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身勝手なる王
「……ハ!
何を言う!
隠居だと?朕が?」
「……!」
「朕は常に玉座にいねばならぬ!
何故キサマら如きにくれてやらねばならぬ!」
「……ま、まさか、それが理由だと?」
「……」
ヤンカム王は大きく目を見開くクリシュナを見て、
開き直ったように笑いだした。
「く、ふふ、フフフ、ハハハハハッ!
しかし、キサマにも分かるだろう、朕から玉座を奪いとったキサマには!」
「何を……!」
「力とは……権力とはこの上なく素晴らしい!
王子だった時とは違う!誰一人として、朕に跪かない者はいなかった!」
「ち、父上…………俗人がぁっ!」
クリシュナは剣を抜いた。
「クリシュナ、王子!」
「つまり、あなたは……!
その玉座に拘るためだけに僕やノイルを殺そうとしたんだと、言うんですねっ!!」
「……わからぬか、キサマには……わからぬだろうな、まだ玉座に座らぬキサマには」
ヤンカム王の目には憐れみすら浮かんでいた。
「っ!!な、なら!僕やノイルを始末して、死ぬまで玉座に居座って!それで、その後はどうするつもりだったんですかっ!!」




