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54 能力開発①

霞は吉河市にある日本異能管理機構に呼び出され、所長室のデスク横に立っていた。

ソファーには四人の男が座っている。

「久しぶりだね霞君、元気だったかい」ソファーから冲田が声をかける。

「お久しぶりです、元気にやっています」


「さっそくだが先日起きた大阪でのパワードスーツとの戦闘と所見を詳しく話してくれ」冲田が話を振る。

霞は折りたたんでいた紙を開いた「はい、まず相手は三体ですべて同じタイプのスーツで、これは量産化されていると見て良いでしょう、次に戦闘の推移ですが、まず御剣が土壁を正面と左右に展開しました。この時斜めの角度をつけて立たせました、これは銃弾の威力を少しでも逃がす処置で、戦車等で導入されています」


「その斜めに角度を付けるのは相談して決めたのかね」冲田が話を入れてくる。

「いえ、御剣本人が考えたものです、彼女なりに対処法を考えていたのでしょう、効果の方は正確にわかりませんが七・六二ミリ弾に耐えうるもので、またグレネードランチャーの爆発に一応は絶えぬきました。壁がコンクリートや金属であった場合はより耐えうる可能性があります」

霞は紙をめくる。

「パワードスーツの所見ですが、拳銃弾、いわゆる九ミリパラベラム弾では貫通は不可能かと思われます、また、紛争地域に投入された場合、現在主流となっているのは五・五六ミリ弾のため、それにも耐えうると考えられます」

「技研の所見とほぼ一致しているね、ああ、これから技研で性能検査を進めていく予定なのだよ」


「で、一番の肝は君がパワードスーツを見ずに、正確に水糸を隙間に通し中の人間を昏倒させたと言うことだ、電気が見えるとかそのような報告が上がってきているが本当かな」

霞は答える「本当です、電気が流れているものは目をつぶって集中すれば見ることが出来ます」

「それは君だけが出来ることなのかな、それとも電気異能者ならば誰でもできるようになる可能性があるのかな」と冲田。


「電気異能者であれば訓練しだいで出来るような感覚があります、あくまで感覚的な物ですが」霞が紙をめくりながら言う。

「では電気異能者が新しくスキルを身に付ければパワードスーツに対抗出来うると」冲田は詳しく聞こうとする。

「そこですが三ないし四人のチームを組み、連携をとることが最適解だと考えています」

「どのような」冲田が端的に聞いてくる。


「構成は土、水、電気、もしくは加えて土のチームです、まず土異能が三面に壁を展開します、この時前述した斜めの角度で対応します、次に電気異能者がスーツの場所を特定、場所を水異能者に伝達します、ここは訓練が必要になるでしょう、その後水異能者がスーツの隙間から水糸を侵入させ、最後に電気異能者が水糸に電気を流し、中にいる者を昏倒させると言った具合です」


「ふむ、そのオペレーションで成功率はどのくらいあるかな」沖津が話を振ってくる。

霞が答える「わかりません、それにスーツの数にもよります」

「なるほど、君たちが三体のスーツを処理したことから少なくとも一体ならば対応できる可能性はあるか」冲田は両手を組んでそう答えた。


「ところで君の新しいスキル、電気の流れを読むことが出来ると言うモノだが実際に見せてくれないかね」冲田が霞に要望を出した。

「どのように、でしょうか」霞が答える。

「ここにあるノートパソコン、これを移動させる、どこに移動したか目隠しをして当ててくれたまえ」

テーブルの上にはノートパソコンとアイマスクが置いてある。

霞は、はいと答える。


霞はアイマスクを付けられ、念のために冲田のハンカチが二重に巻かれた。

「ではノートパソコンを移動するよ」冲田はそう言って部屋の片隅にそれを置いた。

「私から見て斜め右です」とノートパソコンが置かれた場所を正確に指さした。

室内にどよめきが起こる。

それを受けた冲田は部屋のドアを静かに開け、外にノートパソコンをだし扉を閉めた。

「たぶん、部屋の外ですね、位置的にドアの向こうですか。

さらにどよめきが起こる。


それからは人を変え場所を変え目隠しを増やしても同じ結果だった。

「冲田さん、これは重大なことですよ」と男の一人が言った。

「そうです、これで新たなオペレーションにも対応でいます」別の男も賛同する。

「これは光明だな、スーツの件が報告された時には、正直なところ難題だと思ったが」

冲田は手を握ったり閉じたりしている、よほど苦悩の種だったのだろう。


「今後、逐次電気異能者の能力開発に取り組んでいく、まずは君の支店に在籍している堀田君からだ、うまくいけば人数を増やし、倍々式に技術を伝達していくよろしく頼むよ霞君」冲田はそう言って霞の目を見てきた。





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