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36 パワードスーツ①

「今回の掃除は出張だぞ、全員揃ってな」

支店のメンバーは互いに顔を見合わせる。

「どこにですか」と堀田が問う。

「岡山県、総社市だ」

「あの、掃除の内容はどういったものですか」と御剣。


佐々木は険しい顔をしながら言った。

「そうだな、話は早い方が良いだろう、先週、岡山県の山中、総社市のことだが、新しくできた建屋から銃声のような響きが聞こえると岡山県警に連絡があった、県警は協議の上でその建屋付近で張り込みをすることになった、そうしたら確かに銃声のような音が何発も聞こえ、録音を持ち帰り検査にかけたところ間違いなく銃声であることが確認された」


佐々木の背後にある液晶ディスプレイに何枚かの画像が映し出された。

建屋を遠巻きにいくつかの角度から撮影したものだ。


「それを受けて捜査員五名がガサに向かったが、誰も戻ってこず行方不明扱いになった、おそらく殺されたのだろう、県警はこの事態を重く見て上に報告した結果、異管に話が回ってきたというわけだ」

()()()()警察官が死ぬのは困るが、異能者なら死んでも困らないからってヤツですか」堀田が言った。

「そうだ、そう捉えてもらっても構わん、いつもの流れだ、それに異管では銃器保持者に対しての対応実績が豊富にあるからだ、君たちには悪いが当然の理と言うことだ」

「実績作らせたのはあちらさん(ケイサツ)でしょうに、良いように使いやがって」

堀田が悪態じみた声を出した。


「この支店が行く根拠は何でしょう、確か大阪にも支店があってそちらの方が近いでしょう」霞が発する。

「正直はらの立つことだが、大阪支店は他の件で手一杯だそうだ、見え透いた嘘だな」

「九州も同じですか」と声を上げると「そうだ、コピペしたようにしか見えないカッキリ同じ文章が返ってきた。

「とにかく命令だ、行ってもらうしかない、向こう(ケイサツ)も焦っているのだろう、明日にも掃除に入れとのことだ」


室内に静寂が立ち込めるなか、佐々木が言葉を続ける。

「明日一番の新幹線で岡山まで行き、レンタカーで総社市に向かってもらう、詳細はいつもの様に異端に飛ばしてある、券売機でコードをかざせば人数分の指定席券が出てくる仕組みだ、さて解散となるが必ず全員無事で帰ってくるように」

全員が部屋を出て支店の階段を降りた。

「俺たちこっちだから」と駅方面を親指で示して堀田が言った。

霞は三人が歩いて行くのをしばらく見送っていた。


霞はポケットに手を突っ込んで、部屋まで歩き、キーを取り出そうとしてコンクリートに床に落とした。

少なからず動揺しているのだろうと霞は考えてキーを拾いドアを開け室内に入った。

昼過ぎだったが、いつもの様な食欲は無くしばらく考えたのちにアンダーパンツ一枚になり瞑想に入った。

気が付くと日暮れ時になっていた、急速に空腹感を覚え寝る時に着るスウェットに着替え「しんいち食堂」へ向かった。

しんいち食堂には「本日休業」の紙が貼ってあった。

(そんな日もあるよなぁ)と霞は考えて、暫くすると歩き出し、来た道を戻って「マイビスケット」の中に入って行く。

総菜コーナーにあった食品を十点ほどかごに入れてから、お茶の二リットルペットボトルを追加してからレジに向かう。


会計を済ませて、レジ袋に商品を入れると両手いっぱいになってしまった。

(良く考えずに買い過ぎたが、全部食べ切れるか)

そう考えて自動ドアから外に出て、自室まで向かい、キーを開けてテーブルに総菜を広げた。

「いただきます」

そう口にして総菜に手を伸ばす。

いつにない勢いで総菜を咀嚼しごぼごぼと喉を鳴らしながらお茶を飲む。

十五分もすると総菜は漬物のかけらまで食べつくされ、二リットルのお茶は空になっていた。


シャワーを浴び、腰にバスタオルを巻いた格好で再び腹ごなしの瞑想に入った。

瞑想を解くと二時間近く経過していたので、今度はイメージトレーニングをすることにした。

小刻みに揺れる霞の身体から汗が滴る、腰に巻いたバスタオルは当に脱げ落ち、全裸の状態でのイメージトレーニングだ。

手が「いなす」動きや拳打、掌底などピシピシと切り替わる、下段から上段へのスイッチ、目まぐるしい動きだ。


気付くと夜更けになっていたため、汗だくの身体を流すためシャワールームで汗を流しそのまま全裸でベッドに入った。

早朝四時に異端のアラームが鳴り、霞は静かにそれをオフにする。

シャワーを浴び、水気をバスタオルで拭きとり、全裸のまま食器棚にあるエネルギーバーをガツガツと食べていく。

歯磨きをしながら寝癖を直し、いつもの掃除用アウトドアウェアに着替えて「ダガー」のブーツを履き階段を降りる。


集合時間十分前だったが霞以外全員そろっており、彼もそこに合流した。


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