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Sevens・World  作者: 白ガネ
21/31

第20話 ラグエル参上!


小鳥のさえずりが森に響く。


朝が来た。


目を擦りながら寝袋から起き上がると横に寝ていたはずの創太はいなかった。


「...?あれ?」


少し慌てて枕の上に置いてあった短剣を手に取り、テントから出ると準備体操をしている創太がいた。


こちらの存在に気が付いた創太が振り返りながら笑顔で「おはよ。」と話す。


ふぅ...と胸を下ろしながら息を吐く。


「おはよう、早起きなんだね。」


「いやぁ...師匠に鍛えられてた時はもっと早い時間に起こされてて...。それが習慣付いちゃってさ......」


ははは...と苦笑いをしている創太の表情は少し悪く、こちらではないどこかを見ていた。


それを見て思う。


...この子にどんな悪さしたんだ......?


と思いつつ調理台の元へ向かう。


棚には瓶に入った珈琲豆が並んでおり、その中から1つ選ぶ。


「僕のことは気にしないで続けていいよ。それ見ながらコーヒー飲んでるから。」


「...つまみか何かだと?」


その言葉に少し笑いながら珈琲豆をすり機の中へと入れていく。


コーヒーを準備している際、創太は日課となった自主トレを始める。


まずは腕立て500回、腹筋500回、スクワット500回を素早く淡々とこなす。


それを見てふと思う。


彼は2週間とちょっと前までは普通?の高校生だった。


それが今ではこの始末だ。


普通の人間であればここまでしない...。


例えグランに同じ事をされたとしても途中で死ぬか精神が死ぬかのどちらかだ。


だが、彼はどうだろう?


実際に見た訳では無く聞いた訳でもない。


けどグランの事だ、生半可な事はする訳が無い。


何が彼を動かすのか...


きっと...”覚悟”が違うんだろうな。


それこそ”あの人”のように...


「ロス、ランニングに行きたいんだけどいいかな?」


「...!あぁ...行っといで。あまり遠くには行かないでね。」


「ありがとう!」


そう言って創太は駆け出していく。


その後ろ姿を見て”あの人”と重なる。


「似てる...」


「誰にですか?」


背後から声が聞こえる。


「...!」


瞬時にその場から飛び引き腰に手を回し短剣を引き抜こうとするが、背後にいた人物の骸骨顔を見てため息をつく。


「”ラグエル”...びっくりさせないで...。」


「私も驚きましたよ。まさかあんな反応をするとわ...。すみません...グクッ......」


ラグエルは口に手を当てながら笑いを堪えていたが頭上のモヤモヤが”www”になっていた。


またもため息をつきながら抜きかけていた短剣を納める。


「それで?何か用でも?」


その問いかけを聞いたラグエルは頭上の水色のモヤモヤを”?”に変えながら話す。


「おや?”彼”から連絡来てませんでしたか?創太くんの旅のナビゲート役を頼まれましてね。こうしてこの私が手荷物を持ちながら”遠路はるばる”来たんですよ。」


「棘あるなぁ...。ん?手荷物?」


ラグエルの右手を見ると茶色のリュックを持っていた。


そのリュックは少し動いていた。


「えーっと...何入ってるの?」


「シェラさんの”万能道具”と...この子も行きたがったもので......」


「あらら...」


リュックから顔を出した生き物にロスは苦笑いを零す。



森を走っている創太はある違和感に気が付くとその場に立ち止まり背後の木の上を見る。


「あっ!バレちゃった!」


木の枝に腰をかけていた女性は、自分の存在がバレていたことに驚きつつ笑う。


「たぶん寝てる時から見てましたよね?何か理由があるんですか...?」


そう問いかけると女性は木の枝から飛び降りるとこちらに歩み寄ってくる。


「そうだよぉ...理由は君には話せないけど私は貴方に夢中なの。」


「どうゆう......」


木の影で隠れていた女性の姿が朝日によって照らされる。


その女性はボサボサの長い白髪に黒く輝きのない瞳、白いブラウスに黒いスカート、茶色のブーツを身に付け、そのブーツの底は少し赤黒くなっていた。


失礼かもしれないけど...人形みたいな人だ。


「私の名前はジャック・ザ・リッパー。”ジャック”って呼んでね。御縁 創太くん...♡」


真っ黒だった目の一部がハートとなっており、舌舐りをしながらこちらを見ている。


その目に少しゾッとし鳥肌が立つ。


狼狽えながら少し後退りする。


何なんだこの人は...?


