敗軍の将
「なっ……何をしている!?ヒッチコックッッ!!
立て!戦わんかっ!!」
口の端から泡を吹きながら捲し立てるヤンカム王を見て辟易とした。
どうやら、まだ現実を受け入れられないようだった。
「……」
それを見てクリシュナは暗い表情をしていた。
それでも、前へ出て、ヒッチコックを庇うように立った。
「彼女はよくやりましたよ……
しかし、ここで終わりです、父上」
「何だと、たわけたことをッ!」
「彼女が……ヒッチコックが倒れた時点で、父上、あなたの戦力は尽きたのです。
正規の部隊がこの状況で僕を殺せという命令に従うはずありません。
『インビシブル』もヒッチコックも倒れた時点で、あなたは負けたのです。
……それとも、まだ隠していた戦力があるとでも?」
「…………」
ヤンカム王は歯を食いしばりながら、プルプルと震えていた。
その態度こそが、答えだった。
「……父上、教えて下さい。
何故、そこまで王であることに固執するのですか?
僕やノイルを殺してまで、何故、王であることを拘ったのですか?
いや、そもそも、僕らは父上がご隠居なされるまで、その立場を脅かすつもりなど、なかったのに……何故?」




