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3話:高専受験に合格と勉強部屋

 そして、育英会の奨学金を取って、国立の工業専門学校に入りたいと言い出すと、母が、それならOKと言った。父が、そこまで、必要ないと言ったが、母が、あんたは、学歴がなく、給料が少ないと言い、退けた。


 子供達に、惨めな思いをさせたくないと言い切ると、父が、母に押されて了解した。そして、母が、以前、身につけた、着物着付けのアルバイトを始めたのだった。


 中学3年になる事には、主要5科目の成績が、クラスベスト3に入り、学年でも上位の成績となった。そして、成績が、国立高専に入れるかどうか、ギリギリの所まで来た。


 そして、受験の年が明けたとき、中学3年のクラス担任の先生に、八王子高専に合格する確率はと聞いた。すると合格の可能性、75%から80%と言われ、受験を決意した。受験の願書を取りに行き、書いて提出した。


 やがて受験日の2月、雪の日が受験日だった。平常心で、受験にのぞめることと、できるだけ早く回答を書き、何回も、見直す作戦で、受験にのぞんだ。そして最初10%位、回答に自信がない所は、最低2回見直そうと考えていた


 その目標通り、2回以上、見直しできて、全問回答を書き入れた。受験には、母だけが、ついてきてくれた。受験終了後、どうだったかと、聞くのでベストを尽くし、悔いはないと答えた。


 2週間後、合格発表の日に出かけると、合格していることが確認できた。同時に育英会の奨学金ももらえることになった。実家の家計を困らせず、合格できたと喜んだ。


 気になっていた中本薫子は、近くの名門、町田高校に合格したと言う知らせを聞いた。しかし高校に通い始めると会う機会がなくなり清水は、学校生活で手一杯になった。そのため、彼女と会うことができなくなった。


 清水が、国立高専に合格したと言う吉報を母が、仲の良い、北関東で商売を始めた、すぐ上の兄に連絡すると、ご褒美に、4畳半のプレハブの勉強部屋を作ってやると言い、春休み、清水の家にトラックでやってきた。


 そして、部下と計4人で、一気にプレハブを建て始め2日間で完成した。薄い鋼板の内側に発泡スチロールの断熱材をはめ込んでくれた。このうれしさは、例えようが、ない程の感動であった。

 

 叔父さんに御礼を述べる時、声にならず、感涙にむせびながら、しっかり、御礼の握手を交わした。その時、大きな男になって、恩を返せよと、清水薫の肩を強く、たたいた。そして、翌日、帰って行った。


 その後、清水は、高専の工業化学科に入り実験の毎日が続いた。その時、自分が、臭いに敏感で、実験の時の試薬、酸、アルカリなどの刺激臭に弱いことがわかった。しかし、数学、それも定理の証明が得意であると気づいた。


 そこで、物理化学の触媒の化学を選んで、猛勉強を始めた。そして、高専4年になると、数学的な要素が強い、物理化学研究室に入り、触媒の吸着の実験を繰り返した。また、並行して、この高専で、初めてECC「英会話同好会」を作った。


 英語の会話、英語での文献の読み方の勉強会も開いていた。学校を出るのが、夜20時となる日もあり、家に着くと21時の日も多かった。途中、の最寄り駅の屋台のラーメン屋さんで美味しいラーメンを食べるのが至福の時だった。


 屋台のおじさんは、運動部の学生とわかると特別に無料で大盛りにしてくれた。その後、高専2年の夏に、高専祭のため、学校に泊まり込み、徹夜してデータを取る日が増えた。


 すると、物理化学研究室で金持ちの息子が、インスタント・ラーメンを箱買いして研究室に置いてくれた。腹が減ると、夜でも湯を沸かし、インスタントラーメンを作って、空腹を満たした。そして、夏休みが過ぎて、秋風が吹き、年末を迎えて1972年となった。


 1972年4月、高専5年、最終学年。その後、卒業論文のテーマを決めて、年内に提出して、教授会で審査を受ける手はずになっていた。学生達が、卒論のテーマ探しに、大きな図書館に行ったり、学校の図書室にはいり、テーマ探しに忙しい日々を過ごした。

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