表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/36


 おはようございます。


 硬いベッドで一日寝ただけなのに、もう体がバッキバキです。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”」


 憂鬱だ。

 だが、楽しみでもある。なぜなら、今日から俺は騎士団の一員になるからだ。不安も大きいが、精いっぱい頑張ろうと思う。


 ――チャリン


 体を伸ばそうとして気づいた、手錠が結ばれている。昨日まではこんなものなかったのに、寝ている間につけられたのか。


「やっと起きた」


 牢屋の外から声がする。目をこすり、徐々に視界が明瞭になっていく。そこには、白髪赤目の少女がいた。白を基調とした、冒険者によくみられる服装と比べて少し軽装なものを着ている。


 見覚えのある顔だ、南の森で俺の魔法を見たあの少女で間違いない。


「待ちくたびれた」

「……すみません」


 寝起きが故、反射的に謝ってしまったが、よく考えれば声をかけてくれても良かったのではないかと思う。


「まぁいいわ」


 少女は牢屋の扉に近付き、鍵を開ける。そして顎まで伸びるウェーブのかかった白い髪の毛を揺らしながら、顔でついてこいという仕草をした。


 手錠からは鎖が伸びており、俺はそれに引っ張られるようにして歩き始めた。


 ――タン、タン、タン、タン


「……名前聞いてもいいですか?」

「ノエルよ。これからよろしく」

「ノエルさん、よろしくお願いします。僕はナギです」

「よろしく」


 ――タン、タン、タン、タン


「……ノエルさんが僕の監視人なんですか?」

「そうよ。不本意だけどね」

「……」

「……」


 ――タン、タン、タン、タン、タン、タン


 き、きまずい……。


 薄暗い通路に、俺と彼女の足音だけが響く。簡素で、物寂しい音だ。

 しばらくするとその音に、男や、女の声が混ざるようになった。俺たちの会話量が増えたとかじゃない。全く別の声だ。


 一本道のつきあたりには柵があった。ノエルがカギを使ってそれを開ける。柵を出てすぐ右には、鎧に身を纏った門番? が一人立っていた。


「お疲れ様です」


 男が、ノエルに向かって敬礼をする。俺とは目を合わせようとしない。


 少し広くなった道を進むと、徐々に牢屋が現れ始めた。両側に連なるようにして設置されているそれは、俺が入っていたものに比べてかなり狭いように見える。


 中には女、男、大人、子どもらしき人物までもがいた。静かにしている者もいれば、柵を両手で持って騒ぎ立てている奴もいる。熱がっていないところを見るに、やはり俺が入っていた場所は特別だったのだろう。


「ここは地下収容施設」


 周りを見ていると、彼女がそう言った。


「収容施設ですか?」

「そう。地下は十階にも広がる犯罪者、危険人物を収監する場所。あなたがいた場所はその最下層。特に要注意な人物を入れておくところね」

「……へぇ。随分と怖がられてるんですね、僕」

「私としてはあなたを騎士団に入れるなんて反対も反対なんだけど……団長は何を考えているのかしら」


 露骨な溜息を吐いた彼女を前に、俺はとてつもなく微妙な顔をすることしかできなかった。


 しばらく歩いていると、階段が現れた。俺は彼女の後を追うようにして、その階段を上っていく。横幅は狭く、大回りな螺旋状になっているようだった。


 階段を上り切ると、広間に出た。警備員らしき人物が数名と、何やら書類と向き合っている人が数人いる。


「今からあなたを宮殿まで連れていくわ。暴れないでね」


 建物の正面ではなく、裏口らしきところから外へ出る。大きな壁で覆われており、厳重に管理されていることが見て取れる。その壁には大きな扉があり、両端には警備が二人立っている。


「お疲れ様です」


 警備員がノエルに挨拶し、扉が開かれる。

 

 出た先は両脇が道になっていた。そして、正面にも扉がある。その向こうからは、男女の入り混じる気迫あふれる声と、何かがぶつかり合うような音が響いてくる。


 ノエルが先導して、声の方へと向かっていく。


「ハァァァァッッッ!!!!!」

「ヤァァァァァッッッ!!!!!」


 先は広い砂場で、男女が木刀を持って、それを振り下ろしている最中だった。掛け声とともに、157,

158と数字を数える野太い男の声が響き渡っている。


 まさに稽古といった光景がそこには広がっていた。


「こっちよ」


 俺は、その雰囲気に圧倒されながらも、彼女の後をついていった。


横書きにより、算用数字と漢数字を使い分けてます。


最後まで読んでくださった方には感謝しかありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