アリム ①
やるべきことはやった。
あとは彼に託すしかない。
「はぁ……」
視界の果てまで、白と黒が無造作に入り混じる空間で、アリムは薄い青を基調としたソファで寝転び、体から力を抜く。
――ブゥン
電子音が鳴り、アリムの前に大きな映像が流れ始める。
そこには先ほどまで話していた少年の姿が映っている。どうやら町に向かって歩いているようだ。
「頼みましたよ」
アリムは、聞こえないことを承知で、彼に語り掛ける。
「にしても……」
体が動く。
本来、異世界から人間を引っ張るという行為は、とてつもない労力を割くもので、その後何年も神の力が使えなくなってしまうのだが、今回は違う。
彼とこの世界の親和性があまりにも高いのだ。だから、私が強引に連れてこずとも、世界の方が彼を引き入れようとしていた。力を、最大限使わずに済んだのだ。
まだ動けるのなら、その時間を活用させてもらう。
――ブゥン
目の前の映像が切り替わり、とある教室が映る。
アリムの意思で、映像が次々と切り替わる。だが、それは一貫して同じ学校を映している。彼女には、気になっていることがあった。
それはとある人物のことなのだが……
「いないか」
時間も時間で、目的の人物をとらえることは叶わなかった。
さらに探そうにも……、マシだったとはいえ、疲労感と力の消費はやはりそれなりに大きいみたいだ。だんだんと、体が重くなっていく。
瞼も力を失ってきた。力の回復を、しなければならない。
今回は、いつ目を覚ますことができるのだろうか。
アリムは起こしていた上体を倒し、ソファに再度寝転ぶ。
そして、彼女は目の前の映像を閉じた。
瞳を閉じた。
更新。
最後まで読んでくれた人には感謝しかありません。これからも見守っていただけると、嬉しいです。




