988/1085
メイド幻惑銃
銃なんて、私には通用しない。
でも、なんだろう?
この不気味さ……不穏な感じがする。
「はい」
と、ヒッチコックは真上に拳銃を一丁放り投げた。
「!?」
一瞬、予想外な行動に気を取られた。
僅かに一瞬、しかし、完全にその虚を突かれる形で残った銃が撃たれる。
だけど、大丈夫だ。
既に発動している『エアスト・フィールド』が防いでーー
「!」
風の膜を貫通する。
だけど、それで1テンポ遅れた分、ナイフで簡単に叩き落とせた。
しかし、弾丸に気を取られた分、ヒッチコックへの警戒が薄れた。
いつのまにか、放り投げていた拳銃を掴み、高所から落下しながら、私に銃口を向けていた。
「てりゃー」
なんとも、間の抜けた声で銃を乱射する。
目を、逸らすなーー
落下しながらでは狙いをつけづらいのか、二丁の内の一丁は全く見当違いの方向を向いている。
『エアスト・フィールド』を貫くなら始めからナイフで防ぐことを考えればいい。
難なく、銃弾を弾くーーと、同時に耳で別の場所で弾丸が跳ねた音を聞いた。
まさか、跳弾を狙ってーー?




