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戦闘! ケロケロべロス!


「なんだこいつ……」


 全身緑の生き物で、ぬめぬめとした粘液が体の表面を覆っている。げぇーげぇーと鳴き、えらのある足をペタペタさせながら歩き、たまに足を曲げ、ぴょんと飛ぶ。いわゆるカエルなのだが、なのだが……頭が三つある。そんでもってデカい。俺と同じくらいの等身だ。


「きめぇ」


 俺が受けた依頼は、近くの森に出現した「トリブラナ」の討伐というものだった。作物を食い荒らす他、人間を襲うこともあるらしいのだが、冒険者であれば簡単に倒せる強さであるため、難易度は★1だった。もちろんその分報酬は安いが、宿代ぐらいは稼げるだろう。


「ナイフぐらいは買っておくべきだったか……?」


 所持金ゼロの身の上、何も買うことができず、絶賛手ぶらで挑んでいる。その結果、相手に攻撃ができないという、至極当然な状況が形成されてしまっている。


 とはいえ、ピンチというわけでもない。基本、相手は直進にしか飛んでこないので、横にステップすれば大抵の攻撃は避けることができる。元から身軽なこともあって、攻撃をかわすことはたわいない。


 しかし、やはり問題は攻撃の決め手がないことだろう。もう戦闘開始から何十分と経っているのだが、避け続けるだけで、これといった攻撃を与えていない。一度だけ隙を殴ってみたのだが、弾力にはじき返された上に、気持ち悪いぬめぬめが俺の素手をコーティングして最悪な気分になった。


「試すしかないよなぁ」


 森に来るまでの間、俺は攻撃手段として魔力をどう使用するかをひたすら考えていた。本に何か書いてないかと思ったが、そもそもあの本は本当に基本的な情報しか書いていないのだ。詳しいことを知りたければ、他人に聞くか、その分野の本を買うしかないだろう。


「ふぅうう」


 相手の攻撃を避けた隙に、呼吸を整え、魔力を意識する。


 朝、一度魔力を認識することができたからか、不思議なことに、少し意識を集中させれば、魔力の流れを感じることができる。


 ギルドでの出来事も思い出す。リアスさんはカードを指して、属性が【青・緑】の二つあると言っていた。魔力に視える色が同じであることから、それが俺の属性であることは間違いないだろう。


 これについては本に書いており、【青】は水系統、【緑】は自然系統を操ることができるらしい。自然系統という単語を初めて聞いたので、あまり理解できないが、水系統は文字の意味そのままであろうから想像がつきやすい。


「はぁぁぁ……」


 深く息を吐き、さらに集中する。


 トリブラナもといケロケロべロスは、体力を回復しているのか、俺とにらみ合うようにして体を動かさない。相も変わらず見た目がキモすぎるが、これはラッキーだ。


 青の魔力に集中する。

 流れを手のひらに収束させ、溜まり場を作る。


 魔力が収束していくのが分かる。


 手のひらを前に突き出す。

 水のボールを、その前に作るイメージ。


「お?」


 空気に乱れが生じる。

 手のひらの前に、魔力が収束していき、小さな水の塊ができた。


「おお!」


 子どものような声を出して興奮する。

 さすがにこれはテンションが上がってしまう。


 このまま大きくして、最後はあいつにぶつけれb……


「……は?」


 額に、ぬめっとした液体が流れる。生臭いにおいが、鼻につく。

 集中力が切れ、魔力の波動が鎮まる。


 突き出していた右手を額に持っていき、指でその液体をすくう。


「おい」

 

 トリブラナを睨む。

 お前今、唾を吐きかけたな?

 俺は変えの着替えを持ってないんだぞ? 汚れたらどうs


 ――ブッ


「……」


 完全に、服めがけて吐いてきた。


「……殺す」


 異世界に来て初めて、心からの殺意を覚えた。

 

横書きにつき、算用数字と漢数字を使い分けてます。


読者には無限大の感謝を。

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