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ピッチャー返し的な?
私が自分の肩に手を伸ばそうとした瞬間銃声が響いた。
右手で弾丸を払いのけ、再び肩に手を回すとまた、銃声。
「くっ……!」
「そう易々と隙を与えるとでも?」
確かにその通りだ。
私は肩に、肉体にダメージを負ったが、
ヒッチコックは銃を一丁失ったとは言え、直接的なダメージはない。
残った銃で畳み掛けるのが彼女にとって勝機なのだろう。
……だったら、それを利用してあげればいい。
私は三度肩に手を伸ばす。
「させないと言う事がわからないのですか!」
ヒッチコックは引き金を引く。
正確な狙いで私に向けて、銃口から弾丸が射出される。
私は身体を半身に捻り、体勢を水平にーー
右手で拳を握り、薄く気功で膜を張る。
そう、あくまで薄く、用途は強化だ。
そして迫る弾丸を拳で迎え撃つ。
感覚としては弾くのではなく、打つ。
拳を振り抜いて、弾丸を真正面に打ち返した。
そして、跳ね返った弾丸はヒッチコックに向けて飛ぶ。
「なっ!?」
ヒッチコックは避けようとのけぞるようにして倒れた。