この人の目は異性に向ける眼差しとはまた違う...。


肉食獣を目の前にしてるみたいだ。


師匠と出会ってわかる。


この人は...”師匠と同じくらい強い”......


現に身動き一つ取れない...。


どうする?


戦うか…いや、無理だ。


自分で言ってたじゃないか、師匠と同じくらい強いって...!


会話をし続ければ何とかなるか?


時間を掛ければなかなか戻ってこない俺を心配して、ロスが探しに来てくれるかもしれない。


よし...これで


「少し味見してもいいよね?」


「...!?あ、味見...?...料理!作りますか?」


「料理はいらない。味見って言うのは...私が貴方を”襲う”ってこと。」


そう言ってジャックは瞬く間に距離を詰め、顎を人差し指で上げる。


「やっぱりいい顔してる♡」


「...!」


反射的に拳を出すが、ジャックは笑いながらその拳を避ける。


「少し癖が目立つけど悪くないね。じゃあ、次いくよ...」


どこから出したのかわからないが、両手に短剣を出すと再び視界からジャックが消え、そこら辺の草木が揺れる音が鳴る。


音の後を追うように草木を見るが、ジャックを視界に捉えることができない。


速すぎる...!


俺の”目”でも捉えることが出来ないなんて...


『本当二...?』


それとも”全知の魔眼”が機能していない...?


前なら速かったものが見えていたのに今では見えないし、見たくも無いものが勝手に見えてたのに対して今は全く見えない...


いる世界が違うから?


『私ヲ使エ...』


いや...違う


ヴァサゴと契約してから感じている”違和感”


『私ヲ使エ...創太...』


そうか...”全知の魔眼”はもう使えないのか。


それとも俺の勘違いか...


『創太...私ヲ』


「うるさい!考えてるんだから静かにしろ!!」


「...!?」


『...。』


とりあえず今は”全知の魔眼”は使えない...


なら...どうする?


そこまで思考を巡らせ、ひとつの結果に至る。


”気配”を探ればいい...。


ジャックの気配を...存在を!


目を瞑り周囲の気配を探る。


「...?」


その姿を見たジャックは疑問に思う。


何で目を瞑ったんだろう?


さっきは凄くびっくりしたけど”彼”の情報通りなら、あの子の”目”は私の速度なら余裕で視認できるはず...


それなのに今は目を瞑って立っているだけ...。


”彼”の誤情報?


それは無い...なら...


私の買い被りだったのかな...?


それだとちょっと...”残念”。


そう思うとジャックの口からはため息が出る。


もういいや...任務とかどうでもいい。


短剣を強く握り、その目には明確な殺意を宿す。


そして、創太に斬りかかりに疾走する。


”さようなら”


口には出さなかった。


だって...凄く残念だから......


「見つけた!!」


「...!!」


背後から斬り掛かろうとしていたジャックをその目に”捉える”。


一瞬びっくりするが構わず斬り掛かる。


が、両手首を創太に掴まれてしまう。


「その殺気のおかげで見つけれたよ!何が目的なのか、聞かせてもらおうか!!」


「...合格。」


「...へ?」


ジャックのその予想外の返事に頭の中が”?”だらけになる。


ジャックは満面の笑みを浮かべながら手に持っていた短剣を”手”から落とす。


それを見て手を離すが甘かった。


ジャックは落下中の短剣を素早く手に取ると、背後に回り込み喉元に刃を当てる。


「甘いね、最後まで油断しちゃダメだよ。」


「...す、すみません。」


謝りながら両手を上げる。


そこでハッとする。


なんで俺はこの人に謝ってんだ?


