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冒険者カード


「あのー」

「はい」


 リアスさんは、おずおずと言った風に、首をかしげながら再度裏から出てきた。


「すみません、もう一度お願いできますか?」


 そう言って、再び石板が差し出される。俺は、先ほどと同じ要領で一連の流れを再現した。


「ありがとうございます。……うーん」


 彼女はカードを確認すると、またしても首をかしげた。数人の冒険者と受付嬢が、何事かと、こちらを気にしているような素振りを見せる。


「どうしたんですか?」


 俺も彼らと同じような顔をして、彼女に問いかける。一度ならまだしも、二度もということであれば流石にどういうことか気になってしまう。


「いえ、その……」


 リアスさんは体をそわそわさせている。もう一度裏へ確認しようか悩んでいるのか。だが、彼女は直接説明することに決めたようで、カードを俺の方に向けて、カウンターに置いた。


「この数値を見てください」


 彼女の手が示す場所を見る。そこは【魔力】の欄であり、右側には黒色で【300】の文字が浮かんでいた。


「あとこれも」


 次に彼女は【属性】の欄を指す。そこには【青・緑】と表示されている。


「確認ですが、冒険者になられるのはこれが初めてなんですよね?」

「はい」

「それにしては魔力の数値が高すぎます。それと、属性が二つあります。普通、属性は一つしか表示されません」

「はぁ……」


 そんなこと言われても、そうだったのかとしか言いようがないが、俺が【適合者】なのならば、基礎的な数値が何かしら常軌を逸しているのも不思議ではないのだろう。


「それってどれぐらいスゴいんですか?」

「複属性持ちは世界でも10人ほどしかいません。魔力量に関しては騎士団長クラスです」

「え、めっちゃ強そう……」


 具体的にどれぐらいすごいのかは分からないが、出てきたワードの強烈さからして、相当にすごいことが想像できる。


「っスー……僕、何かやっちゃいましたか?」

「いや、別に何をやったかとかではないんですけど」

「……」


 なんか、悲しい気持ち。


「でもまぁ、心当たりがないこともないです」

「そうなんですか……」


 俺の言葉を聞くと、彼女は顔をむむっとしかめて、カードを凝視した。


「……分かりました。では、このまま登録いたします」

「いいんですか?」

「あなたに心当たりがあるのなら、この数値が大きく間違っているということはないのでしょう? でしたら大丈夫です」


 彼女はそう言うと、カードを再度石板においた。すると、白色だったカードがみるみるうちに銅色へと変化していった。また、それと同時にステータス欄の表記が消えた。


「これがナギさんのカードになります」


 彼女に手渡された銅色のカードは、カードというよりかは、薄い石板のような感触と重さをしていた。


「すみません。ステータスが消えたんですけど……」


 ……何だその顔は。

 え? そんなことも知らないの? みたいな顔をするんじゃない。


「……基本的にステータスは表示しません。個人情報ですからね。ご自身で確認したい際は、ギルドに訪れてその旨をお伝えください」

「なるほど」


 自分のステータスが気になったら、ギルドに訪れて、おそらく先ほどの石板を使って確認するのだろう。ちょっと面倒くさいな。


「この町で冒険者業を営むにあたって、カードは必須ですので、常に携帯しておくことをおススメします。冒険者に対する依頼などはあちらにございます。それでは、お気をつけて」


 リアスさんがお辞儀をする。一通りの手続きが終わったということだろう。


「ありがとうございました」


 短く感謝の言葉を述べ、受付から離れる。


 ギルド内の雰囲気は徐々に活気づいてきており、あちらこちらで冒険者が談笑している姿が目に入る。俺とリアスさんの会話を聞いていたのか、それとも見ない顔が珍しいのか、何人かが俺のことをちらちらと見ている。


 気まずさを感じながらも、俺は食堂と階段の間、いくつかの紙が張り出されているスペースへと足を運ぶ。ここに依頼があるらしい。依頼ということは、もちろん報酬もあるはずだ。


 数人の冒険者に紛れて、貼り紙を見て回る。


 それぞれに星が書いてあり、紙によって数が違うみたいだ。難易度と考えていいだろう。


「あ」


 これとかいいんじゃないだろうか。


 俺はその紙を引きちぎり、受付嬢リアスさんところに持って行った。別の冒険者がそうしていたので、おそらくこれで依頼を、クエストを開始することができるはずだ。

 

 


 







お久しぶりです。


全ての人に、感謝を。

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