第1章 目覚め
第1話 御縁 創太
暗闇の中から時計の針が動く音が、静寂な空間に響く。
やがてその音は鐘の音に変わり、暗闇の中を駆け巡る。
鐘が鳴るのと同時に壁に掛けられているランタンに明かりが灯っていく。
明かりのおかげで、その場にいる人物の姿が照らされていく。
その人物は椅子に腰をかけ、机に手のひらを置き、指先で軽くリズムを刻むように机を突っいていた。
肝心の顔には、黒い霧が掛かっていて見えない。
「はぁ、まだかしら。」
女性と思わしき声が聞こえる。
その声は特定の誰かに呆れているような声だった。
「まぁまぁ、良いではありませんか。」
女性の横から男性と思わしき声が響く。
その声は女性を和ませようとしているのか軽く笑っているように聞こえた。
「あの子はまだ目覚めないの?」
「さぁ、私には見当もつきません。」
「私はあなたにあの子の監視を命じた筈よ?なのになぜ?あの子の変化がわからないの?」
それを聞いた男性は先と変わらない口調で返すが、女性はため息をついていた。
男性はそのため息混じりの声を聞きながら口を開く。
「変化はしていますよ。ですが、まだその時では無いのではないでしょうか?」
「ふぅーん、そうなのかしらねぇ…こちらとしては”早く”してほしいものだけど。」
そう言いながら椅子から立ち上がると、ヒールの音を鳴らしながら歩み出す。
本棚の前に停止すると手を伸ばし、本を取る。
そして、本を開く。
「まぁ、いいわ。私がここにある本、全部読み終わるまで待ってあげる。けど、もし…読み終わっても目覚めなかったら…」
バタンっと開いた本を勢いよく閉じる。
「強引にでも目覚めさせてあげるわ。」
男性は、女性の表情を見て喉を鳴らす。
「覚悟なさい、御縁 創太くん。」
そこで視界が暗闇に包まれ、”目が覚める”。
ー現在
「また、同じ夢…」
静まり返った部屋にぽつりと一言。
掛け布団を自分の身体ごと起こし立ち上がると、ベッドから離れる。
カーテンの隙間から明かりが漏れ出ている。
枕の横にあるスマートフォンに手をかけ時刻を確認する。
画面には、5:30と表示されていた。
「まじか…」
口からため息混じりに言葉が漏れ出てしまった。
ここのところ”2ヶ月ちょい”だろうか、あの夢のせいで早起きしてしまう。
休日を昼過ぎまで寝られていたあの頃が嘘のように感じる。
まぁ、今日は休日では無いんだけどね。
金曜日はなんだかやる気が湧いてくる。
なんでだろ?
今日がんばれば、明日からは休みだからだろうか?
それとも好きなマンガがサイトに更新されるからだろうか?
「はは…」
乾いた笑いが口から発せられる。
1人で何やってんだろ…。
とりあえずシャワー入るか、こんな頭じゃ学校いけないし。
そう思い俺は部屋のドアノブに手をかけると、ふと何かを思い出したかのようにスマホの画面を確認する。
「返ってくるわけないか……」
そう言い残し俺は部屋を出た。
「ふぅ…さっぱりした。」
清々しい気分で、浴室から出る。
重かった瞼が嘘のように軽く、寝癖だらけだった頭がスッキリしさっぱりした。
籠に入っている着替えの制服を着る。
スマホの画面を確認すると時刻は6:00。
そして、歯を磨くため洗面台の鏡と向かい合う。
鏡に映った自分の顔を見つめ、ため息をつく。
「冴えない顔してんなぁ...ほんっと。」
大きくは無いが目の下にあるくま、イケメンでもなければ不細工でもない特徴のない顔のパーツたち。
少しばかりツンツンした髪の毛に、ラピスラズリのように青い瞳。
そのお陰で今まで1度も彼女ができた試しが無い。
うん...この話はやめよう...心が痛くなる...。
自分の胸の辺りに手を当てながら乾いた笑いが口からこぼれる。
コップに入っている歯ブラシに手をかけようとすると、背後から聞きなれた声が聞こえる。
「なに独り言言ってんの?」
「うぉっ、びっくりした…」
かなで
妹の奏である。
こんな時間に起きてくるなんて珍しい。
いつもなら7:25と微妙な時間に起きてくるのに今日に限って早い。
今日は雨が降るかもな。
なんてことを思いながら歯ブラシを手に持ち、歯磨き粉を付けながら奏に話し掛ける。
「どーしたんだ?こんな時間に起きてくるなんて珍しい。」
「なんか目が覚めた。」
「そっか...。」
今日に限ってなんで...と思いながら歯を磨く。
歯を磨いていると朝だなぁとか、夜だなぁって感じる時があるんだけど。
今は朝だなぁって感じる。
まぁ、朝なんだけどね。
ハハッと心の中で軽く笑うと、歯ブラシを咥えたままコップに水を入れる。
蛇口から水を流したまま口から泡になった歯磨き粉を吐き出し、コップに入った水を口にする。
水で口の中を濯ぎ、その水を吐き出す。
ふぅー、さっぱり。
さてと、朝飯どーしよっかな。
「なぁ奏、朝飯なに食べたい?」
「兄ちゃんが作る料理なら何でもいいけどー...強いて言うならステーキがt…」