会って間も無い女性に...。


師匠と重ねてしまったからか?


わかんないな......


そう思っていると創太が来た道から声が聞こえる。


「いましたよ、流石の鼻ですね。」


「うるさいな...君に褒められても嬉しくないんだよ......。」


「それはそれで私としてもショック何ですが...」


声がする方を見るとロスとラグエルがこちらに歩いて来ていた。


「ん?創太くん、なんで両手を上げているんですか?」


「...へ?あれ!?あの人は...!?」


「...あの人?他に誰かいたんですか?」


「...え?ジャックっていう女の人がいたんだけど...いつの間に...。」


辺りをキョロキョロする創太に、頭のモヤを”?”にしているラグエル。


事情を何となく理解しているロスは少し頭をかきながら、”知らないフリ”をしようと考える。


「幽霊とでも会ったのかい?さっ...戻って朝食にしよう。ここら辺は危ないし...」


「やった!私、朝食まだだったのでちょうど良かったです!」


「君の分はないよ。」


「...ない?それは...何故(なにゆえ)に?」


「君が来るの知らなかったから僕と創太の分しか用意してなかった。」


「そ、そんな......」


少しの沈黙の間がその場に流れる。


嘘だろ!?という表情?をしているラグエルに腕を組んでいるロス、やり取りを聞きながらジャックの行方を探していた創太。


誰も発言しなかった。


皆、腹が減っているし朝食がある組の創太は”分けてあげたい”とは思ってはいるが、どれだけラグエルが食べるか分からず不用意に言えない。


そんな中1匹の狼が吠える。


「フェン!」


「「びっくりした!」」


創太とラグエルが驚く。


「フーフェフェン!」


「なんでフェンもここに…?」


「フェンさんも創太くんと御一緒したいらしいです。良かったですね。」


「…なるほど?」


「フェン!フェフェンフェン!!」


「「…?」」


騒がしいフェンにラグエルと創太は首を傾げ、こう思う。


((なんて言ってるんだ…???))


フェンが1匹で鳴く中、ロスはため息をつく。


「わかったよ...君たちの分も余り物で良ければ作るよ。」


「その言葉を待ってました!」


「フェンフェン!!」


ラグエルとフェンが喜びの声を上げ、テントの方へと歩くロスの後をついて行く。


少し笑いながら創太も後に続こうとするが妙な気配を感じ、振り返るがそこには草木しかない。


ジャックかな?と思うがラグエルに呼ばれ慌てて後を追う。



「私に気が付くとは。今回は案外大丈夫そうだな。」


創太とラグエル、ロス、ジャックの混じった声が草木から発せられる。


だが、その声を聞くものは誰もいなかった。


ある一人を除いては。


「言い訳を聞きましょうか、ジャック。てめぇの罰はそれからだ。」


「げっ!バレてた。」


身を潜めていたジャックが木陰から現れる。


ジャックのその表情は親に怒られるのを恐れている子供のようだ。


「えっと...その。”味見”がしたくなっちゃって.....」


「それで手を出してしまったと...?」


「...はい。」


口をごにょごにょさせながらジャックは話す。


謎の声の人物は少しため息をつく。


「まぁ...貴方の性格的に近いうちに手を出すことは何となく察してました。」


「...ごめんなさい。」


「...?謝る事ねぇぞ。」


「...?」


「結果的に貴方が関与したことによって彼は成長を遂げた。めでてぇ事だ。これからも引き続き監視の方頼みますね。」


「わ、わかった。」


黒い霧のようなものが周囲に広がっていく。


「最後にひとつだけ約束をしてください。」


「...?」


「何かあれば即座に私を呼ぶこと、それだけは忘れずに.....」


そう言い残し黒い霧と共に謎の声の人物は消える。


ふぅ...と軽く息を吐くとその場にしゃがみこむ。


私が創太君に関わることで彼の成長に繋がる。


「ふふっ...あはははははははは!!!」


やっぱり私と君は赤い糸で結ばれてるみたい!


