは根本的に思想が違いおそらく交わっていることは無いだろう、だが異能者は違う、今回だけでも二名の異能者を投入してきた、おそらくもっといるに違いないだろう、過去に処理した異能者に聞き込みをする、勧誘された過去を持つ者もいるかもしれん」


そこから先は異管本部が主体となって取り調べが行われた、処理して監視施設に収監されたものは多く一一人ひとり時間をかけて、聴収をするしかなかった、その間に支店のメンバー四人は通常通り芥の処理に回っていた、その間にテロが行われた形跡は無かったがそれがまたいつ起こるかもしれず不安が募るばかりであった。


霞は久しぶりに「しんいち食堂」で昼食を取っていたが、突然何かが爆発するような音がして店内がざわついた。

「テロじゃないのか、あの赤い薔薇が」

「池袋にそんな重要施設あったか」

食事していた客たちはそのようなことを言いながら外に出て行った、霞も食事の途中だが席を立って会計をすまし大通りに出てみることにした。


真っ黒な煙が上がっている個所が見え、群衆が遠巻きに見物しているのが見えた。

霞は小走りで移動していたが、あることに気付いて全力で走り出した。

煙が上がっていた場所は「ニコニコ人材センターであった」

霞が建物の前に到着するとまだ火の手が上がっており、中にいた人間の生存は絶望的に見えた。

霞はただ立ち尽くすことしかできなかった。


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