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エンジェルX  作者: 依澄 伊織
青春は命がけでこそ、意味がある
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戦いは終わ.......

 戦いは終わり、俺たち3人は近くのチェーン店のカツ丼屋さんに寄っていた。

 一応、戦う前に食事を摂っていたが、それも軽いもので正直足りない。それに加えて、苛烈な戦いがあり、お腹が空いてしまった。そんな俺たちの前にカツ丼屋さんがあり、その魅力から逃げられるはずもなく、入店した。

 時刻24時。昨日と今日と明日の境目の時間。

 結局、ボロボロのズタズタにされた校舎は、元通り復元された。小さくも神であるヒメであれば、その程度の事は造作もなかった。

 土地神は、その土地・領域において全知全能なのだ。

 故に、神は人や人の社会に干渉できないのである。

 まぁ、つまり、明日も変わらず学校がある。


「はぁ、疲れた。もう二度とあんな奴と戦いたくないわ」


 そう言って、静海さんはカウンターにうつぶせになりながら、しみじみと呟く。

 生きているからこその発言だった。


「貴方の魔術、なかなか悪くなかったわよ」


 セラフが上から目線で褒める。


「はいはい、ありがとうございます。天使サマ」


 謎の上から目線に食って掛かりそうなところを静海さんは、適当にいなす。

 流石に静海さんには、応対する余力が残っていなかった。


「でも、規模は大きいけれど、出来る事の幅が狭いわね」


 褒めるだけで済ましておけばいいものを、なぜかセラフは批評を加える。


「そうなのよね。やはり、そこが私の魔術の難点ね」


 果たして、静海さんは専門家然とした言葉を受け入れていた。


「静海さんの魔術って、あの教剣が言っていた『原始魔術』ってやつ?

 語感的にめちゃくちゃ強そうだけど?」

「確かに、名前だけ見れば厳ついかもしれないけど、実際は大したことないわ。一つの魔術体系よ。

 主な神秘対象は神代・古代で原始自然崇拝で、魔術的規模は大きいけど、それだけよ。それに燃費も悪いしね」


 補完する形で、セラフが口を開く。


「戦いにおいて、ただ力が強いだけでは、勝敗は決せない。勿論、1個の強力な要素ではあるけどね。

 だから、その分、中世の時代の産物を研究対象にしている魔術師は結構多いわ。大規模な魔術を使えながらも、そこそこにテクニカルな事が出来るっていう、バランスがいいのよね」

「これも結構、基礎的な事だけど、古ければ古く、深い神秘であれば、あるほど、魔術の力は強く大きくなっていくが、その分、単純な物になっていくんだ」


 そうか、それが、セイランのあの言葉に繋がって来るのか。

 ―――原始魔術の使い手とは、珍しいものだが。古ければ、いいものじゃないからな

 そして、俺たちは、そのデメリットを思い知らされたのだ。


「ま、それだけじゃなくて、規模が大きい分、一回の魔術で大量にマナを消費するっていうデメリットが存在するけど」


 静海さんは、なぜか、そこで一回区切ると、流し目で俺を見て、隣から腕に抱き着いてくる。


「それも、菊間君のおかげで、克服出来るわ」


 静海さんの身体が押し付けられる。柔らかい。それに良い匂いもする。


「ちょっとー!抱き着いてるんじゃないわよ!」


 そんなセラフの言葉を無視して、紡ぐ。


「菊間君を外付けのマナ供給機とすることで、私の魔術研鑽は捗り、更なる高みに登るのよ」


 静海さんは目をグルグルさせて言う。

 完全にキマちゃってる。

 コワいコワいコワい。


「ふっ、冗談よ。

 菊間君をものとして、狙っているのは間違いないけど、私それだけじゃないわ」


 先ほどの狂気の目から一転して、いつもの学校での静海さんへと戻ると、抱き着いていた腕を離す。


「カツ丼3つ、お待ち!」


 と、そこで注文していたカツ丼が着丼する。

 早速、箸を使い、かぶりつく。口の中で、カツとコメの比率が良くなるように、口を運ぶ。

 途端、セラフと出会い、現在までの記憶がフラッシュバックする。

 たった、3日ほどの短い時間であり、まだまだ終わりではない。それでも、セラフとの縁の中で、印象深いものとして、記憶に残ると確信した。

 そんな味だった。

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