楽しみだなぁ...早く会いたいなぁ.....


会って貴方の事をぐちゃぐちゃにしたいなぁ...


ジャックは嬉しそうにその場でダンスを踊り始める。


その踊りはお世辞にも上手とは言えないが、彼女の今抱いている感情を喜びを自分なりに表現しているのであろう。


まるで糸操り人形(マリオネット)のようだ。


その踊りに誘われたのかどうかは定かではないが、魔獣と下級の悪魔数匹がジャックを狙い息を潜めていた。


「あなた達も踊りに来たの?そんな所に居ないで一緒に踊りましょ。」


身を潜めていた魔獣と悪魔たちを見ながらダンスの誘いをする。


存在がバレていたことに驚く魔獣と悪魔たちは判断をするのが遅かった。


気が付いた頃には遅かった。


体の自由が効かないのだ。


「〜〜〜♪」


ジャックが劇場のようなメロディを口ずさみながら体の自由が効かない魔物たちに丁寧な一礼をする。


ジャックが再び踊り始めるとそれにつられるように踊り始める。


困惑する魔物たちを見てジャックは不敵な笑みを浮かべ、踊り続ける。


一匹の魔獣がジャックの元まで踊り寄るとジャックの手を取り口付けをし共に踊り始める。


それはさながらデュオダンスのように。


ジャックの動きに合わせるように魔獣は踊る。


他の魔獣と悪魔は2人の踊りを鑑賞するお客様のように静かに息を飲むように大人しくしている。


正確には大人しくさせているのが正しいが、そんな事いまはどうでもいい。


2人の踊りが終わるとそばにいた魔獣は大人しく鑑賞していた魔物たちの元へ回され踊り始める。


ジャックは満面の笑みを浮かべると、手に短剣を握る。


そして、踊りながら魔獣と悪魔の腹を裂く。


悲鳴を上げ苦しむ魔物たちの表情を見ていると口角が上がる。


裂かれた腹からは血と内蔵が飛び出し、その内蔵は地面に落ち血で地面を染める。


魔物たちは自身の内蔵と同族の内蔵を踏み潰しながら踊り続ける。


出血多量と内蔵欠損により死に近付く魔物たちを横目にその踊りは終盤に差し掛かっていた。


ジャックを中心に魔物たちはその周りを回りながら踊る。


ジャックは一匹一匹の表情を確認すると一閃。


一瞬にして魔物たちの首を落とす。


首を落とされて尚、魔物たちは踊り続け...


踊り続け...踊り続け...踊り続け踊り続け踊り続け踊り続け踊り続け


ジャックが踊りを辞め一礼する。


魔物たちもジャックに向け一礼すると破裂する。


飛び交う血肉と内蔵、それら全てがジャックにかかる。


真っ白だった髪はトマトのように赤く染まり、口が裂けそうなほど口角が上がる。


「あ〜...楽しかった♡」


ふふ...ふふふふ...と笑いながら地面に落ちた血肉と内蔵を踏み潰しながらその場から消える。


この場所を見た村人は人々にこう伝える。


”魔女が出た”と。


まず謝罪させて下さい。


投稿が遅れてしまいすみませんm(_ _)m


理由としては、今までサボっていた就活等により忙しく続きを書く余力と余裕が無く遅れてしまいました。


ツケが回って来たと思います...。


楽しみにして頂いていた読者の皆様には申し訳無いことをしてしまいました。


重ねて謝罪申し上げます。


ごめんなさい。


ですが、寝る前の妄想等で今後の展開や登場キャラの整理などはしましたので、これからは早いペースで投稿できるかなと考えております!


何卒、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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