「んじゃあ、目玉焼きとベーコンでいいな。」
奏が今、変な言葉を言ったような気がしたので遮るようにして朝飯を決定する。
洗面所から出ようとする。
すると、背後から奏の言葉が聞こえる。
「兄ちゃんはかっこいいと思うよ、うち的にはね。」
「聞いてたんかい。まっ...お前に言われても嬉しかねぇよ。」
まったく...と一言その場に残す。
さてと、朝飯つくるか。
コンロに火をつけ、その上にフライパンを置く。
フライパンに十分熱が入ったと判断し、ベーコンを2切れ投入。
美味しそうな音を立ててベーコンが焼けていく。
この音...好き。
反対側に焼き目がついたことを確認しひっくり返す。
そして、その上に卵を投入。
んー...いいねぇ。
卵の白身の部分が少し固まったのを確認し、水を入れ 蓋をし 蒸す。
そして、しっかり火が通ったことを確認するため持っていた箸で刺す。
うん。しっかり焼けてんな。
コンロの火を止め、食器棚から1枚の皿を取り出す。
フライパンの上にいる目玉焼き...というよりベーコンがフライパンとくっ付いている可能性が非常に高いので、箸で軽く触り今の位置からズラす。
こうなるとフライパンの上では目玉焼きは面白いように滑る。
っと食べ物で遊ぶとバチが当たるのでそんなことはせずに、目玉焼きを皿の上に移す。
我ながら良いできだ。
ふふっと笑みがこぼれてしまった。
「お腹空いたんですけどぉ〜...ま〜だ〜?」
制服姿の奏が左手に箸を持ちながら話しかけてくる。
「はいはい、よく噛んで食べろよ」
「待ってました!って、ステーキじゃないの…?」
「アホか、いいからさっさと食え。」
「チェッ…」
なんだかんだ言いつつパクパク朝飯を食べる奏の姿を見つつ、俺は携帯に目をやる。
あれから半年。
あいつからの連絡は無し。
全く...今どこに…
「…?」
「どったの兄ちゃん?」
「いや、何でもない…」
背中の方にある窓から視線を感じ振り返るが、今は何も感じない。
今の感じ...なんだ…?殺気?
嫌な予感がする。
俺のカンはよく当たる。
昔からそうだ。
だから、”今日中”かな?俺にとって嫌なことが起こるのでは無いのかなと思う。
まぁ、自意識過剰なだけかもしれないけど…。
そんなこんなを考えていると奏が両手を合わせ「ごちそー様」っと言っていた。
「兄ちゃんは食べないの?」
「俺は腹減ってないんだ。気にすんな。」
「朝ごはんはちゃんと食べないと授業に集中できないんだよ?知ってた?」
「んなこと知ってるよ。俺は学校行く途中で買って食うから大丈夫だ。」
「ふーん。」
奏が不満げな表情をしながら食器を流しにうるけながら言う。
本当のところマジで腹が減っていない。
うーむ...なぜだ?
いつもなら腹減ってるんだけどなぁ。
まっ、いっか。
腹減った時にテキトーに食べればいいだけの事だし。
さてと、食器洗ってから支度するか。
そう思うと俺はスポンジに食器洗剤を付けながら、食器を手に取りスポンジを擦り付ける。
パリンっと食器が音を立てて割れる。
「…!?」
「また割ったの?」
「何でだ!?何で割れた?」
「力みすぎなんじゃないの?リラックスしなよ、リラックス。」
「...。」
またか。
ここ最近、食器をよく割る。
理由は分からないがよく割れる。
俺は食器を素手で割れるほど筋力はないと思うのだが、割れる。
不吉だ!不吉すぎる!
スポンジを元あった場所に置き、手についた泡を水で流す。
はぁっとため息がこぼれる。
「帰ってきてからやれば?」
「そうだな...そうするよ。」
あっ、でも割れたやつそのままにするのはマズイ。
えーっと新聞紙は…
あれ?
新聞紙が無い。
いつも新聞紙を置いてある棚を見ても、そこにあるはずの新聞紙は無い。
「奏、新聞紙無い?」
「うちがよもや持っているとでも?」
「だと思ったよ。」
ソファーに横になりながらスマホをいじっている奏。
全く、最近の子供は…っと思いつつ新聞紙を探す。
うん、マジで無い。
あれー?佐藤さんから貰った新聞紙があったと思ったんだけどなぁ。
うーん...また貰いに行くか?
んーでもなぁ、何回も貰いに行ったら迷惑だよなぁ。
あっ、冨岡さんから貰えばいいのか。
うん、そうしよう。
それまでは食器そのままだけど...まぁ、大丈夫だろ。
っと思う創太なのであった。
白ガネです!
第1話いかがだったでしょうか?
創太くんと妹の奏ちゃんの日常会でした!
第1話なのでこんなものかなと個人的には思っているのですがどうなんでしょうか?
もうちょっと書いた方がいいんですかね?
どのくらい書けばいいのかよくわかってません!w
もっと内容がほしい!という方は是非感想などで書いていただければ嬉しいです!
第1話でした!
次もよろしければ読んでいただければ嬉しいです!
白ガネでした!m(_ _)m




