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28 回収

バー「黒い虹」の前には「東京公衆衛生局トウキョウコウシュウエイセイキョク」と書かれたグレーのバンが二台停まっている。

「黒い虹」からは白衣を着てマスクと帽子を身に付けた男たちが、白い布がかぶせられた担架を運び出していた。

皆遠巻きにそれを見てざわざわと声を立てている。


「これも偽装車ですか」と霞。

「そう、回収専門の部署があります、()()()()なんて書いてあると、人が運び出されても合点がいきますから」

「ところでさっきのことですが、何があったか教えて欲しいです」

「まぁ、ここじゃ何ですから近くの店で話しますよ」

二人は夜の池袋を歩き出した。


「ピザ&カフェ ミタリーノ」ここにしましょう。

そう言って霞は御剣をいざなう。

テーブルに付いて注文をすると、御剣が食いついてきた。

「話してください」

「わかりました、まず最初の火消しは当然水異能です、次に全員気絶させたのは、水異能を片手指から伸ばして肌に触れ電流を流したんです」

「え、ちょっと待ってください、水異能と電気異能を同時に使ったんですか」


「はい、半異ですから両方使えます」

「半異は同時に使えないはずでは」

そう言ったところで、注文の品が運ばれてきた、机はいっぱいになる

「ピザ三枚も食べるんですか、そんなにお腹が空いているんですか」

「はい、お腹減っちゃって」

「割り勘ですよワリカン、柊さん変わってますね」

「そうですかね」


霞の食べる量に対して御剣はティラミスとコーヒーと軽食だ。

「話の続きだけど、本当に同時に使えるんですか」

「はい、どうしてでしょうね」霞はピザを食べながら言う。

「それって柊さんが()()()なのと関係あるんじゃないですか」

「おしえないです、冲田さんなら多分全部知っていますよ」

「冲田さんに会えるわけないじゃないですか、ウチのトップですよってその言い方は会ったことがあるみたいな感じですけど」


おしぼりで手を拭きながら霞は言った。

「ありますよ、と言うよりあの人が僕を探し出して、多分この支店に配属させたのも冲田さんです、ああ、()()()()()ってあだ名も多分あの人が言い出したんだと思います」

「柊君、本当に会ったことがあるんですね、なんか嘘じゃないってわかります」

「嘘じゃないです」


そうこうしているうちに霞はピザを二枚たいらげて、最後の一枚に取り掛かろうとしていた。

「うーん、じゃあ話したくないことはもう聞かないです」

「ありがとうございます」もぐもぐと口を動かしながら答える。


「あっでも、支店のメンバーには話してもいいですか」

「良いですよ、合同になる時とかあるでしょうし知っていた方が得です、堀田はもう気付いているかもしれないです」

「堀田君確かに佐々木さんとそんなこと話していたけど、何があったんです」

「異能で昏倒させたんです」

「何が、いやもう聞かないんでした」

「ありがたいです」


「それよりも、御剣さんのあのコンクリート壁は土の異能ですよね」

「そうですよ、単に壁と呼んでる基礎のスキルですよ」

「もっと土みたいなのでないとできないとおもっていました」

「土と言っても鉱物全体を指すので今回みたいなコンクリート、鉄、石でも対応するからほとんどの建物にはには使えますね」

店員がラストオーダーを告げに来たので、そのタイミングで二人は席を立った。

ややもめたが会計は全部霞が支払った。


「あっごめんなさい、忘れていました、助けてくれてありがとうございます」

「とんでもないです」と霞は軽く頭を下げた。

「駅まで送ります」

「ありがとうございます、ここら治安悪いですから」

駅まではまた高校生の頃の話だとか、趣味の話だとかを話して歩いた。


池袋駅西口に到着すると「じゃあここで」と霞。

「また」と御剣。

霞はそのまま踵を返し、部屋に向かって歩き出した。

ビルの階段をカンカンと登り、キーでドアを開けた。

そのままスーツを脱ぎ、シャツは「マイビスケット」のビニール袋に入れた。

シャワーを浴びて瞑想をし、スウェットに着替えてベッドに入った。



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